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何の予告もなしにフラリと行きつけの御茶屋に現れた文鳥侍。 「あ!!ばば。いつものやつ一本。」 「またどっか修行かい?おみゃ〜しゃんもがんばるのぉ。ふぉっふぉっふぉ。」 「あっ!やっとみつけたわ。愛しの文鳥侍さま♪」 一人の娘が文鳥侍に気づき、走り寄って来た。 「ひっ人違いだ。帰ってくれ!」 「そんな・・・。」 「ふぉっふぉっふぉ。むしゅめさん、文鳥侍を追いかけても無駄なことだわさ。 このお侍さんは、ぶらりと修行に出てしまう悪い癖をもっとるでなぁ」 「・・・。」 その場をそそくさと立ち去ろうとする文鳥侍。 だが、娘はしつこかった! 文鳥侍の袖をぐいと引っ張り、 「離さないわよ〜っ!修行にだってついて行くんだから!!」 「!!!!!」 何やら異様な雰囲気をかもし出す娘に、慌てて走り出した文鳥侍。 ビリッッ!! スッテーンッッ!! 「あああ・・・。ぶ、文鳥侍さまぁ〜〜〜!」 娘の手には侍の残した純白の羽が一枚・・・。 「大切に持っているんだよ。」 茶店のおばばは小娘に言った。 「??どうして?」 泣きながら潤んだ瞳でおばばを見つめる小娘。 「それはね、その羽を大切に家宝として拝んでいたら、 神様がそのうちに2人を会わせてくだしゃるよ。」 「本当?!わかりました。大切に大切に持ってます!!」 娘がいなくなった後、人知れずにため息をつくおばば。 「ハア〜。おしゃむらいしゃんのブラリ旅癖は、いつ治るのかのぉ。 産みの母として、早く落ち着いてほしいものじゃが・・・。」 !!!なんと!おばばが文鳥侍の産みの母??? そんなこともつゆ知らず、文鳥侍は今日もゆく。 「あの茶屋のおばば・・・何か・・・怪しいでござる。」 そう、文鳥侍は母の顔を知らない。 幼き頃、母は屋敷からある日突然姿を消した・・・。 そして大好きだった兄上も。 「拙者は所詮一人。一人で旅を続けるのだ・・・」 何かを隠す文鳥侍。次第に明らかになる過去。 そう、文鳥侍は、おばばが自分の産みの母ではないかとうすうす感づいていた。 それは、おばばが派手にずっこけた時のことだ。 「あっ!スッテ〜ン」 そのときおばばの右太股に、星形のあざが・・・。 「っ!!あっあれは!」 そう。 侍の右太股にも同じような星形のあざが・・・。 そして、そのあざとは昔々に大量殺人をして島流しになった男の 恨みをかった一族にしかできないという噂も。 一体過去に何があったのだろう? そして、母と一緒に姿をくらませた兄の行方は?? 過去を追い求める文鳥侍。 とある町外れに宿を取る。 そこには世にも奇妙な占いばばあ「ぶんちょ」の姿が・・・ ここで、今までの過去が明らかになるのか。 いや、ひきかえすのか?文鳥侍。 悩む文鳥侍・・・。 この先を大きく左右する運命の分かれ道に立たされ 決断を迫られる文鳥侍・・・。 ・・・とその前を一匹の黒い野良猫が横切った。 「!ふ、不吉な・・・」 「お若いの お悩みかい〜?」 突然 背後から不気味な声が・・・ 振り向くとそこには!! かつての恩師:ちもる教祖が立っていた。 「こ、これは教祖殿。いつぞやは・・・。」 「フフフ♪何の何の。で、今日はまた何を悩んどるのかのぉ?」 「いえ、少々気になることがあるもので、そこの占いばばぁに占ってもらおうかと。」 何かイヤな汗をかきながら、文鳥侍は教祖に話し始めた・・・ と、その時ッッ!! 「あ・・の・・・?あきのすけ様??」 かつて聞き覚えのある声だった。 「?!!ラ、ラム殿?!」 そう。 その声は文鳥侍が幼少時代、屋敷によく遊びに来ていた幼なじみのラムだった。 「やっぱり?」 嬉しそうに駆け寄るラム。 しかし、文鳥侍は後ずさる。 「どうした?文鳥侍??知り合いか??」 恩師:ちもる教祖が不思議そう尋ねる。 「・・・や、ひ、人違いでござるっっ!!」 「済まぬ。ちもる殿!また後ほど連絡するでござる〜!」 慌てて文鳥侍は駆けだした。 「・・・あきのすけ様。」 「どれ、娘さん。何か訳がありそうじゃな。 このちもるに話してみてはくださらんか?フォッフォフォ。」 こうして、占いおばばに見て貰うこともなく 文鳥侍はその場を去った。 しかし、その一部始終をこっそり見ていた者がいた。 桔梗屋=くまのみであった・・・。 「これはよいものを見たな・・・フフフフ。」 ちもるに胸の内を明かすラム。 「実はあきのすけ様のことを私は・・」 「ふ〜む・・ラム殿『あきのすけには近づくな』と暗示が出ておる・・深入りせぬ事じゃ」 「そ・・そんな・・」 「はて?面妖な・・『近々あきのすけと再会する』とも出ている。どういうことじゃ・・?」 ちもるの占いの結果に、納得のいかないまま屋敷を出るラム。 すると背後から何者かがラムを羽交い絞めにし、顔に薬の染み付いた布を当てる。 ラムの意識が遠のく・・ 「へっへ。さすがに南蛮渡来の黒炉不尾流無・・よく効くわい」 「この娘を餌に文鳥侍をおびき出してやる」 不敵に笑うこの男・・くまのみであった・・ 何も知らずに一人町をさまよう文鳥侍。 「う〜む。久しぶりにラム殿に会えたというのに・・・。」 そう。侍にはラムと公に話をする事ができない理由があったのだ。 「ラム殿は、老舗の煎餅やの娘。何者かに命を狙われているという。 今迂闊に声でもかけたら、私のいないところで何者かに・・・」 「はっ!!ラムが危ない!!」 あわてて引き返す文鳥侍。 しかし・・・文鳥侍の見た物は・・・。 何者かに斬りつけられ傷ついたちもる教祖の姿。 「ちもる殿!!いかがなされたかっ!!」 「あぁ。文鳥侍よ・・・。何者かがいきなり背後より斬りつけてきて、ラム殿を・・・。すまぬ。」 「!!!なに?!ラム殿を?」 「たすけて〜〜、あきのすけさま〜〜」 「はっ!?ラム殿!?」 文鳥侍は今確かにラムの声を聞いたような気がした! しかも、何故かラムの声が喜びに打ち震えているようだ・・・ 何故だ!?何故ラム殿はあのような声を? 急げ文鳥侍! ラムが不可思議な世界に旅立たぬようにするのだ!! |