昨日の酒が思いの外残り、今日の朝は誰もが遅かったのは言うまでもない。キャンプ中の黒竜が例外なく、それこそ老若男女関係なく酒も料理も振る舞われ、昨晩が初めて酒を口にした子供達が一体何人居るのだろうかと言う程の事。それだけ大きな事だった故に、楽しかった、嬉しかったと感想を漏らし、何よりも安心して寝れた、何の心配事もなく就寝できたのは何年ぶりだろうか。
戦場でこんな無防備に寝た事など、一度たりともなかった。
そうしなければいつ寝首を掻かれても可笑しくない様な場所にしか居なかった。
だから起きた時、雑魚寝し綺麗に川の字に寝ていた筈だった、ファルザとグディスの、ある種義理とは言え姉妹になったからと言うべきか。寝相がこれ以上なく悪く、二人の脚が顔に乗っていたのは正直むっとしてしまうだろう。
だがそこまでされたのに起きなかったのはそれだけ熟睡したと言う事。
多少なりと、もう少し気分のいい目覚め方をしたかったのは贅沢と言うモノか。
「けどさぁ、寝相の悪さと良い、いびきの五月蠅さと良い、変わってないけどそこまで似る事ないんじゃないのかな・・・」
血の繋がらない、義理の姉妹が眠りこけているのを見ながらマディンはそう呟いた。

アナザー・ナイン・ファンタジー■ACT:SCARLET DUSK