隠し剣 鬼の爪


「Roadster in cinema」



2004年10月26日火曜日

隠し剣 鬼の爪」中村900エコ
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「たそがれ清兵衛」に続く藤沢周平原作、山田洋次監督作品の第二弾である。
今作、たそがれの真田×宮沢ペアに対するのは永瀬正敏×松たか子
時代が急変してゆく中、確かなものを求め揺れる二人といった設定はほぼ同じ。
さて時代は幕末、
東北の小藩海坂藩に使える片桐宗蔵(永瀬正敏)は母、吟(倍賞千恵子)と妹の志乃(田畑智子)
それに女中奉公に来ていた百姓の娘きえ(松たか子)と貧しいながらも幸せな生活を送っていた。
しかしその後、母は亡くなり妹の志乃は嫁にいき
女中のきえも油問屋の大手、伊勢屋への縁談が決まり宗蔵はお手伝いさんの老婆と寂しく二人暮しの日々。
そんなある日、町中できえを見かけた宗蔵は
「不幸せそうじゃん」と激しく動揺。
そんな動揺を抱えたまま母の三回忌で妹の志乃から「きえさん寝込んでるらしいよ」と聞いた宗蔵は
いても立ってもいられず伊勢屋に飛び込みきえを連れ去ってしまう。
日に日に回復するきえとつかの間の幸福に包まれる宗蔵だったが
親友が謀反を起こしその成敗の命をうけ
次第に逃れられない時代の波に飲み込まれはじめた事に気づく...
時代設定は幕末ながら宗蔵が抱える上への不信感や世間の目への苛立ちなど
問題のほとんどは現在の僕らが生きていく上での障害と何ら変わる事はない。
その共有感が宗蔵と自分とをダブらせ
時代設定を越えすんなり物語に入って行く事ができるようである。
永瀬&松ペアは個人的には「たそがれペア」よりも良かったように思える。
永瀬はさすがに年が足りないのか厚みに欠けるように見えたが
松たか子は色気のない素朴な田舎娘に見事はまっていた。
ああいうつるっとした人の涙の絵はその軌跡で間を埋めるから不思議である。
ちょっと強引とも思えるラストのくだりも
その頃にはすっかり安心感を良しとする庶民に浸りきった僕には心地良くさえあった。

くり返される日常の不変さに疲れ始めた大人の階段のぼる人にお勧めでがんす


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