湖上のトランペット

ザルツブルクからケーニヒ湖へ


 1996年8月16日。フランクフルト経由で前夜遅く着いたと
いうのに目覚めたらまだ6時、テレビをつけて天気予報を見ると、
ライン川周辺は26〜28度、これから行こうとしているベルヒテ
ス国立公園の辺りは18度、夏の服装では涼しすぎるかな?
 数人の客を乗せただけでバスはザルツブルク駅前を出発、町なか
を通りすぎたと思ったらまもなく国境です。だからバスの運転手も
最初からドイツマルクで要求する。
ここは未だオーストリアじゃないか!と思いながら、「私はマーク
を持っていない」と言ってシリング紙幣を出すと、「シリング!」
と尻上がりの返事、それでもポケット計算機を出して換算してくれ
ました。
 ザルツブルク駅の二階に銀行があるのに、換金してくりゃよかっ
たな(着いてからまた困った)と後悔しても後の祭り。
 田舎町をいくつか通り抜けて50分ほどでベルヒテスガーデンに
到着、更にバスを乗り換えて15分か20分でケーニヒ湖畔に着き
ました。
 バス停から船着き場まで両側にペンシオン、レストラン、お土産
屋さんなどが並んでいて一寸した観光地気分、しかし聞こえるのは
話し声と野鳥のさえずりだけ。
 湖には4〜5艘の小型観光船が出入りしているのに、エンジン
の音が実に静かなことに驚いた。現地のパンフレットを見たら「ド
イツで最もクリーンな湖を保つために21艘の船すべてに電動モー
ターを装備している」とありました。

 船は文字どうり滑るように進んで行く。湖の中程まで来たところ
でエンジンを止めた船長が後ろを振り返って「窓を開けなさい」と
いう。さっきなにやら湖の広さや深さなど話していたガイド氏が、
やおらトランペットを取り出して、船の中央にある昇降口に起って
演奏を始めた。一節吹いてはこだまに聞き入り、また一節、こだま
との掛け合いです。左右の山肌はいきなり絶壁になっているので1
秒ほどの間をおいて、より澄んだ音で帰ってくる。

 小さな巡礼教会の内部は見るべきものとて無いが、周りの散歩道
路に行ってもゴミひとつ落ちていない。今は観光地なのに、この静
けさ 、この清潔、我々日本人が寄ってたかって壊したもの失った
ものが残っていました。

 風景を前菜に昼食、私はシュペーツレ(小さく切った卵うどん風)
つきのシュニッツェル(豚カツ)を好んでとるが、ここは矢張り湖
ます料理ラックスフォレレ(サーモントラウト)を注文、グラム
数でお値段が書いてあるのは如何にもドイツらしい。香り草とバタ
ーでカリッと焼き上げてあって美味だがやや薄味、私は持参の醤油
を垂らして食べました。
 小麦ビールもコクがあってなかなかのもの、ただし、目の前の教
会の壁には「天国にビールは無い。生きているうちにドンドン飲め」
とは書いてありませんでした。                →戻る

レストラン・Stバートロメ


St.バートロメ巡礼教会