-第一部:旅立ち編-


・・・時代は江戸。

世間では文鳥を愛でることを固く禁ずるお上からのおふれが出回り、
それ故、闇ルートでの文鳥取引が行われていた。

「しらをきっちゃーいけねぇぜ、娘さん!!」
「こっちにゃー、ちゃんと証文もあるんだよ!!」
「できねぇっていうんなら・・・ヒッヒッヒ。」

ここに、文鳥を愛するあまり、偽の証文を取られてしまった哀れな娘がいた。

「私には身に覚えの無い事でございます!」
「あぁぁぁーーーーれぇぇぇーーーー(くるくるくる)」

「ふははは!!(~ー~)回れ回れ!!そこがたまらんっっ」
(と、隣の襖をおもむろに開ける)
するとそこには枕が二つ並べられた布団が・・・

「なっ何をなさるおつもりです」
「へっへっへ、カマトトぶりやがってぇ〜。知れた事・・
銭の替わりにおまえの体で払ってもらうのさ」
「おやめくださいませ、ああ〜」

すると悪人の表情が一瞬こわばる、そこには・・・

ピィー♪ピイピピピィ♪(笛の音)
薄布を被った侍が立っていたのであった!!

「き、貴様何ヤツ?!!」
「・・・弱きを助け、強きを憎む。文鳥侍、ここに見参っ!!」
「ぶ、文鳥侍さまぁ〜〜♪」

「こしゃくなぁ〜、皆のものであえ!であえ!」
取り囲まれる文鳥侍、絶体絶命の危機・・

しかし文鳥侍少しも慌てず
「秘剣!求愛ダンス!・・ぴーちょっちょ、ぴーちょっちょ、ぴちっちっち、ぴー」
なんと笛の音かと思っていたのは文鳥侍の声だった・・
しかも、そのままサカリがついて娘を押し倒したではないか!

「あ〜〜れ〜〜」
しかしその時、文鳥侍の顔がこわばる・・そこには
なんと!?文鳥侍の妻、「ぽぽ」の姿が。

「あ、あなたッ?!」
「遅いと思って様子を見に来たら、またこんなことッッ?!」
「キィィィーッッッ!!若い子にすぐ手を出して!!悔しいーッッ」
・・・哀れ文鳥侍、この時期はカレにとって鬼門の季節。

その凄まじき光景に、その場に居合わせた一同ぎょっとし、
呆気にとられた隙に、町娘は無事事なきを得た。

換羽期に重なり、ぽぽに尾羽を抜き取られ、ひよこのような姿になり
心身共にボロボロに疲れ果てた文鳥侍は、その身分を隠し
全国行脚をする事に・・・


さて所は変わり、ある機織り職人の家の前。

全国行脚の旅に出た文鳥侍。
腹が減り急に目眩を憶えた。

そこで自らの羽をその機織り職人に売り、
それで何か腹を満たそうともくろんだ。
ガラガラガラ・・・。

「ごめん!拙者、文鳥侍と申す者。申し訳ないがこの羽を買ってはくれまいか・・・。」
そこで文鳥侍の声が詰まった!!
「!!!!!」

なんとそこには文鳥侍を追いかけてきた町娘みよろの姿が・・
いつの間にか文鳥侍を追い抜き先回りしていたのだ。

「みよろ殿・・・」
「文鳥侍さま・・そんなお姿に・・」
「恥ずかしい所を見られてしまいましたな・・」
「では・・・私の顔をお食べください」

な、なんと!ただの町娘だと思われていたみよろは
実はジャムおじさんの造りし物だったのだ!!!

「ぬぬ?!怪しい!!貴様もののけであるなっ?!!」
ひらりとその場から飛び立とうとする文鳥侍。
だがしかし、羽が少ないため、すってんころりん!!

「くっ!拙者としたことが・・・」
そんなこんなしてる間に、ジャムみよろはその触手を
じわじわと文鳥侍に延ばしている。

「ひっひっひっひ。もう観念するんだね!」

とうとうみよろに捕まってしまった文鳥侍、
ついに野望を達成したみよろ・・

しかし、みよろと思われていたのは真っ赤な偽者!
実は悪の軍団からの刺客・偽文鳥侍だった!
その名も謎の減量士「亜鬼」。

「クックックック。」
「まあ、こんなに鍛えちゃって・・・こんなに筋肉つけちゃイケナイよ」
「?!!き・・・貴様は亜鬼!!」

「筋肉は、サボるとすぐ脂肪になるんだよ。知らないのかい?」
「ウチの子たちを見てごらん!スレンダーボデーがいい感じだろ??」
「お前もそろそろ強情張ってないで、私たちの仲間にならないかい?」
減量士:亜鬼の触手が、文鳥侍の喉元に絡みつく!

「でもあんたが騒いだお陰で、だいぶ仕事をさせてもらったけど。」

さすがの文鳥侍も減量士:亜鬼の偽者攻撃の前になすすべが無い
筋肉が脂肪に変わってしまっているのか力が入らない・・

「いやぁぁぁっ〜!」後から駆けつけた、叫ぶみよろ。
もはやこれまでなのか・・
文鳥侍の意識が遠のく・・

「シャキィーン!」
何かが減量士:亜鬼の触手を切断した!!

「何者だ!」
「わたしは・・歩地・・」

「!!!」
「・・・ぽ、歩地どの・・・?」
苦しそうに喉を押さえた文鳥侍はつぶやく。

突如現れい出し剣士:歩地。
その顔は半分布で覆われていたが、きらりと光る濃紺の瞳。
はらりと顔に掛かる薄茶色の髪。その長身のスラリとした姿。

文鳥侍には全て見覚えのある者であった。

「・・・私は歩地。文鳥侍の危機には必ず現れる。」

「お、お前が歩地?!!」
後ずさりながら亜鬼は、驚きの声を上げる。
「!!!」

その瞬間を文鳥侍は逃さなかった。
愛用の「純白剣キリ」が疾風を巻き起こし、
亜鬼の身体を一瞬のウチに切り刻んだ!!

「さ・・3ヶ月で15キロ〜〜!」断末魔と共に亜鬼が崩れ落ちる。

はらはらと落ちるあきのすけの羽毛・・・これぞ「文鳥殺法:羽の舞」
「羽が散る時、悪も散る」サヤに刀を戻す文鳥侍。

「やったわ・・」
「まだまだだな・・文鳥侍。あれしきの相手にてこずるとは・・
 それとも持病の腱鞘炎が痛んだかな・・フフフ・・」

「け、腱鞘炎?本当なの?文鳥侍様」驚くみよろ。

「歩地殿・・な、何故その事を・・まさかあなたは・・にい・」
「そんなことはどうでも良い!さらばじゃ」
あきのすけの言葉を遮るように言うと、歩地の姿が見えなくなる。

「不思議なお方・・・ねぇ文鳥侍様」
「そうだな・・・」
(まさかそんなはずは・・兄さんはあの時私をかばって・・)

「どうしたのっ?浮かない顔してぇ〜」
「いや・・なんでもない・・参ろうみよろ殿、次の町へ」
「はい!文鳥侍様ぁ〜!」
町を後にする文鳥侍とみよろ。

その二人の姿を丘の上から見送る二つの影。

「歩地よ。どうじゃ?文鳥侍は・・立派になったものじゃのう」
「そうですな・・ぶんちょ親分様、あいつなら世直しも夢ではないかもしれませぬ」
「ほんに楽しみじゃて、ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっ・・・・」

文鳥侍の旅はまだ始まったばかりである・・・。

        ----------------第一部完----------------


歩地


※企画・脚本:エムズのぽち&文鳥侍@あきのすけ。
リライト:文鳥侍@あきのすけ。-2001.4.13-



【本編第二部】 【外伝】

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