English Lesson Plan 9 (6th grade)

Jun 24,2004
指導者 教諭 渋谷 徹

1 単元名
  Joyful English!

2 単元の目標
 
(1) 英語に対する興味・関心を高める。
 (2) 聞き取れた英語を手がかりに意味内容を類推しようとする態度を育てる。
 (3) 自分から進んでコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

3 単元と児童

^ 単元設定の理由

 学習指導要領総則に,「総合的な学習の時間」の内容について次の記述がある。

各学校においては,2に示すねらいを踏まえ,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,児童の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などについて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。

 横断的・総合的な課題の例示として第一に挙げられているのが「国際理解」である。そして,「国際理解」教育において,重視されているのが英会話能力の育成である。
 平成11年のケルン・サミットで小渕首相(当時)が次の声明を発表した。

グローバル化時代の「読み書きそろばん」は外国語教育,コンピューター等を自由に操る能力の育成である

 また,平成12年10月には,大島理森文部大臣(当時)が「〜よりよい教育を目指して〜」と題した文章を発表した。その文章の冒頭で,「教育の目的」として第一に挙げられているのが次である。

基礎的な学力(読み・書き・計算,世界の中で生きるための外国語や情報活用能力)の向上

 文部大臣が公的に示した文章の中で,外国語が基礎的な学力であると明記されているのである。
 外国語は英語だけではない。しかし,数ある外国語の中で,英語は世界で最も広く通用する言語であり,国際社会の中での交流も英語でなされる場合がほとんどである。また,インターネット上の情報もその多くは英語である。日本語だけでしかインターネットを利用できない人と,英語も駆使できる人とでは,およそ300倍もの情報格差があるという。英語は,21世紀を生きる子供たちが身に付けなければならない「基礎的な学力」なのである。
 このような中,平成13年2月に文部科学省は『小学校英語活動実践の手引』(以下『手引』)を刊行した。さらに,平成14年7月には「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を発表し,翌15年3月には「行動計画」へと具体化された。今年3月には,小学校段階で英語を教科として必修化することの可否を検討するため,中教審教育課程部会に調査グループを設置している。
 『手引』の中で,文科省は国際理解を進める具体的な学習活動として次の三つを例示している。

「外国語会話」「国際交流活動」及び「調べ学習」など

 本単元は,上の例示のうち,「外国語会話」に焦点を当てて開発したものである。先に述べたような現代の社会情勢を踏まえた上で,子供たちが楽しく英語を学び,コミュニケーション能力を身に付けることができるような学習活動を組織したい。多くの保護者も子供たちに英語によるコミュニケーション能力が育成されることを望んでいる。このように考えて設定したのが,本単元『Joyful English!』である。

(2) 児童の実態(男子11名 女子9名 計20名)

 今年度の学校統合によって四つの学校から集まった学級である。また,児童数の増加によって2学級編成ともなった。したがって,昨年度までの英語活動の学習経験はかなり異なっている。最も人数の多い旧大川谷小学校の児童は,昨年度20時間程度の英語活動を行っている(※ 昨年度の指導計画参照)。「HRTによる授業」と「ALTとのTT授業」を隔週で行ったものである。
 今年度に入り,ここまで8時間の英語活動を行ってきた。昨年度の大川谷小学校同様,隔週で「HRTによる授業」と「ALTとのTT授業」を行っており,指導計画及びレッスンプランはHRTが作成している。NHK『スーパーえいごリアン』のカリキュラムを核とした指導計画である。
 小学校の英語活動で最も重要視されているのが,「英語に対する興味・関心を高める」ということである。「英語嫌いを作らない」ということも言われている。しかし,残念ながら,子供たちの「英語に対する興味・関心」は高いとは言えない。今月に入って行った「英語活動への意識調査」の結果がそのことを示している。

【「英語活動への意識調査」集計結果】(詳細は『学級通信FUTURE』NO.23を参照)

<英語活動は好きですか> 昨年度 今年度
好き 13% 35%
ふつう 67% 30%
好きではない 20% 35%

<英語は必要だと思いますか> 昨年度 今年度
思う 53% 70%
分からない 33% 30%
思わない 13% 0%
※ 昨年度データは,昨年度の英語活動をスタートさせる前に大川谷小学校5年生児童30名を対象に行ったもの。

 上の調査結果を見ると,「英語は必要だと考えているが,英語活動はあまり好きではない」という実態が伺える。どのような授業をしても一定の割合で「英語嫌い」が生じることはやむを得ないことではあるが,小学校の段階で35%も「英語嫌い」がいることは大問題である。
 それぞれの回答に対する理由は,次の通りである。

<好き>
・英語の内容や意味を推理するのがおもしろい。
・楽しい!
・家でも勉強している。
・外国の人と話せるようになりたい。
<ふつう>
・おもしろいけれど,面倒。
・難しい。でも,嫌いというわけではない。
・聞くことはいいけれど,話すことが苦手。
<嫌い>
・何を言っているのか分からない。
・発音や言葉自体が難しい。
・覚えることが難しい。

 ネガティブな回答の理由に「面倒」「難しい」が挙げられている。文字言語を扱ったり,文法事項を扱ったり,無理に発話させたりすることなく,input中心の英語活動を行ってきていてもまだなお,この結果であるということは,次の二つが原因であると考えられる。

・inputされた英語を100%理解しようとしている。
・英語を学ぶことに対するモチベーションが低い。

 子供たちには「全部なんて分からなくていいんだよ。ちょっとでも分かることがあれば,それはすごいことなんだ。なんて言っているのかなと推理することが大切なんだよ」と話してきている。「好き」と答えている子供の理由に「英語の内容や意味を推理するのがおもしろい」が挙げられていることは,望ましいことである。このように考えることができる子供を増やしていきたい。

4 指導の構想

(1) 基本方針

 小学校の「英語活動」は「英語学習」ではない。「英語学習」が言語の習得を目指すのに対し,「英語活動」は,英語によるコミュニケーションに対する興味・関心や積極的な態度を育成することを目指している。そこで,年度当初,学校全体として「英語活動」に対する次の基本方針を決めた。

  1. 言語習得を目的とするのではなく,興味・関心や意欲の育成をねらう。
  2. 「聞く・話す」(音声言語活動)を中心とする。「読む・書く」(文字言語)は,高学年において子供たちの実態が適合した場合(子供たちが求めてきた場合)のみ,扱うこととする。
  3. 無理に話させることはせず,英語を聞く活動を十分に行うようにする。
  4. 覚えるための単調なドリル学習は避け,コミュニケーション活動を重視した学習を行う。
  5. 「できた・できない」を数値で評価するのではなく,活動への参加意欲を重視した評価を行う。

 また,授業を進める上での留意点について,次の5点を確認している。

  1. 逐一日本語に訳さない。
  2. 英語の発音をカタカナに置き換えない。
  3. 無理に覚えさせない。
  4. 誤りは細かく訂正しない。
  5. 一斉授業だけでなく,いろいろな学習形態を工夫する。

(2) inputを中心とした指導計画

 母国語の言語習得は「聞く→話す→読む→書く」の順に行われる。順序が逆転することはない。子供たちの第二言語習得過程もこの順で行われることが自然である。したがって,小学校の英語活動でもっとも重視しなければならないのは「聞く」活動である。十分に「聞く」活動を経なければ,子供たちは「話す」ようにはならない。
 そこで,NHK『スーパーえいごリアン』のカリキュラムを核にしながら,outputではなくinputを中心とした指導計画を組んだ。
 松香フォニックス研究所の松香洋子氏は,英語で英語を教える理由として次の6点を挙げている。

  1. 指導者が「英語はこうやって使うもの」という見本を示す
  2. 生の英語を聞く機会を増やす
  3. 生徒が間違いを恐れず英語を使ってみる場を提供する
  4. 英語だけという場面でやっていける度胸をつける
  5. 英語で共感できることを体験的にわからせる
  6. 英語を使って何かを学び取れるという経験をさせる

※ 「MPI創立25周年記念大会」パンフレットより引用

 HRTの単独授業の場合,質・量共に十分なinputを行っていくことは難しい。しかし,できる限りにおいてAll in Englishの授業を目指していきたい。HRTが子供たちに,先輩学習者としてモデルを示すことにも大きな意味があると考えている。
 「英語だけで活動できた」という経験を繰り返していくことで、英語活動に対してネガティブな反応を示している35%の子供たちも徐々に変容していくだろうと考えている。英語によるコミュニケーションに対する抵抗が少なくなり、自信をもっていくはずだからである。

(3) 5分×9パーツの授業構成

 45分の授業を構成する際,原則として次の考え方をとる。

5分間×9パーツ

 もちろん,授業によってはパーツの数が7,8になる場合もあるが,5分×9パーツの考え方を原則とする。次の理由による。

  • 5分程度のパーツで構成することにより,授業にリズムとテンポが生まれ,子供たちが飽きることなく学習することができる。
  • パーツの組み合わせを変化させることにより,複数の授業を組み立てることができる。

5 単元の指導計画(本時9/35)※ 別紙参照

6 本時の指導計画

(1) 本時のねらい

  1. HRTの英語を聞きながら,二つのactivityを楽しむことができる。
  2. HRTの話す英語の意味内容を類推しながら聞くことができる。
  3. 様々な色の名称に関心をもつ。

(2) 展開の構想

■コミュニケーション活動
 コミュニケーションについてTom Merner氏は,次のように述べている。

 小学校段階における英語でのコミュニケーションでまず大切なのは,発話ではなく,目的と意味のある英語を聞いて,それを理解しようとする態度をもつことと,そのような場面において相手に何らかの反応を示そうとする態度をもつことだと思います。(『スーパーえいごリアン』のサイトより引用)

 本時における主なコミュニケーション活動は,二つのactivityである。HRTの話す英語の意味内容を類推しながら,正しい反応を示すことがコミュニケーションの成立と考えている。コミュニケーションが成立しなければ,「虹に正しく色を塗る」「ぶんぶんごまを作る」という活動はできないはずだからである。

■色・数・形
 本時のtopicは「色」であるが,それに付随して「数」「形」についても繰り返し,inputを行っていく。日常生活の中でコミュニケーションをとろうとするとき,「色・数・形」は必須だからである。
 How many teachers are there in this classroom?(参観教師の数を聞く)
 How many colors can you see in this rainbow?(虹の色を扱いながら数を聞く)
 Which shape did you choose?(作りたいぶんぶんごまの形を聞く)
というようなinputがそれである。

■変化のある繰り返し
 本時のパーツは,そのほとんどが「色」を扱ったものである。しかし,「Flash Card」「虹の説明」「虹の着色」「ぶんぶんごまの説明」「ぶんぶんごま作り」と活動内容はすべて異なる。色の名前を無理に覚えさせるのではなく,このように活動に変化をつけながらinputを繰り返すことにより,子供たちは自然に「色」について覚えていくはずである。

(3) 本時の展開

Min. Activity Notes
3 1 Greeting
Are you ready to start? Let's begin.
How are you, today? How's the weather today? What day is it today?
Look back, please. How many teachers are there in this classroom? Let's count.
Today we're going to talk about colors.
子供たちが問いを理解できなかったり,スムーズに答えられなかったりした場合には,
HRTが英語で選択肢を提示しながら,自然な発話を促すようにする。
5 2 Review & Practice
<Flash Cardを使って色の名称を練習する>
Come here and sit down.
(教室中央のスペースに子供たちを集める)
(Flash Cardを提示しながら)
What color is this? It's 〜.
色の種類は、次の通り。
pink, black, white, green, red, blue, yellow, brown, purple, orange, indigo, gray,light green
既習の色→未習の色の順で提示する。
本時で初めて扱う色は、flashの頻度を増やす。
5 3 Listening 1
<RainbowについてHRTの話を聞く>
・黒板に掲示した画用紙にカラーマジックで虹の絵を描く。
What's this? This is a rainbow. What's rain? Yes,rain means AME in Japanese. What's a bow?(ジェスチャーの後、弓矢の絵を描いて)This is a bow and this is an arrow.Rainbow!
・虹の写真を提示する。
Look at this picture. How many colors can you see in this rainbow? What color can you see?
You can go back to your seat.
写真や絵などを提示することにより,HRTの発話内容を子供たちが類推しやすいようにする。
5 4 Activity 1
<Rainbow Sheetに色を塗る>
(Rainbow Sheetを配布)
Let's draw a rainbow. Do you have colored pencils?
Please color number 7 green. ・・・Number 14 is purple.
ワークシートの虹には,ランダムに数字を振っておき,「数字」と「色」を正しく聞き取るようにさせる。
5 5 Listening 2
<ぶんぶんごまについての話を聞く>
What's this? You say this KOMA in Japanese. This is a top in English. I have 3 tops. What shape is it? It's a circle. It's a triangle. It's a pentagon.How many colors can you see in this top? What color is this? It's blue and it's red and it's yellow. If you mix blue and red what color can you see? Let me try.(実演する) Can you see purple? Can you hear the sound? Do you wanna make it?
実物を示しながら話すことで,子供たちが話の内容を類推し易いようにする。

形についてのinputも簡単に行う。

実演する前に、見えるであろう色を予想させる。
15 6 Activity 2
<ぶんぶんごま作り>
Let's make a BUNBUN top! Make groups.
(Work Sheetを配布)
1. Choose 1 shape. Which shape did you choose?
2. Color the top. You can use 12 colors.
3. Cut out the shape. You may cut out it very rough.
4. Stick the shape on the cardboard with glue.
(ここまでで作業を一旦切る。)
5. Make 2 small holes with compass.
6. Pass the string through the holes.
7. Tie the ends of the string.
8. Enjoy spinning the top.
You may have 15 minutes. Let's start.
『スーパーえいごリアン』テキストのワークシートを使用する。
実演しながら,説明することにより,子供たちの理解を助ける。

作業過程は二つに区切って説明する。それぞれについて、全体を大まかに説明し、その後、机間巡視をしながら困っている子供に指示を与えていく。
5 7 Enjoy spinning your BUNBUN top!
Enjoy spinning your BUNBUN top.
Spin the top like this.
What color can you see?
机間巡視をしながら、What color can you see? What shape is your top?等と声をかけていく。
2 8 Greeting
What time is it now? It's 2:55.
That's all for today. See you.
前時で扱った時刻の言い方をreviewする。アナログ時計で分かりにくい場合は、デジタル表示を板書する。

(4) 評価規準

  1. HRTの発話内容を類推しながら聞いている(listening 1,2)。
  2. 二つのactivityが正しくできる。
  3. 二つのactivityを楽しんでいる。