咆哮にも似たそれらは生への欲望と執着。声を出す事によって恐怖を打ち払い生きるか死ぬか、二者択一の選択肢を迫られる場所。
それが戦場だと、静流は思っている。
ただ、一度として咆哮じみた声をあげた事はない。そんな声をあげなくとも、恐怖など感じていないのだから意味が無いのだ。
だからこうしてまた、幾人も迫り来る敵を斬り殺すだけ。
断末魔が辺り一斉に響き渡るのは彼の剣撃が無駄のない動きかつ、極限まで高められた速さだから。
相手の剣撃やその他の武器の攻撃を自分の剣で薙ぎ払うのではなく、利用する事により予備動作が少なく済むのだ。
人はそれを、神業と称するのだろう。
彼を知る者は、魔業と称したが。
自分の足下の屍が幾分か増え、彼は辺り一面に視線をやる。
まだ当分、戦争は終わりそうではなかった。

アナザー・ナイン・ファンタジー■ACT:CYAN MASK