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平成13年12月7日

「総合単元」 主教材学習と発展学習とのつなぎをどうするか

・・・「みんなで考えよう」(光村5年上)・・・

1 教科書の単元構成の問題点

 現行版光村の教科書には、上巻の最後に説明文を主教材とした「総合単元」がある。環境問題をテーマに「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」(現行では「表現」「理解」)の力を総合的につけていくための単元である。
 教科書は次の構成になっている。

A 「身近な環境」という4行のリード(動機付け)
B 「一秒が一年をこわす」(主教材)
C 「みんなで考えよう 身近な環境」(発展学習活動の例示)

 難しいのは主教材Bと発展学習Cとのつなぎである。教科書はどのようにつないでいるのかを見る。Cの最初で次のような投げかけを行っている。

 「一秒が一年をこわす」の筆者は、便利な生活を求める人類の活動が、今や、地球とそこに住むわたしたち自身の上に暗いかげを投げかけていると言っています。(中略 渋谷)
 身近な環境について調べ、考えてみましょう

 ここに二つの問題点がある。
 一つは、「一秒が一年をこわす」の筆者はそんなことは言っていないということである。上の文は本文中に存在しないのである。上は、この文を書いた教科書の筆者が勝手に要約した文である。これでは「主教材は一人一人が勝手に、そしておおざっぱに読めばよい」と言っているに等しい。
 もう一つは、主教材から図書室での発展学習へのステップが飛びすぎているということである。このまま図書室へ行って、発展学習が成立する子どもはごくわずかのできる子供だけである。テーマが大きすぎて、「何を調べるのか」「どの本を調べるのか」がはっきりしていないからである。

2 代案
 (1) 「情報の不足」を認識させる

 子供たちは、なぜ主教材以外の文章を読まなければならないのか。それは子供たちが「主教材に書かれている情報だけでは不足だ」と認識するからである。情報が不足であるという認識がなければ、他の文章を読む必要はない。情報が不足であるという認識をするには、主教材を丹念に読む必要がある。丹念に読まなければ、書かれている情報と書かれていない情報を区別することはできないからである。
 次の発問をした。

 本文には、「地球が病気にかか」っているとありますが、地球の病状は次のうち、どの程度なのでしょう。
A 放っておいても治る
B 今すぐに大手術が必要である
C すでに手遅れの状態である

 この発問によって、子供たちが検討したのは「悪くなる一方」「あやぶまれている」「大きなわざわいがおよぼうとしている」といった筆者の診断である。つまり、子供たちは環境問題の現状ではなく、筆者の診断を根拠としたのである。なぜ、そうなるのか。教材文には診断の根拠になり得るほどの具体的な現状が書かれていないからである。子供たちは、討論の結果、「具体的な現状が書かれていない」という情報の不足に気づいた。

 (2) 副教材を3つのステップで扱う

 情報の不足に気づいた子供たちを、いきなり図書室に向かわせるのは乱暴である。次の3ステップをとることによって、すべての子供に学習が保障される。

1 共通副教材を提示する
子供たちが必要としている情報が含まれている共通副教材(教師が準備した5つのリライト教材)を提示する。
2 図書資料を選択させる
でも情報が不足していると認識した子供に、図書資料を選択させる(検索方法は全員に知らせる)。
3 ネット上の資料を検索させる
更に情報が不足していると認識した子供に、ネット資料を検索させる。

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