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名古屋の隣町、大府市のペットクリニック。斉藤動物病院です。

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犬の乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍は、犬の腫瘍の中で非常に多いタイプの腫瘍である。
 腫瘍というのは、ほとんどが治療しなければどんどん大きくなっていくので、必ず早期に外科手術を必要とするが、外科手術だけでは再発が多く、転移しやすい腫瘍を悪性腫瘍という。増殖速度が遅く、再発、転移がないものを良性腫瘍という。犬の乳腺腫瘍の内、2〜3割が悪性腫瘍だと思われる。
 
「症例」 
シベリアンハスキー、9才 メス
症状:3ヶ月前より乳房部に腫瘤を認める。元気食欲は良好。
 

 左第5乳房に ゴルフボール大の腫瘤が認められた。
腫瘤が露出し、出血が見られた。
触診にて、この付近の鼠径リンパ節と腋窩リンパ節の腫大が認められた。




 



胸部レントゲン像
肺野に多数の球状の陰影像が認められ、乳腺腫瘍の転移が示唆された。












左眼の前眼房内に、肉芽腫様の新生物が認められた。 



これらの所見から、乳腺腫瘍は悪性で、転移が進行しており、予後不良と診断された。
 飼い主が、乳房部の手術を希望したので、その部の腫瘍と鼠径リンパ節の摘出を行った。
 患畜は、術後1週間後に突然歩行不能となったそうであり、その後治療を希望されなかったため経過は不明であった。脳への腫瘍の転移が想像され、極めて経過が速い腫瘍であった。
 切除した腫瘍とリンパ節は病理組織標本を作製し、未分化な腺癌と確認された。細胞分裂像も多数認められた。
 
[考察]乳腺腫瘍は、よく見かけられるがこれほどまでに進行が速いタイプは珍しいほうである。飼い主は神経質なほど大事に育てておられたのに、腫瘍ができて3ヶ月も放置されていたことが残念に思えた。
  実は、私の母も乳ガンで亡くなっており、母の場合は1年前から自分で気付いていたとのことでした。手術を受けたときには、腋のリンパ腺に転移が認められ、悪性であることを担当医から告げられました。人の場合、術後に制癌剤の注射や内服を投与されます。一般的な化学療法の他にホルモン療法も行われます。乳腺の細胞は、女性ホルモンで増えたり、男性ホルモンなどで減ったりするためです。また、母の場合再発時には放射線療法も受けました。これらの内科的治療により、延命効果は認められました。母の病気をそばで見て思ったことは、まず、病気について自分が知らなければいけないことです。わからないことや、納得いかないことは医者に聞くことです。後、医者を信頼することです。
  私は、犬の乳腺腫瘍手術後に、制癌剤の投与は滅多に行いません。 制癌剤は、比較的高価で、毒性が強く、また、臨床研究が充分行われているとは言えず、腫瘍の増殖を完全に抑える効果はあまり期待できないからです。もし飼い主が、どんなに費用や手間がかかってもいいから1日でも長生きしてほしいという希望があれば、行うかもしれません。奇跡的に有効であったという報告は幾つか聞いております。 

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