誰も知らない


「Roadster in cinema」



2004年8月30日月曜日

誰も知らない』1000エコ
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第57回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した作品である。
受賞したのは平成2年生まれの14才、柳楽優弥(やぎらゆうや)
監督は是枝裕和(これえだひろかず)
映画の最初にテロップで「この作品は実際の事件をもとにしたフィクションである」
と出てくる。
全然知らなかったのだが1988年に起きた「巣鴨子供置き去り事件」が
元ネタのようで実際の事件は映画以上に悲惨なもののようだ。
さてストーリーはアパートに置き去りにされた子供四人の生活を描く。
母けい子(YOU)は父親の違う四人の子供、
明(柳楽優弥)、京子(北浦愛)、茂(木村飛影)、ゆき(清水萌々子)
を抱えながらデパートで働き生計を立てていた。
しかし暮らしは楽ではなく
立場と生活を守るためまわりには「夫は海外出張中で長男と二人暮らし」だと嘘をつく。
当然存在しない明いがいは外へ出る事も許されず
その明も学校へ行けず妹や弟の面倒をみて過ごす毎日。
そんな中、ふと母けい子がもらす『ねぇ明、お母さん好きな人ができちゃったの』
『またかよ..』つっこむ明
『いや、今度は間違いないから』
母けい子はそう言い残しやっぱり子供を置き去りに自分の幸せに走る。
そして子供達四人だけの生活が始まった...
映画のあちらこちらに「どうしようもない感」が漂っている。
子供が抱える自分達の力ではどうしようもないもの
いじめに合う女子高生が抱えるどうしようもないもの
大人から見ると外へ助けを求めれば
そこから逃げてしまえばと簡単に思えるが
中にいる子供達にはそれが救いにはみえないのだろう。
まわりをとりまく環境はいつも永遠で不変にみえ
その中に身を置く事でしか自分を見いだせない子供は
絶望の中で生きているようなものなのかもしれない。
作品は141分と長くほとんどアドリブ状態の子供達の演技もあり
決してテンポが良いとは言えないが
その分、道路に響くピコピコサンダルの音、床にこぼれたマニキュアの赤、
カップヌードルの器に植えられた雑草の蒼
ノスタルジックで印象的なシーンも多い。

限られた世界にも誰にも知られず掴める幸せがあったことを思い出させる作品か


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