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ビール

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もくじ   1.ビールとは?
  2.ビールの歴史
  3.ビールの分類
     発酵方法(上面発酵と下面発酵) / 代表的なビールの種類(エール、スタウト、ケルシュなど)
  4.ビールの一般的な造り方
  5.その他ビールについて
     ドラフト / ブルワリー / 副原料 / ホップ / 発泡酒 / ノンアルコールビール
  6.ビールの選び方、飲み方
     選び方 / 飲み方 / テイスティング

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1.ビールとは?

  ビールは、大麦や小麦の麦芽を主原料とし、ホップで苦味や香りをつけた発泡性の醸造酒です。アルコール度数は、5度前後のものが最も多く、3度〜10度くらいまであります。副原料には、コーンスターチや米などが使われます。
  麦芽の使用率が2/3未満のものは「発泡酒」という分類になります。

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2.ビールの歴史

  ビールの歴史はかなり古く、紀元前4000年にはすでに存在していたと言われています。最初のビールは、麦芽から造られた甘い粥に酵母が入り込み、アルコール発酵が起こることで生まれたとされています。紀元前3000年頃のメソポタミアのシュメール人が残した粘土板の碑には、当時のビールのつくり方が描かれています。
  ビールの品質向上の歴史としては、1516年には、ドイツのウイルヘルム4世によりビール純粋令(=ビールの原料は大麦とホップと水のみとする)が布かれ、ビールの品質が向上しました。また、当時主流であったビールは、常温で発酵が起こる「上面発酵ビール」でしたが、19世紀にリンデが冷却機を発明したことで、低温で発酵する「下面発酵ビール」がいつでも造られるようになりました。さらに、パスツールの低温加温殺菌法(60℃で30分加熱する方法、パスツリゼーション)の開発により保存性が向上し、ハンゼンによる酵母の純粋培養によりビールの品質が一定に保たれるようになりました。
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3.ビールの分類

発酵方法
  ビールの発酵方法は「上面発酵」「下面発酵」の2つが主流で、他に「自然発酵」「乳酸菌並行発酵」のものもあります。
発酵法特色
上面発酵上面発酵酵母を使い、常温で発酵が行われます。発酵時に、酵母が液面に浮いてきます。醸造期間は2週間程度と短めです。できたビールは香味が強く、フルーティな風味があります。エール(イギリス)、スタウト(イギリス、アイルランド)、ケルシュ(ドイツ)、アルト(ドイツ)、ヴァイツェン(ドイツ)などがあります。
下面発酵下面発酵酵母を使い、低温(6〜15℃)で発酵が行われます。発酵が終わると、酵母が底に沈みます。醸造期間は4〜6週間以上と長めです。できたビールは香りが弱めで、すっきりしています。現在では、この下面発酵が、世界のビール造りの主流となっています。ピルスナー(世界中)、ラガー(世界中)、メルツェン(ドイツ)、ボック(ドイツ)などがあります。
自然発酵酵母を人為的に加えず、自然界の酵母を取り入れて発酵させます。ランビック(ベルギー)のみです。
乳酸菌並行発酵上面発酵酵母と乳酸菌が共存した状態で発酵が行われるために、酸味があります。ペルリナー・ヴァイス(ドイツ)のみです。


代表的なビールの種類

・エール
  イギリスで伝統的に造られている上面発酵ビールです。麦汁濃度が比較的高く、苦味が強く、酸味があり、独特の香気をもっています。色が薄いものを「ペールエール」、色が濃く苦味が強いものを「ビターエール」といいます。飲み温度は13℃くらいです。

・イングリッシュ・スタウト
  イギリスで造られる、糖を加えて造った上面発酵ビールです。糖、ミルク、オートミールなどを加えて造るために、甘みがあり、甘く滑らかな口当たりです。

・ドライ・スタウト
  アイルランドで造られる上面発酵ビールです。ハイローストの麦芽を使っているので香ばしく、色は濃い。柔らかい口当たりで、コクがあり、甘さが感じられ、バターのような風味があります。ギネス社のものが最も有名です。室温で飲むと風味がよく感じられます。

・ケルシュ
  ドイツのケルン地方で造られている上面発酵ビールです。少量の小麦麦芽を含むものもあります。淡色で軽くまろやかで、フルーティーな香りがあり、炭酸ガスは少なめです。飲み温度は5℃くらいです。ソーセージにあいます。

・アルト
  ドイツのデュッセルドルフで造られている上面発酵ビールです。「アルト」はドイツ語で「古い」の意です。淡色麦芽と濃色麦芽を使用し、色はやや濃い赤銅色です。コクがあり苦味が強く、フルーティーな芳香があります。エールに似ているが、酸味はエールよりも弱めです。

・ヴァイツェン
 ドイツで作られる、小麦を50〜60%使ったビールです。基本的には上面発酵ですが、二次発酵で下面発酵を行うこともあります。「ヴァイツェン」はドイツ語で「小麦」の意です。薄い金色からブロンズ色のものが多く、色が濃いものは「ドゥンケル・ヴァイツェン」と呼ばれます。丁子やバニラの香り、様々な果物のフルーティな香りがします。レモンスライスを添えてもよいようです。

・ピルスナー
  チェコのピルゼンで造られ始め、現在では世界中で造られている下面発酵ビールです。二条大麦を使用した、ホップのきいたドライで爽快な香味で、色は淡色です。日本の淡色ビールも、ほとんどこれにあたります。

・ラガー
  下面発酵を行い、低温で熟成させたビールです。「ラガー」は「貯蔵庫」の意です。貯蔵を行うことで、味と貯蔵性が向上します。ドイツのラガーのうち、淡色のものはヘレス、濃色のものはドゥンケル、ピルスナータイプはピルスと呼びます。

・メルツェン
  ドイツで造られる下面発酵ビールです。「メルツェン」は「三月」の意です。冷却装置がない頃から下面発酵を行っていたので、秋〜春(三月)のみ仕込むことが可能であり、とくに三月に造られたビールは、夏に備えて貯蔵性を高める目的で、高いエキス分のものが造られました。二次発酵がじっくり行われた9〜10月に飲むのに適しています。エキス分が高く、麦芽の風味が強くてほろ苦く、色はブロンズ〜赤色です。

・ボック
  ドイツで造られる下面発酵ビールです。いわゆる「強いビール」で、エキス分が多く、アルコール度数が高め(約6.8%)です。コクがあり、辛口で芳醇な味わい、色は濃いめです。とくに濃いボックは「ダブル(ドッペル)ボック」といいます。

・ランビック
  ベルギーで造られる、自然界の酵母を使って造る小麦ビールです。煮沸後の麦汁を蓋をせずに放置し、ゼナ川周辺に生息する野生の酵母を取り入れます。様々な果物やナッツの香りがし、酸味があります。熟成中にブラックチェリー(クリーク)やラズベリー(フランボワーズ)を入れたものもあります。

・ベルリナー・ヴァイス
  ドイツで造られる、大麦と小麦を使った上面発酵ビールです。「ヴァイス」は「白」の意です。上面発酵酵母と乳酸菌が同時に働き(乳酸菌並行発酵)、フルーティーな酸味があります。色は淡色で苦味は弱く、軽く爽やかです。

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4.ビールの一般的な造り方

  1.大麦を水に漬けて発芽させます。発芽した大麦を麦芽(モルト)といいます。
    発芽した大麦の内部では、デンプンを糖にする酵素が作られます。
  2.麦芽の酵素が増えた時点で、麦芽に熱風をあてて焙燥させ、発芽を止めます。
      70℃程度で軽い焙燥・・・淡い麦芽、ピルスナー向き
      120℃前後で強く焙燥・・・濃色麦芽、コクがある
      濃色麦芽よりも強く焙燥・・・チョコレート麦芽
      さらに強く焙燥・・・黒麦芽
      加湿しながら焙燥・・・カラメル麦芽
  3.主原料である麦芽と副原料である米やスターチなどの混合物に
    温水を加えて混ぜ合わせ、60〜70℃に保つと、麦芽に含まれる酵素の働きで
    デンプンが分解されて糖になります(糖化)。
    こうしてできた甘い液体を「麦汁」といいます。
  4.麦汁をろ過し、ホップを加えて1時間以上煮沸すると、ビール特有の
    苦味や香りが麦汁につきます。煮沸後、沈殿したオリを取り除きます。
  5.麦汁を冷やし、酵母を加えると、アルコール発酵が起こり
    糖分が、アルコールと炭酸ガスに分解され、「若ビール」ができます。
      下面発酵・・・発酵温度は5〜10℃、発酵期間は7〜10日。
      上面発酵・・・発酵温度は15〜20℃、発酵期間は3〜4日。
  6.若ビールをしばらく貯蔵して熟成させると(貯酒)、香味がまろやかになり
    炭酸ガスがビールに溶け込んで発泡性となります。
    上面発酵の熟成期間は数日〜1ヶ月、下面発酵は1〜数ヶ月です。
  7.ろ過を行って酵母などを取り除き、ビンや缶などに詰めます。
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5.その他ビールについて

ドラフト
  加熱殺菌していない「生ビール」のこと。微細なフィルターを通すことで、酵母や雑菌を完全に取り除いてある。加熱による香味の変化がなく、生の風味が活きている。


ブルワリー
  ビールの醸造所。小規模な醸造所をミニブルワリーやマイクロブルワリーなどと言い、そこで造られるビールを地ビールといいます。


副原料
  麦芽の原料となる大麦や小麦以外に使われる原料のこと。コーン、コーンスターチ(とうもろこし澱粉)、スターチ(ジャガイモなどの澱粉)、米などがあります。副原料を加えると、コクが抑えられ、すっきりした味わいになります。


ホップ
  クワ科のつる性植物で、学名はHumulus lupulus。ビールに使うのは雌花(毬花)です。麦汁に加えることで、ビールに苦味や香りがつきます。


発泡酒
  ビールと同じ原材料を使っていても、水とホップ以外の原材料における麦芽の使用比率が2/3以下のものは「発泡酒」となり、酒税法上では「雑酒」として扱われます。とくに麦芽の使用比率が25%以下だと、税金がかなり安く抑えられるので、日本の発泡酒のほとんどは麦芽が25%以下となっています。発泡酒は、ビールよりもエキス分が少ない分コクが弱いものの、価格の安さが魅力となっています。


ノンアルコールビール
  ビールと同じように造られたものの、アルコールが1%未満のものを「ノンアルコールビール」と言います。酒には分類されず、「炭酸飲料」になります。ノンアルコールビールの造り方には、以下のようなものがあります。
  ・ビールを減圧し、アルコール分を揮発させて除く
  ・水とアルコールのみを通す膜を使って、ビールからアルコールを除く
  ・発酵過程で、アルコールが1%未満になるように発酵を調整する。
  通称は「ノンアルコール」でも、実際にはアルコールが多少なりとも含まれている「低アルコール」のものがほとんどなので、多く飲めば酔います。ご注意を。
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6.ビールの選び方、飲み方

選び方
  出荷されると徐々に品質が低下していくので、なるべく新しいものを買うようにし、冷暗所で保存して早めに飲みます。封を開けるとどんどん酸化して味がおちるので、あまり飲めない人は小さい瓶や缶のものを買うといいでしょう。


飲み方

・温度
  日本で一般的なラガービールは、夏は4〜6℃、冬は6〜8℃が飲み頃の温度です。家庭の冷蔵庫で3〜4時間くらい冷やすと、飲み頃の温度になります。ビールをすぐに冷やしたいときは、缶ビールなどを氷水に入れて数回回すとすぐに冷えます。グラスも冷やしておくと、細かい泡がたち、冷たい状態を保ったまま飲むことができます。
  エールはやや冷たい程度の13℃くらい、ドライ・スタウトのギネスは室温で飲むのに適しています。

・注ぎ方
  冷えたグラスを机の上に置き、ビールをまず1/3程度勢いよく注ぎます。そのまま少し待ち、大きな泡が消えて細かい泡だけが残ったら、グラスのふちからビールをゆっくり注ぎ足します。細かい泡が全体の3割くらいある状態がよい状態とされ、飲んだ後にグラスの壁面にリング状の泡が残ります。この泡は「エンジェルリング」「ブリュッセルのレース」などと言われます。
  上手に細かい泡がたつと、ビールの酸化を防ぐことができ、おいしい状態が保たれます。

・飲み方
  泡の下からビールを飲み、泡を常に残すようにします。グラスのビールが完全に無くなってから、次のビールを注ぐようにします。


テイスティング

 ビールのテイスティングでは、ビールの香り、味、感覚、後味、ビールのタイプの特徴が出ているか、などについて確かめます。まず、ビールを注いだグラスを鼻に近づけて、グラスを軽く回し、香りをかぎます。次は、ビールを口に含み、口中で感じる香り、味や苦味、炭酸の感覚を確かめます。さらに飲み込み、咽喉ごしや後味を確かめます。実際に審査を行う場合は、「香り」「味」「フレッシュさ」「口蓋での感覚」「苦味の質」「ビールタイプのよる特有の味と香り」という項目で点数をつけます。
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2003.4.17