戦場。
そこは、誰もに取っても現実離れした場所であり、罪とされる行為が容認される唯一の空間。
安易に命を奪ってはならない。
そんな事は誰でも知っている事。
倫理や、感情を知らなくとも、本能でそれを理解している故に、イキモノは生き物であれるのだ。
だが、その場所では全ての禁忌が犯される。
例え、自分の大切な親家族であろうと、自分の大事な思い人であろうと、掛け替えのない戦友であろうと。
簡単に命を投げ出さなくてはならない場所。
彼はそこで生きて来た。
当たり前に命を奪い。
当たり前に屍を作り。
当たり前に、大地を血の色で染め上げながら。
それ故に彼の手は、多種族の血肉で汚れきっている。
例え何を望もうと、変わらない過去は、拭えない。
目を開け、暗闇が星空に照らされた中、舞い降りたそれは、名に相応しい神々しさを纏い、此方を見ている。
何もかもをただ、無に帰す為。
いや、己の欲望を満足させる為だけに。
そしてこの空間に張りつめている空気を彼は知っている。
戦場ではない。
そこに対等な立場などありはしないが、少なくとも、対等になろうと努力すれば少なからず報われるのだ。
だが、ここにはそんなモノはありはしない。
かつて、自分がやって来た罪と同じく。
一方的な殺戮に、対等などありはしない。

アナザー・ナイン・ファンタジー■ACT:CYAN MASK