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名古屋の隣町、大府市のペットクリニック。斉藤動物病院です。

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門脈体循環短絡症(肝性脳症)

症例 マルチーズ メス 7ヶ月令 1.7kgBW

症状:3日前より流涎、ふらつきがみられ、夜中部屋の隅を歩き回る。
血液検査:GOT:159U
     GPT:531U,
     アンモニア:821ug/dl(正常値:100ug/dl以下)
レントゲン検査:肝臓の縮小
これらの所見より、肝性脳症と診断した。
輸液、抗生物質、食事療法(k/d)などにより、神経症状は消失し、
血中アンモニア濃度は減少していった。
第101病日、門脈造影検査を行った。
下写真は、脾静脈にカテーテルを挿入し、造影剤を注入しているところである。
門脈血は肝臓に全く入らず、後大静脈に入っている。


下図は、血管の異常と結紮部位を示した略図である。


右下写真は、短絡部の血管を示している。


手術所見:短絡路ははっきり認められたが、肝臓にはいるべき門脈は肉眼では認められなかった。
1-0の絹糸にて短絡血管の直径の約75%を結紮したところ、小腸に重度の欝血が認められたため、約30%(面積にして50%)を縮めたにとどめた。

経過:術後数日は、腹部より滲出液が漏出した。
  10日後に退院し、内科療法にて良好に経過したが、術後3ヶ月目より来院せず、
  術後7ヶ月目に突然死亡したとの連絡があった。
   
考察:門脈体循環短絡症は稀な、先天的血管異常の疾患である。
短絡路は、肝臓内にあったり、奇静脈に抜けたり、様々なパターンがある。
今回の症例は、比較的多いパターンであり、また手術適応症であった。
手術の最大の問題は、短絡路をどれくらい絞めることができるか、である。
絞めすぎると、小腸に循環不全が起こり、あっと言う間に死亡してしまう。
つまり、小腸への負荷をぎりぎりにとどめ、肝臓へ行く門脈血を増やすことが目的となる。
かなりの熟練と、運が必要な気がする。
血中アンモニア濃度は滅多に行う試験ではないが、肝臓への門脈血液量を推定するためにはいい検査だと思う。
血中胆汁酸濃度も同じ目的で測定するが、やや感度が悪いように思える。

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