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写真(クリックすると拡大します) 備考
bow
船首部分です。

レパントの海戦当時のベネチアのガレー船では、船首部に大砲5門を集中している。中央に重さ5,500ポンドの52-55 pdr cannone 、その両側に2門の12 pdr aspidi がありその重さは合わせて1,200ポンドである。さらに、その両側には5-6 pdr falconetti が配置されており、その重さは合わせて900ポンドである2)。したがって、その総重量は7,600ポンド(約3.4トン)になる。

この模型では大砲の前にある梁とcorsia を接続せず、corsia の前部を切断してその間に主砲を置いた。
100年ほど後のフランスのガレー船ではcorsia は梁まで伸びており、主砲はcorsia の上に配置されているが、参考資料1のp119にあるDon Alvaro de Bazan宮殿の壁画「The 1583 Spanish assault on Terciera」に描かれているガレー船では、戦闘用プラットフォームの高さがcorsiaと同レベルであり、corsiaはプラットフォームの手前で切れている。この絵が正しいと考えれば、当時は私の模型のような主砲の配置であったと考えられる。

この当時の錨はこんな形のものであった。

参考資料3の208ページによると、ヴェネチアのガレー船では衝角は金メッキされていたそうなので、当初、鉄を想定して黒色塗装していたが、最終的に金色に塗装しなおした。

fighting_platform
戦闘用プラットフォームです。

ガレー船の大砲の上には兵士が乗る戦闘用プラットフォームがある。ただし、参考資料2のp223の記述によると、当時のベネチアのガレー船の戦闘用プラットフォームは、他国のものとは違って、作り付けではなく、いわば組み立て式のようなものであったらしい。すなわち、肩の高さの柱の上に船体方向に伸びる4本の梁が載せられ、その上に梁と直角になるように板が敷かれていた。この梁は後方が前方よりやや高くなっているため、プラットフォームは前傾した形となっていた。さらに、主砲の上には板は敷かれておらず、砲手が砲煙に悩まされるようなことがないようになっていた。---とのことである。
実際にこの記述にしたがって作成してみたのだが、前方に傾斜した形は実用的かもしれないがあまり格好の良いものではない。

hull
オールの下側から覗いたところです。
指揮官用のガレー船では船体もオールも朱色に塗装されているが2)、この船は一般の戦闘用ガレー船なので両方とも褐色に塗装している。オールの数は144本。同じように作るのが大変だった。

Venetian_Lion
旗です。

ベネチアの旗の図柄は「ベネチアのライオン」である。
最初、布の上にライオンの絵を手書きして作ろうとしたのだが、あまりに難しい。"Flag of the World"の図をコピーして左右反転し、インクジェットプリンターで通常のコピー用紙に両面に印刷して作った。つや消し透明塗料で覆えば布の様になるかと思ったのだが、結果は残念ながら紙であることがバレバレとなってしまった。

mast_foot
船体中央部です。
リギングはイタリアのMarco Brancaleon氏からかなり情報をもらってそれを参考にして行った。それでも、かなりの部分は想像によっている。
pennant
セイルとペナントです。

帆は薄い布にミシンで縦の縫い目の線を入れ、糸をほぐした繊維で帆桁に縛り付けた。参考文献5の366ページにある記述では、ガレー船では帆桁に縛り付ける紐(ガスケット)に乾燥した草を使い、開く時には帆足綱を引っ張ってこのガスケットを引きちぎり一気に開いたそうである。

参考資料2の206ページによると、レパントの海戦のときベネチア軍のガレー船がいた左翼は黄色のペナントをつけていたとのことである。そこで黄色のペナントをつけることにしたのだが、図柄があったのかどうかは良く分からない。やむなく、適当に十字架を描いておいた。また、本当に黄色にするとひどく安っぽくなってしまうのでオレンジがかった黄色にした。

cage_and_canopy
船尾楼甲板を覆う格子状の覆いとその上に被さっている天蓋、ならびに8門のスイベルガンです。
参考文献2の323ページによると8門のスイベルガンはbombardelliというずんぐりした青銅製のものらしいとのこと。また、設置されていた場所などは良く分かっていないのだが、この模型では後部に集中して配置した。

後甲板上の天蓋の図柄がどんなものだったのか良く分からない。やむなく、それらしい図柄をマンデルブロー集合の描画ソフトを使って作った。当初、紙にプリンタで印刷して作ったがどうも安っぽいので、布にアクリル絵の具で書き直した。そのため図柄があいまいになってしまった。

stern
船尾です。

ライオンの紋章とランタンがなかなかカッコいいでしょ。

フランスのガレー船ラ・レアルなどでは船体とapostisの間隔が梯子の幅よりかなり広いが、この模型は、「細身のガレー船」なので、同じになっている。この構造の根拠は、参考資料1のp118の絵(A woodcut of a1561 battle between galleys and carracks)とp148の絵(An engraving of Lepanto)である。


参考資料
1)John Francis Guilmartin, Jr.:Galleons and Galleys (2002) Cassell & Co
2)John Francis Guilmartin, Jr.:Gunpowder & Galleys (2003) Conway Maritime Press
3)Jack Beeching:The Galleys at Lepanto (1983) Charles Scribner's Sons
4)Robert Gardiner: The Age of the Galley (2004) Conway Maritime Press