ひとしきり泣いた後の気持ちは、本来何処か後味の悪いモノだと言う記憶がある。
だが今回それをあまり感じなかったのは、昔は分からなかった人の優しさが痛いほど分かったからだろう。
それでも過去の過ち全てが終わり、罪が償われた訳ではない。
今になって漸く分かった事だが、ウィルドが、自分の母親が残した一本の魔剣によりあの場所で死んだモノは僅かだったと言う事があれど、幾ら自分の憎むべき相手だったとしても、その血縁全てが悪と言う訳ではないのだ。
ランドルの様に、父親を殺された者も居れば、母親や、兄弟、姉妹、祖父、祖母を失った者も居る。
それをやったのが自分であれば、少なくともそれだけは背負って行かなければならないのが死者となった者達への礼儀。
だから泣きやんだ時、決意の色に彩られたその時、あの少年に一言、言いたかった。
小難しい言葉だったけど、過去の「弱い」自分を殺して見せたぞ、と。
ハッキリと意味が分かった訳ではないが、過去を清算するだけでは足りないと言いたかったのだろう。
それを思えば、あの小さな身で一体どれだけの道を歩んでいたのかは想像も出来ない。
だから冗談だと思っていた「最強と言う場所」へも行ってみたいと、強く願う様になっていた。
それが彼女のふたつめの強くなりたい理由。
ひとつめの、静流・レイナードに追いつきたいと言う気持ちもさることながら。
それが未来に置いて、どれよりも強くなる事はまだ知る由も無い。

アナザー・ナイン・ファンタジー■ACT:SCARLET DUSK