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名古屋の隣町、大府市のペットクリニック。斉藤動物病院です。

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犬ニキビダニ感染症 犬MDR-1遺伝子変異検査

この症例は1990年代の症例で、治療方法は当時の考え方に基づくものです。
後半の、コリーの症例は、2014年の症例です。

症例その1  犬ニキビダニ感染症 (アカラス)
 
雑種 メス 2才 11kgBW   
症状:1年前より頭部、頚部、胸部の脱毛。掻痒。
皮膚検査にて、犬ニキビダニ検出。
抗生物質の内服、ダニカットの塗布、二硫化セレンでの洗浄
を行ったところ、状態は一進一退であった。
 
治療:新しい治療方法として免疫療法を試みた。
 ドモンL静脈注射、週二回、二週間
(1アンプル中にアクロモバクター・ステハリス0.5mg:免疫賦活剤)
 併用薬として抗生物質の内服 

ドモンL治療前
   

ドモンL治療開始2週間後
   

被毛の改善は驚くべきものでした。発毛が著しくあり、痂皮も見られなくなりました。

経過:注射終了1ヶ月後には、頚部に出血痂皮形成がみられ、
その都度抗生物質を投与するが、一進一退であり、病変は広がりつつあった。約2ヶ月後にドモンLを再び投与するが、前回ほどには効果は認められなかった。
ダニカットの週2回の塗布と抗生物質の投与により、維持した。
 約1年後に、イボメック(イヴァメクチン)0.1mg/kg1日2回投与を
行ったところ、よい反応が見られ、約2ヶ月間投与しほぼ完治した。
 
 考察:犬ニキビダニ感染症は、若い犬にしばしば認められる皮膚病ですが、治療に手間がかかる病気です。
また、このダニは健康と思われている犬の皮膚にも存在します。
 基本的に治療は、患畜の感染抵抗力が重要で、免疫力が弱い場合は直りにくく、
さほど弱くなければ、二次的な細菌感染を押さえるだけで治る事も多い。
ドモンLは、免疫力を活性化させる薬で、普段の診療には用いることは少ないし、
一時的にはすばらしい効果が認められたので紹介しました。
 免疫刺激療法は、滅多に用いられる治療方法ではありません。
 ドモンLはダニの増殖を抑制する直接的な作用はないと思われるので、間接的に免疫担当細胞がダニを殺していったのでしょう。ただし、免疫応答は繰り返しの刺激には弱くなるようでした。ドモンLは、現在、製造中止になっており、これ以上の調査は難しそうです。
 最近では、殺ダニ剤はイベルメクチンが1番効果的であるように思えます。
 同系の薬剤であるが、ドラメクチンの週1回の注射も同様の効果が期待できます。
 最近、シーズーの掻痒症のために1年以上副腎皮質ホルモンを飲ませていた患畜が2匹、転院してきました。検査したら、2匹ともニキビダニがみつかり、
 抗生物質とイベルメクチンの内服で治癒しました。

 イベルメクチンは、コリー系の犬に投与すると副作用が出る場合があることがわかっています。このアカラスの場合は、イベルメクチンの大量投与が必要であり、副作用の可能性がかなり増してきます。MDR-1という遺伝子が変異を起こすと、副作用の出やすいことがわかってきました。また、動物の検査センターが発達してきたことにより、遺伝子検査も一般獣医師が検査を依頼できる時代になってきました。

 最近、若いコリーの皮膚炎の症例が来院されました。
鼻梁に小さな脱毛部があり、皮膚のスクラッチ検査で、アカラス(ニキビダニ)が見つかりました。
アカラスは、全身性と局所性で治療方針が変わります。
全身性の場合は、難病であり、しっかりとダニを殺していかないと、悪化しやすく、致死的な場合があります。
局所性の場合は、二次感染(細菌感染)の治療、予防だけで治癒が期待できます。ただ、当然、全身性に移行する場合があるので、注意が必要です。

今回、局所性皮膚炎のタイプですので、抗生物質の治療だけで経過観察することもしてもいいのですが、ダニを殺す必要が生じた時にイベルメクチンの投与の可能性を調べるために、MDR-1遺伝子変異検査を行うことにしました。
PCR法による検査で、サンプルは血液です。評価は3通りに分かれます。
 1.変異なし  :MDR1遺伝子には変異は認められない。
 2.キャリアー :対立遺伝子の一方に変異が存在します。イベルメクチン等に対する
          副作用はよく分かっていませんが、使用には注意が必要です。
 3.発症    :対立遺伝子の両方に変異が存在します。

この症例の結果は、「キャリアー」でした。

イベルメクチンに対する反応は不明、という何ともいえない結果で残念でした。
この症例については、抗生物質の軟膏を塗布しただけで改善し、イベルメクチンの必要性はなかった。

検査の結果は拍子抜けの感がありますが、動物の遺伝子の検査を、簡単にできるようになったことは、驚くべきことのように思えます。PCRという技術は、私が学生の頃は全くなく。医学部の研究生の頃に教わっていて、遺伝子の研究が革新的に発達したものではありますが、誰でも簡単にできるとは思えないし、1万円以下で行えることが驚きであった。

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