English Lesson Plan 8 (6th grade)

平成14年6月13日(木)
指導者 教諭 渋谷 徹

1 単元名
Joyful English!3

2 Language use
(1) 自分から進んでコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
(2) 簡単なコミュニケーションができる程度の英会話能力を育てる。
(3) 英語に対する興味・関心を高める。

3 単元と児童

^ 単元設定の理由

学習指導要領総則に,「総合的な学習の時間」の内容について次の記述がある。

各学校においては,2に示すねらいを踏まえ,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,児童の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などについて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。

横断的・総合的な課題の例示として第一に挙げられているのが「国際理解」である。そして,「国際理解」教育において,現在最も必要とされているのが外国語教育である。
平成11年のケルン・サミットで小渕首相(当時)が次の声明を発表した。

グローバル化時代の「読み書きそろばん」は外国語教育,コンピューター等を自由に操る能力の育成である

また,平成12年10月には,大島理森文部大臣(当時)が「〜よりよい教育を目指して〜」と題した文章を発表した。その文章の冒頭で,「教育の目的」として第一に挙げられているのが次である。

基礎的な学力(読み・書き・計算,世界の中で生きるための外国語や情報活用能力)の向上

文部大臣の文章の中で,外国語が基礎的な学力であると明記されているのである。
外国語は英語だけではない。しかし,数ある外国語の中で,英語は世界で最も広く通用する言語であり,国際社会の中での交流も英語でなされる場合がほとんどである。また,インターネット上の情報もその多くは英語である。日本語だけでしかインターネットを利用できない人と,英語も駆使できる人とでは,およそ300倍もの情報格差があるという。
英語は,21世紀を生きる子供たちが身に付けなければならない「基礎的な学力」なのである。
このような中,平成13年2月に文部科学省は『小学校英語活動実践の手引』を発表した。この中で,文科省は国際理解を進める具体的な学習活動として次の三つを例示している。

「外国語会話」「国際交流活動」及び「調べ学習」など

本単元は,上の例示のうち,「外国語会話」に焦点を当てて開発したものである。先に述べたような現代の社会情勢を踏まえた上で,子供たちが楽しく英語を学び,コミュニケーション能力を身に付けることができるような学習活動を組織したい。このように考えて,設定したのが,本単元『Joyful English!3』である。

(2) 児童の実態(男子18名 女子14名 計32名)

昨年度まで,子供たちは英語学習を次のように行ってきた(4年生から担任している学級である)。

4年生1学期・・・・NHKラジオ『基礎英語』を教材とした,校長による英語教室(朝学習時15分×週3回)
4年生2,3学期・・「総合的な学習の時間」の指導計画に位置づいた英語活動(30分×45回 Joyful English!)
5年生・・・・・・・「総合的な学習の時間」の指導計画に位置づいた英語活動(45分×30回 Joyful English!2)
※ 昨年度までの指導計画は別紙参照

今年度行っている『Joyful English!3(45分×35回)』は子供たちにとって,3年目の学習となる。ほぼ週に1時間のペースで進んできており,学級担任による単独の授業と,学級担任&ALTのTT授業を隔週で行っている。ALTとのTTでは,学級担任が指導案を作成し,事前にALTと打ち合わせをした上で授業に臨んでいる。
『Joyful English!1,2』では,「会話」「ゲーム」「歌」という大きく三つの活動をセットとし,何よりもまず,英語でコミュニケートすることの楽しさを体感させることを基本方針としてきた。その結果,多くの子供たちは英語の学習を楽しみ,少しずつではあるが,英語によるコミュニケーション能力を身に付け始めてきている。
しかし,5,6年生と学年が上がるに連れ,4年生時のような授業ではうまくいかなくなってきた。発達段階に応じ,子供たちが次のような変化を見せ始めてきたからである。

・ 歌や単純なゲームだけでは喜ばなくなってきた。
・ 意味がはっきり分からないと不安を感じるようになってきた。
・ 単語だけの学習ではなく,コミュニケーションの道具としての英語を要求するようになってきた。
・ 文字を読もうとするようになってきた。

これらは,高学年の子供たちに当然生ずる自然な変化である。
子供たちの英語に関する感想を見ても,4年生のときには「ゲームが楽しい」という感想が圧倒的に多かった。当時の子供たちは,英語そのものよりも,英語を通して行うゲームを楽しんでいた面が強かったのである。
しかし,先日行ったアンケートでは,英語学習が楽しい理由として,多くの子供が「英語が覚えられる」「外国の人と話せる」「言葉が通じると相手も喜ぶし,自分も嬉しい」等を挙げていた。英語によるコミュニケーションそのものを英語学習の楽しさと考え始めるようになってきている。
6月1日,ビッグスワンで行われたワールドカップ「アイルランドVSカメルーン」を観戦してきた子供がいる。彼は,「次はどこが試合をするのかと」聞かれ,「Mexico and Croatia」と答えてきたという。片言であっても,見知らぬ外国人とコミュニケーションをしようとする姿が見られたことは嬉しいことである。
なお,今回のアンケートの質問項目及び1,3,4の結果は右の通りである(略)。

4 指導の構想

(1) 基本方針

平成12年度に英語活動をスタートして以来,長瀬荘一氏が著書『小学校英語活動づくり事典(明治図書)』の中で挙げている「小学校英語の指導原則」を当校の英語活動の基本方針として採用してきた。「総合的な学習の時間」の趣旨や,当校の子供たちの実態を考えたとき,大いに賛同できる考え方だったからである。次の5点がそれである。

@  小学校英語では,単語を多くおぼえることよりも,「ああ,面白かった」という児童の声をたいせつにしよう。
A  小学校英語では,正確な文法をおぼえることよりも,「まちがいを気にしないで話すこと」をたいせつにしよう。
B  小学校英語では,ノートにくり返して書く文字よりも,聞いたり話したりする音声をたいせつにしよう。
C  小学校英語では,先生が一方的に説明するのではなく,児童とJTE,児童とALT,児童と児童のコミュニケーション活動をたいせつにしよう。
D  小学校英語では,「できた・できない」の到達度で評価するより児童が体験すること,そのこと自体をたいせつにしよう。
(『小学校英語活動づくり事典(長瀬荘一著 明治図書)』より)

(2) 指導計画作成上の工夫

小学校における英語教育では指導内容が定められていない。そこで,初年度は次の手順で指導計画を作成した。

@ 書籍,雑誌,ネット上から先行実践を集め,指導内容を抽出する。
A 子供たちの発達段階を考慮した上で,指導内容を絞り込む。
B 無理のないように配列する。

昨年度(2年次)も,同様の手順で指導計画を作成してきたが,実践をしていくうちに,かなりの修正が必要となった。子供たちの実態に合わない部分が出てくる等の問題が生じたからである。
そこで,3年次の今年度は,実践と並行しながら指導計画を作成している。現在までのところ,この方法の方がよいと考えている。前時とのつながりや次時への方向が明確に見え,子供たちの実態にあった指導が可能になるからである。
また,「外国の人と話したい」「単語だけではなく,会話の学習がしたい」と考え始めている子供たちの実態も考え,子供たちにとって身近なダイアログ,教室内でも友達同士で使えるようなダイアログを扱うよう配慮している。

(3) 授業構成上の工夫

45分の授業を構成する際,原則として次の考え方をとっている。

5分間×9パーツ

もちろん,授業によってはパーツの数が7,8になる場合もあるが,5分×9パーツの考え方を原則とすることによって,授業にリズムとテンポが生まれ,子供たちが飽きることなく学習することができる。
頭で考える前に,話し,動き,実際にやってみるのである。子供たちは,説明や理屈で英語を覚えるのではなく,聞く・話す体験を通して身体で覚えるからである。

5 単元の指導計画(本時8/35)※ 別紙参照

6 本時の指導計画

(1) 本時のねらい

@ 「〜ができるか」と尋ねたり答えたりできる。
A 好きな季節を尋ねたり答えたりできる。
B その季節が好きな理由を尋ねたり答えたりできる。

_ 展開の構想

@ ダイアログ
本時での新出ダイアログは"Why?" "Because〜"である。このダイアログは,子供たちにとって,次の2点で意味をもつ。

・ 対話者の思考内容を対象としたダイアログである。
・ 既習のダイアログを広げることができるダイアログである。

これまで学習してきたダイアログは,「好きな○○を聞く」「誕生日や電話番号を聞く」「誰の物かを聞く」「借りていいかを聞く」等,事実や感情を対象としたものがほとんどであった。これらのコミュニケーションにはほとんど思考を必要としない。
しかし,"Why?"という問いは,直接相手の思考内容を問う質問であり,問われた側は"Because"に続き,自分の思考内容を答えなければならない。英語学習3年目であり,6年生でもあるということを考え,今回,初めて思考内容を対象としたダイアログを扱うこととした。
ただし,本時では,子供たちが実際に自分の思考を語る活動は行わない。"Because"に続くフレーズは,予め準備しておき,その答え方を学習することとする。「なぜ?」「なぜなら」という対話は日本語であっても難しい。初めて学習するこのダイアログの中で,実際に思考内容までを語らせることは,子供たちにとって抵抗が大きすぎると考えたからである。しかし,思考内容を問うたり答えたりする文型を学ぶことにより,子供たちは新たなコミュニケーションを体験することができるはずである。
また,このダイアログは,既習のダイアログを広げることができる。例えば,"Do you like dogs?" "Yes, I do."で終わっていた対話に,"Why?"を加えることにより,"Because they are pretty."とつなげることができる。これは,多くのダイアログに適用でき,子供たちのコミュニケーションに幅をもたせることができる。

A パーツ
本時を構成するパーツは大きく,次の三つに分類できる。

A 文型を学ぶパーツ(4,6)
B 文型を練習するパーツ(2,3,5,7)
C 英語に親しむパーツ(8)

「学ぶ」パーツでは,Flash Cardの活用とDemonstrationの提示が主たる手立てとなり,「練習する」パーツではゲームを取り入れる。子供たちが,楽しみながら学習できるようにするためである。
いずれのパーツにおいても,変化を加えながら,子供たちが飽きることなく,繰り返し練習できるようにしていきたい。
各パーツのねらいは次の通りである。

1・・・既習のあいさつを復習する。
参観者を迎えるせっかくの機会であるので,あいさつによるコミュニケーションを体験させる。
2・・・動作を表す表現を復習する。
動作を表す既習の表現をゲームを通して復習する。既習の表現に繰り返し触れさせることで,より習熟を図っていきたい。
3・・・前時で学んだダイアログを復習する。
前時の学習内容をBomb gameを通して復習する。Canを使った表現に習熟させることは,本時で学ぶ"Because〜"の布石でもある。
4・・・好きな季節の問い方と答え方を復習する。
"What 〜 do you like?" "I like 〜."は既習文型である。Seasonを対象に既習文型の復習を行う。
5・・・好きな季節の問い方と答え方を練習する。
「仲間集めゲーム」を通して,既習文型に習熟する。十分習熟させることで,6で学ぶ新出文型への抵抗を少なくしたい。
6・・・好きな季節の理由の問い方とその答え方を学ぶ。
新出文型を学ぶ場面である。Flash cardの提示の仕方や,練習時の役割を様々に変化させることで,子供たちが無理なく学べるようにしていきたい。
7・・・好きな季節の理由の問い方とその答え方を練習する。
理由を表す表現は,Because I can see the cherry blossoms. / Because I can swim. / Because I can see the red leaves. / Because I can ski.に限定し,"Why?" "Because"の文型に習熟させるようにする。
8・・・歌を歌い,英語に親しむ。
リズムボックスに合わせ,clap, stepを入れながら,楽しく歌えるように工夫したい。

(3) 本時の展開

Min. Activity Notes
5 1 Greeting
How are you, today? How's the weather today?
Look back, please. How many teachers are there in this classroom?
Go there and exchange greetings. When you finish, go back to your seat.
既習の簡単な問答をいくつか行い,
参観者と挨拶をする。
5 2 Review 1
<沈没Game>
・ 前時で扱った「動作を表す表現」を対象に沈没ゲームを行う。
・ 動作カードの中から任意の3枚を持って立つ。
・ 教師がCan you swim?等と尋ね,もし,そのカードを持っていたら, Yes, I can. と言って座る。持っていなかったら,No, I can't.と言って残る。最後まで残っていた子供の勝ち。
ゲームを通して,既習事項を復習する。
5 3 Review 2
<Can you~? Bomb Game>
・ 友達に見えないように動作カードから1枚を選択してゲームスタート。
・ 次の子供の持っているカードを推理してCan you ~?と問う。相手がYes, I can.と答えたら,Bombを渡す。
Bombに見立てたミニボール2個使って行う。
教師はストップウォッチで時間を計る。
5 4 Practice 1
・ Flash cardを使って,季節の言い方を復習する。
・ What season do you like? の尋ね方と答え方を練習する。
Flash cardを使い,教師と子供の役割を交代しながら多様なバリエーションで練習させる。
5 5 Game 1
<仲間集めゲーム>
・ Season cardの中から友達に見せないように1枚を選択する。
・ 教室内を自由に移動しながら,"What season do you like?" "I like summer."とダイアログ練習を繰り返し,同じ季節が好きな友達を集める。
・ 時間内にできるだけ多くの友達を集めたグループの勝ち。
ゲーム時間は2分間程度とし,2回行う。
10 6 Practice 2
・ Flash cardを提示しながら,ダイアログのDemonstrationを行う。
・Flashcardを組み合わせながら,
好きな季節とその理由を尋ねたり答えたりする
ダイアログを次の順で練習する。
・ 教師の後について,すべてのダイアログを繰り返す。
・ 子供が問い,教師が答える。
・ 教師が問い,子供が答える。
・ 教室の左サイドと右サイドを向かい合わせ,グループで練習する。
・ 隣りの子供とペアで練習する。
What season do you like?
I like spring. / I like summer. / I like autumn./ I like winter.
Why?
Because I can see the cherry blossoms. / Because I can swim. /
Because I can see the red leaves. / Because I can ski.
Flash cardを構造的に提示することにより,子供たちがダイアログのsituationを理解できるようにする。
練習のバリエーションを変えながら,変化を付けて行う。
子供たちの心理的不安を軽減するため,全体→グループ→ペアの順で練習する。
5 7 Game 2
<season神経衰弱>
・ 二人組のペアを作らせる。
・ season cardとreason cardを分け,それぞれを裏返しにして,机の上に並べさせる。
・ 問う側がWhat season do you like?と問う。
・ 答える側は,seasonカードを1枚めくり,I like 〜.と答える。
・ 問う側がWhy?と問う。
・ 答える側は,reasonカードを1枚めくり,Because〜.と答える。
Seasonとreasonが整合していれば,カードをもらえる。
整合していなければカードを戻す。
・ 問う側と答える側を交代し,上を繰り返す。
ゲームのデモを提示し,ルールを把握させる。デモだけで理解できない場合は,日本語で説明を加える。
5 8 Song
・ 本時で新たに学んだダイアログをチャンツで練習する。
・ リズムボックスに合わせ,clapとstepを入れながら,
『We will rock you』を歌う。
新しい歌である。今回はWe will rock youの部分のみ歌うこととする。
2 9 Greeting (ALT)
That's all for today.
See you.