至福のとき  監督:チャン・イーモウ 出演:ドン・ジエ、チャオ・ベンシャン

近代化の波=ハーゲンダッツの波
 チャン・イーモウ監督による「あの子を探し   の大金がいると言われ失業中のチャオは困っ   基本的にはコメディー色の強い映画である。特

 て」「初恋のきた道」に続く”しあわせ三部   てしまう。何とかお金を工面しようと同僚だ   にさえない中年男、チャオが少女のために同僚
   
 作”の最終章である。残念ながら「あの子を   ったフーと相談するチャオ。そして公園に捨   とあれやこれやと手を尽くすシーンは微笑まし

 探して」は見逃したが何となくその嗜好は理   てられていたバスの車体を改装し、公園を散   く現場の楽しさが伝わってくるようだ。ただラ

 解できる気がする。そしてやっぱり今作もこ   歩するカップルに「至福のとき」を提供した   ストがちょっと悲劇的で、その唐突さからか巷

 れでもかと言うぐらいの純真無垢な少女が主   らどうかと思い付く。要はラブホテルだ。軌   では賛否両論の声があがっている。実はこのラ

 人公である。その盲目の主人公、ウー・イン   道にのるかに思われた至福の間に機嫌を良く   スト海外用の改正版との声もあり中国国内で公

 を演じるのは5万人もの応募者の中から選ば   したチャオはよせばいいのに自分は至福旅館   開されたラストとは大きく違うという。その中

 れたドン・ジエ。役柄上では18才だが実際   の社長だと大風呂敷広げる。そして案の定、   国版が不評で監督が差し換えたとの噂だが、そ

 はこの時20歳だったようで全然見えない。   天道よしみ似の相手女性から盲目の少女ウー   れがまた話題を呼ぶのだから監督も災難な話だ。

 軍隊に居た事が影響しているとは本人の弁だ   インを押し付けられる。仕方なくとぼとぼと   個人的には喜劇と悲劇のバランスも良く、ラス

 がそれもちょっと恐い理由だ。         至福の間へ少女を連れて行くチャオ。抜群の   トもおままごとではない厳しい現実がよく描け

 物語は最近、近代化の進む中国の大連が舞台。  タイミングで撤去されるバスの車体。誤魔化   ているように思う。画面に時折写る商業的な広
 
 どうしても結婚したい中年男、チャオ(チャ   すチャオ、「帰ってくるな」と怒鳴る天道よ   告とチャオのおっさん振りが対照的で、今の急

 オ・ベンシャン)は好みでもない女性との結   しみ似...盲目の少女とおっさんの運命は   速に近代化する中国への不安と危惧があらわれ

 婚話に夢中である。しかし結婚には5万元も   ?少女にとって至福のときとは?        ているってのは深読みし過ぎだろうか@