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酒に強い体質、弱い体質

tuta
 
もくじ   1.お酒に強い体質と弱い体質
     アセトアルデヒド脱水素酵素の有無
     その他の要因
  2.アルコールに強い体質かどうかの判定
     アルコールパッチテスト
     親の体質から推定
  3.酒を控えたほうがよいとき
     体調がすぐれないとき
     妊娠中など

tuta

1.お酒に強い体質と弱い体質

アセトアルデヒド脱水素酵素の有無

簡単な説明:
  体内に吸収されたアルコールが分解するときには、途中でアセトアルデヒドという毒性の高い物質が作られます。日本人にはアセトアルデヒド脱水素酵素がよく働く人、働きが弱い人、まったく働かない人の3種類が存在します。酵素がよく働く人は酒に強く、働きが弱い人は酒にやや弱く、まったく働かない人はいわゆる「下戸」となります。

詳細な説明:
  お酒を飲んで体内に吸収されたアルコールは、肝臓で「アルコール→アセトアルデヒド→酢酸→二酸化炭素と水」という経路で分解されます。アセトアルデヒドは悪酔いの原因となる毒性の高い物質です。アセトアルデヒドが酢酸へ分解する際に「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)」という酵素が働きます。アルコール代謝時に働くアセトアルデヒド脱水素酵素には、アセトアルデヒドが高濃度のときに働く「ALDH1」と、アセトアルデヒドが低濃度のときに働く「ALDH2」の2種類があり、お酒を飲んだときには、主に「ALDH2」のほうが働きます。(ちなみにアセトアルデヒド分解酵素自体は6種類あります。)
  しかし、人類が持っているALDH2遺伝子には、活性がある(遺伝子から作られた酵素がアセトアルデヒドを分解できる)遺伝子と、活性がない(遺伝子から作られた酵素がアセトアルデヒドを分解できない)遺伝子があります。2本の染色体の両方に活性型遺伝子を持っている人は、アセトアルデヒドを分解する活性が充分にある「活性型」であり、お酒を普通に飲むことができます。しかし、1本の染色体にしか活性型遺伝子を持っていない人は「低活性型」で、あまりたくさんのお酒を飲むことができず、両方の染色体ともに活性型遺伝子を持っていない人は「不活性型」となり、お酒をまったく飲むことができません。
  日本人全体が持っている活性型遺伝子(N)と不活性型遺伝子(D)の割合は約3:1で、活性型(NN)の人が約56%、低活性型(ND)の人が約38%、不活性型(DD)の人が約6%となります。また、両親の遺伝子型から生まれる子の遺伝子型の可能性は、下の表のようになります(親:太字 子:細字)

 活性型(NN)低活性型(ND)不活性型(DD)
活性型(NN)活性型(NN)活性型(NN)
低活性型(ND)
低活性型(ND)
低活性型(ND)活性型(NN)
低活性型(ND)
活性型(NN)
低活性型(ND)
不活性型(DD)
低活性型(ND)
不活性型(DD)
不活性型(DD)低活性型(ND)低活性型(ND)
不活性型(DD)
不活性型(DD)

  世界中の人のALDH2遺伝子を調べると、白色人種や黒色人種の人は100%活性型で、アメリカ先住民やオーストラリア先住民などにはわずかに低・不活性の人が存在し、日本・中国・韓国人には低・不活性の人がかなり多く存在します。日本の地方別でみると、北海道や東北地方、南九州や沖縄の人は活性型の割合が高く(約64%)、中部、北陸、近畿地方の人は活性型の割合が低く(約53%)なっています。
  これらの理由として現在考えられている説としては、もともと人類は全員が活性型遺伝子を持っていたが、モンゴロイド系の祖先の誰かに突然変異が起こって不活性型遺伝子が現れ、それが子孫にも広まったのではないか、というものが有力です。日本の地域別の違いは、最初に日本に入ってきた縄文時代の人はすべて活性型であったが、のちの弥生時代以降に朝鮮から日本に渡ってきた人々の中に不活性型遺伝子があったためではないか、と考えられています。


その他の要因

・お酒への慣れ
  アルコールは、アルコール脱水素酵素(ADH)のほかに、ミクロソームエタノール酸化系酵素(MEOS)の働きでも分解されます。お酒を飲み続けると、ADHは増えませんが、MEOSは増える傾向があり、アルコールの分解能力が高まって、わずかながらお酒に強くなります。ただし、これはあくまでもアルコールを分解する酵素なので、アルデヒドを分解できない体質の人がお酒に強くなるのは無理です。また、MEOSが増加すると、お酒に強くなることで飲酒量が増えてアルコール依存症になることがある、他の薬の代謝も促進されて飲んだ薬が効きにくくなる、などのデメリットがあります。

・薬物の感受性
  薬物に対する中枢神経の感受性、つまり薬の効きやすさは、人によって違います。アルコールも麻酔作用がある薬物なので、薬や麻酔などが効きすぎてしまう体質の人は、アルコールの感受性が高い=お酒に弱い可能性があります。

・体格
  大柄な人は、血液や筋肉などの量が多いために、同じ量のアルコールを摂取しても血中アルコールの濃度が低く保たれるので、お酒に強い傾向があります。太っている人の場合は、脂肪分が多くても血液量が増えるわけではないので、肥満とお酒に強いかどうかとはあまり関係がないようです。

・性別
  女性は男性よりも代謝能力が低く、お酒に弱い傾向があります。なので、たとえ同じ体重で同じ量のお酒を飲んでいたとしても、女性のほうが肝臓障害などを起こす頻度が高くなっています。

・年齢
  子供(未成年)のうちは、身体が未発達で、アルコールの代謝能力が低いので、少量の酒でもアルコールの悪影響が出やすくなります。また、身体とくに脳の発達が途中なので、アルコールの摂取により、脳の萎縮や知能低下(とくに物の形や動きを認知する能力が低下)などが起こります。お酒を子供に飲ませないのはもちろんのこと、子供がジュースと間違えてお酒を飲んでしまう事故がたびたび起こっているようなので、注意が必要です。
  逆に年をとっていくと、代謝能力が徐々に低下するために、お酒に弱くなっていきます。若い頃と同じように飲んでいると、身体に重大な悪影響を及ぼすことがあるので、気をつけましょう。
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2.アルコールに強い体質かどうかの判定

アルコールパッチテスト

  アセトアルデヒドを代謝できる能力が高いかどうかは、アルコールパッチテストで簡単に判定することができます。

  アルコールパッチテストのやり方
  1.絆創膏(バンドエイドなど)に、消毒用アルコールを数滴しみこませます。
    (消毒用アルコールは、70〜80%に薄めたアルコールで、薬局などで売っています。)
  2.1の絆創膏を、上腕の内側の柔らかい部分に貼ります。
  3.貼ってから7分経ったら絆創膏をはがし、すぐにガーゼがあたっていた部分の肌の色を見ます。
    ここで肌が赤くなっていれば、不活性型(まったく飲めない体質)です。
  4.3で肌が赤くなっていなかった人は、さらに10分経ってから、同じ部分の肌の色をもう一度見ます。
    ここで肌が赤くなっていれば、低活性型(あまり飲めない体質)で
    肌の色が変わっていなければ、活性型(飲める体質)です。

  飲めない体質の人やあまり飲めない体質の人は、無理にお酒を飲まないようにしましょう。飲める体質の人でも、飲みすぎて身体を壊さないように心がけましょう。


親の体質から推定

  酒を飲めるかどうかは遺伝的に決まっており、両親ともに飲める体質の子供は飲めることが多く、両親ともにまったく飲めない体質の場合は、子も飲めない体質のことが多いようです。ただし、両親ともに少しは飲める体質の場合には、子がまったく飲めない場合もあるので、親が飲めるから飲めるはずだと無理に飲むのはやめましょう。詳しくは、アセトアルデヒド分解酵素の有無のところにある表をご覧下さい。
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3.酒を控えたほうがよいとき

体調がすぐれないとき

・疲れ、寝不足
  疲れているときや寝不足のときは、代謝能力が低下しているので、普段よりも酒に弱く、酔いやすくなっています。また、ストレスを紛らわすために、つい深酒をしてしまうこともあります。意識して酒量を控えたほうがいいでしょう。

・服薬中
  薬とアルコールの相互作用で、思わぬ副作用が出ることがあります。薬を飲んでいる期間には、お酒は飲まないようにしましょう。


妊娠中など

  アルコールやアセトアルデヒドは胎盤を通り抜けるので、妊娠中に酒を飲むと、胎児にもアルコールやアセトアルデヒドが行くことになります。親がアルコールを分解できる(飲める)体質でも、子がアルコールを分解できない(飲めない)体質ということもあり、子供に思っている以上に重大な影響が出る可能性があります。母親が多量の酒を長期間飲むと、「胎児アルコール症候群」と言われる発達遅延・神経系などの障害・特徴的な顔つきなどの異常を持った子供が生まれる率が高くなるそうです。
  ただ、酒には、血行をよくしたり、気分転換になったりするというプラスの面もあり、完全に断酒する必要があるかどうかは専門家の間でも意見が分かれています。飲む量を控えるか、完全に断酒するかは、自分の判断で決めるしかないでしょう。
  女性のアルコール依存症患者の場合でも、着床する直前から断酒すれば、胎児はアルコールの影響をほとんど受けないそうです。また、女性が酒を飲まなくても、男性がアルコール依存症の場合は、胎児に異常が起こる場合があるそうです。
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2003.4