会計の仕組み

萬屋ラーメン物語11

決断の時


萬太郎も「損益計算書」と「貸借対照表」の関係を正しく理解できるようになりました。会計の仕組みがわかってくると、自然に利益も上がるようになってきました。

ある日、思いがけない電話が掛かってきました。
「萬太郎か、大事な話がある。すぐ来てくれないか」
声の主は、ラーメンの何たるかを事細かに教えてくれた師匠・松本菊次郎でした。萬太郎は急いで師匠のもとに駆けつけました。

「萬太郎、よく来てくれた。お前にだけ言うんじゃが、最近肝臓の調子がよくない。もう店をたたもうと思うておる」
「師匠、何を言ってるんですか!まだできますよ。第一、毎日お客さんが並んでくれるじゃないですか」
「そのとおりじゃ。しかし、このところ店を休みがちでな。これではお客さんに申し訳が立たん。そこでだ。おまえにこの店を譲ろうと思う」
「何ですって‥‥」
「よく考えてみてくれ。ただし、おまえも会計を勉強しているようにワシの店にも価値というものがある。タダではやれない。5000万円でどうだろうか」

いきなりの師匠の提案に萬太郎はびっくりです。その日は黙って帰ってきました。
もちろん悪い話ではありません。が、いかんせん手持ちのカネがありません。自由になるのは明日の仕入れのカネだけ。どうひっくり返ったってそれ以上は出てきません。
萬太郎は両腕を組み、押し黙ってしまいました。ふとその時、2人の顔が浮かび上がりました。−−河内山銀行の宗形俊夫と資産家の亀井元蔵でした。


店舗拡張などの際にはまとまったカネが必要になります。たいていの場合、地道な利益の積み上げだけでは足りず、人の頭を悩ますことになります。「はじめからカネがあるんなら誰が厳しい商売なんかするかい」−−萬太郎の声が聞こえてきそうです。

手元にカネがない以上、外から調達するしかありません。方法としては、

  1. 銀行などから借りる
  2. 出資を募る

の2つが考えられます。
それぞれの場合、会計はどのようになるのか、考えてみましょう。