home page に戻る


        製作期間:2006年1月〜2006年10月

キット : マンチュア社 「カエサル」
縮尺 : 1/30(全長:620mm)
図面 : 両面印刷の一枚だけ
説明書 : 図面の中に書かれたきわめて簡単な説明のみ
その他 : 木材の質が極めて悪く、曲げると簡単に裂ける。このキットはとても初心者には薦められない。

参考資料: 1) Robert Gardiner (Editor): The Age of the Galley (2004) Conway Maritime Press
2) 塩野七生: ローマ人の物語II(1993)新潮社
3) Andrea Miniatures web site : Michigan Toy Soldier and Figure Company
4) Lionel Casson: Ships and Seamanship in the Ancient World (1995) The Johns Hopkins University Press

2006年10月28日
完成
Roman_Bireme

製作経緯

2006年1月、キットをマイクロクラフト社から入手した。初心者用とのことだが、図面と指示書があまり親切ではないので簡単ではなさそうである。

紀元30年頃のローマ帝国のガレー船ということになっているが、どこまで正しいのか良く分からない。
参考資料を頼りに修正しながら作ることにし、まず、甲板張りから始めた。キットには甲板用に幅8mmの板が入っていたが、少々広すぎるような気がしたので5mm幅に変更した。

3月に入って外板張りを始めたのだが、木材の質が極めて悪くいたるところで板が裂ける。補修にひどく時間がかかった。
その後、船首と船尾のブロックを取り付けた。この部分は板を貼って作るのではなく、バルサ材のブロックを鑢やサンドペーパーで整形して作るようになっている。

4月、オールポートを作った。この位置はメモ1に詳細を示したように、一旦、大幅に変更した。

5月、船体を褐色に塗装した。キットにはメモ2に示したような船首の眼や舷牆の模様が印刷された紙が入っていたが、それを使わず自分で描いた。

メモ3にも示すごとく、ローマ帝国のガレー船を象徴する兵器は敵船に乗り移るための橋「コルバス(corvus)」2)-4)である。 この模型のキットにはこの重要な兵器がなかったので、これを付け加えることにした。

7月、マストを立て、タワーとテントの枠組みを設置した。タワーはコルバスを船首に設置したため、船尾におくことにした。

8月、帆を取り付けた。 このキットには布製の帆が入っているが、メモ5に示したように黒い線が印刷されているため、どうも好みに合わない。そこで、敷布とミシンを使って自分で帆を作った。リギングに関する資料は極めて少ないため、ほとんど想像によった。

9月、オールを取り付けた。ただし、メモ1に記したように、一度変更した配置をもう一度変更してキットの指示通りに戻すことにし、すべてのオールポートを突起物の下に作り直した。
11月、突起物に開けていたポートを塞いぎ、帆の形を手直しして完成した。


メモ

1)

box_picture キットではオールポートはこの箱絵の写真のようになっているが、このような位置にオールを取り付けている例は他の資料にはない。ここでは、この模型に極めてよく似たAndrea MiniaturesのRoman Biremeの完成写真を参考にして変更した。(過去の状況の4月23日参照)

*********************

上に書いたように、4月にオールポートの位置を変更したのだが、これは間違いだったかもしれないことに8月になって気がついた。 参考資料4に以下のような記述があったのである。
以下に簡単に要約する。

142ページの記述
biremeはアウトリガーのない小型のaphract(甲板上に構造物がない)ガレーである。上段のオールは格子状の舷牆から突き出しており、下段のオールはガンウエール直下のポートから突き出している。
143-145ページの記述
多くの場合、船首から船尾まで船体に沿って突起物が取り付けられており、それは rowing frame によく似ている。しかし、これにはオールは取り付けられておらず、オールは、この突起物の下の船体から突き出している。
----------------------
この突起物が何のためのものなのかは推測するしかないが、多分、漕ぎ手のための盾となる、巨大なバンパーの役割を果たしていたのだろう。
----------------------
また、敵船に飛び込むための足場になっていたのだろう。
*********************

oarport_at_outriggerどうしようかかなり迷ったが、結局、キットの設計図の通りに戻すことにした。その前に、この突起部をアウトリガーとする構成でオールを取り付けてみた結果を左の写真に示す。
この方が、かっこ良いように思うのだが、間違いでは仕方がない・・・・・・・・



2)

printed_sheet キットには写真のような模様を印刷したシートが用意されている。しかし、なんとなく好みに合わない感じがしたので自分で描くことにした。

3) Bill Thayer's Web Site に、 コルバスに関する以下のような記述がある。
CORVUS, a sort of crane, used by C. Duilius against the Carthaginian fleet in the battle fought off Mylae, in Sicily (B.C. 260). The Romans, we are told, being unused to the sea, saw that their only chance of victory was by bringing a sea-fight to resemble one on land. For this purpose they invented a machine, of which Polybius has left a minute, although not very perspicuous, description.
In the fore part of the ship a round pole was fixed perpendicularly, twenty-four feet in height and about nine inches in diameter; at the top of this was a pivot, upon which a ladder was set, thirty-six feet in length and four in breadth. The ladder was guarded by cross-beams, fastened to the upright pole by a ring of wood, which turned with the pivot above. Along the ladder a rope was passed, one end of which took hold of the corvus by means of a ring. The corvus itself was a strong piece of iron, with a pike at the end, which was raised or lowered by drawing in or letting out the rope. When an enemy's ship drew near, the machine was turned outwards, by means of the pivot, in the direction of the assailant. Another part of the machine which Polybius has not clearly described is a breastwork, let down from the ladder, and serving as a bridge, on which to board the enemy's vessel. By means of these cranes the Carthaginian ships were either broken or closely locked with the Roman, and Duilius gained a complete victory.

この文章だけから正確な形や動作を再現するのは不可能だが、梯子の長さ36フィートというのはいくらなんでも長すぎる。多分、ポリビウス(ギリシャの歴史家)の記述にあるコルバスはもっと大型の船に装備されていたものであろうと考えて、全体の寸法を適宜縮小することにした。

4) 参考資料4の122ページにタワーに関する記述がある。それをそのまま引用しておく。
Since the ships were so low, to give the marines height enough to sweep an enemy's deck, collapsible towers, which could be swiftly set up or dismantled, were carried fore and aft.
Towers erected on merchantmen are reported as early as the 5th B.C.. The first recorded use in a strictly naval action was at the Battle of Chios in 201 B.C.. Eudamus, admiral of Rhodian contingent that fought Hannnibal's powerful fleet in 190B.C., had turrets on his flagship, which was a "four". When Crassus besiedged Rhodes in 43 B.C., he equipped his ships with "collapsible towers, which were then set up".

towerところで、タワーの模様がレンガを積み上げたもののように見えるが、船の上にレンガで造るはずはない。心配になって調べてみた。
その結果、参考資料4に、右の絵に示すような紀元前1世紀頃のレリーフ(Praenesteという所で発見され、現在バチカン美術館に所蔵されている)の写真があり、そのタワーの壁は確かにレンガを積み上げたような模様であることがわかった。そこで、多分、板にこのような模様を描いたのであろうと考えることにし、レンガ模様を描くことにした。なお、この線画は参考資料4のillustration130の写真の一部をトレースしたものである。

5)

sail_kit キットには写真のような模様を印刷した帆布が入っている。しかし、黒線がはっきりしすぎていて好みに合わないので自分で作ることにした。

6)

anchor 錨は参考資料4のillustration185を参考にして作った。紀元1世紀前半頃のもので、主要部分は木製だが、アームとシャンクを一体化している帯状の金属部分とストックは鉛だとのこと。


過去の状況:

過去の状況を少し詳しく別のページに示してあります。下のボタンをクリックしてご覧ください。
着工から前回更新分まで

拡大写真 :

各部分の拡大写真を別のページにまとめました。下のボタンをクリックしてご覧ください。