4年3組 道徳指導案

平成19年10月12日(金)5校時

1 主題名 インターネットのルールとマナー

2 資料名 「ネットでけんか」(「『みんなで考える道徳』4年日本標準」を一部改作したもの)

3 主題設定の理由
(1) 児童の実態(略)

 2004年6月に起こった長崎県佐世保市女子児童殺害事件はネット掲示板への書きこみが原因であった。また、今年神戸で起こった高校生のいじめ自殺では、その背景に「学校裏サイト」と呼ばれる携帯電話用の掲示板があることがクローズアップされた。
 当学級の子供たちにとっても、ネットや携帯電話は身近な存在である。携帯電話を所有している子供も少なくないし、家庭で日常的にネットを利用している子供たちも多い。ネット掲示板への書きこみを経験している子供もいる。
 3年生時、「総合的な学習の時間」で、コンピュータを使ったメールの送受信や掲示板の利用方法等を扱った。子供たちは、この学習内容に対し高い関心を示し、夢中になってメールの送受信や掲示板への書きこみを楽しんでいた。そこでの発言を見ると、友達を中傷するような内容はなかったものの、ふざけ半分で書きこんだ発言や読んで不快になる発言が見られた。
 本主題の学習を通して、ネットにはルールとマナーがあることを学ばせ、ネット上でも実生活と同じように人への思いやりが大切であることに気付かせたい。

(2) ねらいとする価値
本主題にかかわる指導内容は次の通りである。

4−^ 約束や社会のきまりを守り、公徳心をもつ。
2−_ 相手のことを思いやり、大切にする。
2−` 友達と互いに理解し、信頼し、助け合う。

 岡本薫氏は日本の教育問題の一つとして「ルールとモラルの混同」を指摘している(『日本を滅ぼす教育論議』講談社現代新書)。本主題の学習内容についても、この2つは区別して扱わなければならない。「著作権」「肖像権」「個人情報保護」等は法律で定められたルールである。これらについてはルールとして教え、守らせる指導が必要となる。一方、「掲示板にふさわしくない話題は避ける」「人を不愉快にさせる発言はしない」等は、モラルの問題である。どのような話題がふさわしくなく、どのような発言が人を不快にさせるのかを考えさせていくような指導が必要となる。2−_、2−`の指導内容を核としながらモラル(マナー)について考えさせていきたい(モラルが共有化されたもの=マナー)。

(3) 資料
 本資料は、「『みんなで考える道徳』4年日本標準」を一部改作したものである。主な改作のポイントは次の通りである。

  1. 資料1
  2. 資料2

(4) 指導の構想
@ 資料を分割して提示する。
 「真二の言い分だけを書いた資料1」と「掲示板の具体を示す資料2」を分割して提示する。それぞれの資料について「どちらが悪いのか」を検討させることを通して、一方の言い分だけで判断するのではなく、事実を基に考えることの必要性に気付かせる。
A 情報モラルを視点とした検討と情報ルールを視点とした検討を区別する。
 「こんなことを言わなければけんかにはならなかった」という検討は、情報モラルを視点とした検討である。一方、「悪くない発言はあるか」という検討は情報ルールに気付かせるための検討である。この検討により、「人を不快にはしていないが、個人名や学校名を出すのはよくない」という個人情報保護の視点が抽出されるからである。この2つを区別して検討させることにより、「考えなければならないこと」と「守らなければならないこと」の双方を学ばせたい。
B 掲示板への発言を疑似体験させる。
 「掲示板に二人へのアドバイスを書きこむ」という設定で一人一人の考えを書かせることによって、掲示板への発言を疑似体験させる。また、自分の発言を情報モラル・情報ルールの両視点から自己評価及び相互評価させることにより、道徳的実践力の向上を図りたい。

4 本時

(1) ねらい
 ネット上のルールを知ったりマナー(モラル)を考えたりすることを通し、公徳を大切にしようとする心情をもつとともに、ネット上でも実生活と同様に相手を思いやることが大切であることに気付く。

(2) 展開

学習活動 教師の働きかけと児童の反応 ■評価・留意点
資料1の検討
(15分)
資料1を配布し、範読する。
誰と誰のお話ですか。
悪いのはどちらですか。ノートに書いてごらんなさい。

○洋介が悪い。
・わざと足をかけてファールをするなんてひどい。
・自分がファールをしたのに、真二の方が悪いように書くなんて卑怯だ。
○真二が悪い。
・だれが見るか分からない掲示板に書きこむ話題ではない。
・先に悪口を書いたのは真二だ。それに「絶交」とまで言う必要はない。
○どちらも悪い。
・ファールしたのは洋介が悪いけれど、悪口を書いた真二も悪い。
○この資料だけでは分からない。
・掲示板にどんな発言を書きこんだのかを読まないと、どちらが悪いか分からない。

・資料1には、真二側からの情報しかないことに気付かせる。

・子供たちが「掲示板で具体的にどのような発言がされたのか」を知りたくなったところで資料2を配布する。

■自分なりの根拠をもって、どちらが悪いのかの判断をしている。
資料2の検討
(25分)
資料2を配布し、範読する。
 もう一度聞きます。悪いのはどちらですか。

○洋介が悪い。
・「もうこの掲示板に来るな」と発言している。
○真二が悪い。
・先に悪口を書いているのは真二の方だ。
○どちらも悪い。
・お互いに、悪口を言い合っている。

二人は掲示板でけんかをしてしまいました。どの発言がいちばんよくなかったのでしょう。「こんなことを言わなければけんかにはならなかったのに」という発言の番号を書きなさい。

1 そもそもこの話題を掲示板に書きこんだのが悪い。
4 洋介が謝ればいいのに、真二のせいにしている。
5 「バカ」という悪口を言っている。
6 「もうこの掲示板に来るな」と言っている。

発言1から発言7までの中で、この発言は悪くないという発言はどれですか。番号を書きなさい。

「悪くない」と指摘された発言について、本当に悪くないのかを再検討させ、すべての発言に、問題があることに気付かせる。

掲示板で、真二くんと洋介くんの二人にアドバイスをします。発言8があなたのアドバイスとなります。この掲示板にアドバイスの発言をしてごらんなさい。
発言内容を書き終えた人は、送信ボタンを赤えんぴつで塗ります。

・ネットの掲示板で言い合うのではなく、直接会って話し合った方がいいよ。
・掲示板は、いろいろな人が見るのだから、読む人が不愉快になるようなことは書きこまない方がいいよ。

・資料1の発問によって、今度は、掲示板でなされた具体的な発言を根拠として、挙げさせる。

・サッカーのしたときのファールについてはお互いにそれぞれの言い分があり、どちらが悪いとは言えないことを確認し、論点を掲示板での発言内容に絞る。
■掲示板の発言を根拠にどちらが悪いのかの判断をしている。
・掲示板への発言内容だけでなく、個人情報保護という観点からも発言内容を検討させる。氏名等の個人情報はむやみにネット上で公開するべきではないという点は、ルールとして教える。
■モラルとルールのどちらかの視点から、二人へのアドバイス書きこんでいる。
・モラルとルールの両視点からお互いの発言を自己評価・相互評価させる。

まとめ
(5分)
みんなも、こんな掲示板があったら利用してみたいですか。
ネットの掲示板を利用するときに、気を付けなければいけないことにはどんなことがありますか。

<ルール>
・個人名、学校名等の個人情報は書きこまない。
<マナー>
・たとえネット上であっても、書いてはいけない話題もある。
・実生活と同じく、読んだ人が不愉快になるような発言はしないようにする。
・カッとなってすぐに返信をせず、冷静になる。

・「守らなければいけないこと(ルール)」と「気を付けなければいけないこと(マナー)」に分けて整理する。
・ネット上であっても、マナーを守らなければならないことは、実生活と同じであることを教える。
■モラルやルールの視点から、掲示板利用の注意点を指摘できる。

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