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第4学年4組 国語科学習指導案

平成5年11月29日(月)第2校時

1.単元名 人物の心の動きを読み取ろう
教材名『ごんぎつね』

2.単元の目標
^心情の転換点や心情の対比を探す活動を通して、「ごん」と「兵十」二人の心情変化について検討させ、「兵十につぐないをしようと変わっていったごんの心情と、ごんの死によって変わった兵十の心情」を読み取らせる。
_「心情の転換点を探す」「対比されている語や文を探す」という読解技能を身につけさせる。

3.児童と単元
^児童について(男子16名、女子14名、計30名)

一人で文章を読める力を持った子供

上の子供を育てることをめざして国語科の指導を行ってきた。
「一人で文章を読める」ための第一条件は「淀みなく音読できること」である。そこで単元の学習に入る前に、必ず教科書の教材名の横に○を10個書かせ、1回音読するごとに○を一つずつ塗らせてきた。その単元の学習が終わる前に10回音読することをめあてにさせているのである。「適切な早さ」「適切な発声・発音」「内容に応じた強弱・抑揚」といった指導を継続してきた結果、子供たちの音読力はかなり高まってきた。
4年生になってから学習してきた物語文は「ガオーッ」「白いぼうし」「アナトール工場へ行く」「一つの花」の4つである。これまでの学習について、本単元に関わるものに限定して述べる。
「ガオーッ」は今年度最初の物語文教材である。この教材では「ライオンとクロヒョウの対比を検討する」「クロヒョウの心情の転換点を検討する」という学習活動を通して、登場人物の心情変化を読み取った。「対比を探す」という活動はゲーム感覚でできたため、子供たちも喜んで学習し、ほとんどの子供たちが「対比」という概念を理解することができた。
「アナトール工場へ行く」では最初の場面と最後の場面を対比し、アナトールの心情が変化していることを読み取らせた上で、心情の転換点を考えさせた。場面ごとに心情を読み取らせるのではなく、物語全部を通して考えさせたため、心情変化の流れを読み取ることができた子供が多かった。また、「対比されている語や文を探す」「心情の転換点を探す」という観点を与えたことにより、語や文に着目し、根拠を持って考えられる子供も増えてきた。
「一つの花」では「題に着目する」ことによって、何について読み取っていけばいいのかという学習の構えを最初に持たせた。その結果「『一つの花』に隠されている裏の意味は何かを考える」という読みのめあてを持って学習できた子供が多かった。
上のような学習活動をしてきたことにより、読みの観点を明確にして読み取ることができる子供が多くなってきている。しかし、まだこれらの観点が「一人で読む」ための読解技能として身についているとは言えない。
_単元について
「人物の心の動きを読み取ろう」という単元を設定した。教材である『ごんぎつね』の読解を通して人物の心の動きを読み取ることができるようにしたい。
本単元に関わって学習指導要領に示されている事項は次の通りである。

ウ事柄の意味、場面の様子、人物の気持ちの変化などが、聞き手にもよく伝わるように音読すること
オ文章の叙述に即して内容を正しく読み取ること。
カ人物の気持ちの変化や場面の移り変わりを想像しながら読むこと。
キ聞いたり読んだりした内容に対して、一人一人の感じ方の違いのあることに気付く事

この物語は、1場面から5場面までがごんの視点で書かれており、最後の6場面だけが兵十の視点で書かれている(一文だけ例外があるが)。そのことを踏まえ、1場面から5場面までの「ごんの心情変化」を読み取らせた上で、6場面の「兵十の心情変化」を読み取らせたい。
ごんの心情変化については次のような対比表現がある。
@びくの中の魚をつかみ出しては、〜ぽんぽん投げこみました。(1場面)→兵十のうちのうら口から、うちの中へいわしを投げこんで、あなへ向かってかけもどりました。(3場面)
Aいわしを投げこんで→くりを置いて→くりばかりでなく、松たけも二、三本、持っていきました。(すべて3場面)
Bそっと、物置の方へ回って、その入り口にくりを置いて帰りました。(3場面)→土間にくりが固めて置いてあるのが目につきました。(6場面)
一方、兵十の心情変化については次のような対比表現がある。
@こないだ、うなぎをぬすみやがったあのごんぎつねめが、またいたずらをしに来たな。→「ごん、お前だったのか、いつも、くりをくれたのは。」
A兵十は立ち上がって、なやにかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。→兵十は、火なわじゅうをバタリと取り落としました。
上は心情変化の読み取りに直接結びつく対比表現である。
(教材についての詳細は資料参照)

4.指導の構え

本校の研究主題「自分の力で学習を進める子供が育つ指導法の工夫」

物語文の読解における「自分の力で学習を進める子供」とはどのような子供か。物語文の読解における「自分の力で学習を進める子供」とは、言い換えれば「自分の力で物語文を読める子供」のことである。したがって、そのような「力」を育てなければならない。『ごんぎつね』を読み取らせるだけでなく、子供たちが他の物語文を自分の力で読めるようにする必要があると考えている。
物語文には、人物の心情変化が主題と深く関わっているものが多い。したがって、「人物の心情変化を読み取るための読みの力」を身につけさせれば、「自分の力で物語文を読める子供」が育つ。
本単元で子供たちに身につけさせたい「読みの力」は次の2つである。

@心情の転換点を探す
A心情が対比されている語や文を探す

「音読・黙読」「設定まとめ」といった学習により『ごんぎつね』の概略がつかめれば、「ごん」と「兵十」二人の心情が変化していることはどの子供にも読み取れるであろう。したがって子供たちに読み取らせるべきことは次の3点である。

○「ごん」と「兵十」の心情は、いつ変化したのか
○「ごん」と「兵十」の心情は、どのように変化したのか
○「ごん」と「兵十」の心情は、何が原因で変化したのか

これらを叙述に即して読み取らせなければならない。
「心情の転換点を探す」「心情が対比されている語や文を探す」という2つの読みの力を学習方法として、上の3点を読み取らせたい。
「心情の転換点」を探させれば、子供たちは場面間の人物の心情を比較検討することになる。必ず叙述に着目せざるを得ない。「どこで変わったのか」と聞かれるからである。また、どのような叙述に着目すればよいかという「読みの観点」も明確になる。
この発問に対する子供たちの解はいくつかに分かれるであろう。その正否を話し合わせることにより、「何が原因で変化したのか」を明らかにしたい。ただし、「心情の転換点を探させる」だけでは必ずしも明らかにはならない。
そこで、「対比されている語や文」を探させる。この学習活動によって「どのように変化したのか」を叙述に即して読み取ることができる。着目させたい対比表現は前項の「_単元について」に書いた通りである。
「心情の転換点を探す」「対比されている語や文を探す」という2つは『ごんぎつね』以外の物語文教材の読み取りにも有効に働くであろう。(例えば5年生教材『大造じいさんとがん』など)
上の理由から、仮説を次のように設定する。

仮説1 『ごんぎつね』において、ごんや兵十の心情の転換点を探させ、心情が対比されている語や文に着目させれば、子供たちはごんや兵十の心情変化を読み取ることができるであろう。
仮説2 「心情の転換点を探す」「対比されている語や文を探す」という読解技能を身につけた子供は、他の物語文も自分で読み取れるようになるだろう。

(仮説2については本単元だけでは検証できないので、今後の子供たちの読解を分析していく必要がある。)

5.指導計画(全10時間)
第一次 全文を通読し、自分なりの感想を持つ。_
●全文の黙読・音読
●全文を通読し、百字程度の感想文を書く。
第二次 学習のめあてを持つ。_
●題や話者の視点を検討し、何について読みとっていけばいいのかを明らかにする。
●物語の設定をまとめる。
第三次 ごんの心情変化を読み取る。b
●1場面でのごんのいたずらに着目し、ごんについて自分なりの考えを持つ。
●いたずらを後悔した、ごんの最初の心情変化を読み取る。
●つぐないを始めたごんの変化を読み取り、1場面のごんと対比する。
●3場面のごんのつぐないを対比し、ごんの変化していく様子を読み取る。
●「兵十に自分の存在を知ってほしい」というごんの心情を読み取る。
第四次 ごんの兵十に対する心情と、兵十のごんに対する心情を読み取る。^
●兵十のごんに対する心情変化を読み取る。(本時)

6.本時の指導計画
^ねらい
@兵十の心情の転換点を検討させることにより、「ごんを憎んでいた兵十の心情はうなずいたごんを見て変化したこと」を読み取らせる。
A「心情の転換点を探す」という読解技能を身につけさせる。
_展開の構想
この6場面で兵十のごんに対する考えが変わっているということは、どの子供にも読み取れるであろう。「いつ変わったのか」「どのように変わったのか」「なにが原因で変わったのか」の3点について正しく読み取っている子供はほとんどいないと思われる。そこで本時では心情の転換点を問うことにより、兵十の心情変化を正しく読み取れるように変容させたい。
まず、心情の転換点を問う。この問に対しては別紙「本時の展開」に示したように考えが対立するであろう。対立点を明確にした上で話し合いをさせたい。この話し合いの過程で、次のような兵十の微妙な心情変化を読み取らせていく。

@こないだ、うなぎをぬすみやがったあのごんぎつねめが、またいたずらをしに来たな。〜今、戸口を出ようとするごんを、ドンとうちました。→憎らしいいたずらぎつねを撃ってやろう。
Aうちの中を見ると、→何かいたずらはされていないだろうか。
B土間にくりが固めて置いてあるのが、目につきました。→おや、変だぞ。
C兵十はびっくりして、ごんに目を落としました。→もしかしたら、くりはごんが持ってきてくれたのかもしれない。
D「ごん、お前だったのか、いつも、くりをくれたのは。」→お前なのか?そうなのか?
Eごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。→そうだったのか!
F兵十は、火なわじゅうをバタリと取り落としました。→なんということだ!

話し合いの中で、「兵十の視点移動」、「兵十は立ち上がって、なやにかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。」「兵十は、火なわじゅうをバタリと取り落としました。」という対比表現、「ごん、お前だったのか、いつも、くりをくれたのは。」の音読の仕方についても着目させていきたい。
兵十は「栗や松茸を持ってきていたのがごんであった」ということはわかったが、その結果ごんに対する考えがどのように変わったのかについては書かれていない。したがって、これは子供一人一人の解釈に委ねることとしたい。その一人一人の解釈を発表し聞き合うことによって、様々な解釈が考えられることに気づかせるようにする。
`授業の視点
@「転換点を探させ、検討させる」という方法は、兵十の心情変化を読み取らせる上で有効であったか。
A対立点を巡る話し合いの組織は適切であったか。
a本時の展開(別紙)
b評価
@「兵十の心情の転換点」について、自分の考えを持つことができたか。
A「ごんに対する兵十の心情は、栗を見たことによって揺れ始め、うなずくごんを見て完全に変わった」ということを読み取ることができたか。
Bごんと兵十の心情について自分なりの解釈を作ることができたか。