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平成13年度 校内研究計画

1 研究主題

自ら考え,進んで表現できる子供を育てる
「総合的な学習の時間」はどうあればよいか

2 主題設定の理由

平成14年度から新教育課程が完全実施される。それに伴い,第3,4学年105時間,第5,6学年110時間の「総合的な学習の時間」も実施されることとなる。
「総合的な学習の時間」には定められた指導内容がない。二つのねらいが示されているのみである。各学校の創意工夫を生かした教育活動が求められているからである。
本校では平成11,12年度と2年間にわたって「総合的な学習の時間」に焦点を当てて研究を進めてきており,これまでに下表(略)のような単元が開発されている。

しかし,この表を見ても分かるとおり「情報」をテーマとした単元がどの学年でも開発されていなかったり,学年部内で単元が重複したりしている。そして,なにより,求められている時数に達していない。
そこで,今年度は,これまで開発されてきた単元を見直し,また,新たな単元を開発することにより,105時間ないし110時間の指導計画を完成させることが急務となる。

教育課程審議会答申に,次の指摘がある。
『学習が受け身で覚えることは得意だが,自ら調べ判断し,自分なりの考えをもちそれを表現する力が十分育っていないこと』
「子どもの現状」に対する指摘として挙げられたものである。
上の指摘は,本校の子供たちの実態にも当てはまるものであった。そこで,昨年度は
・ 子供たちの「気付き」や「疑問」を促す体験的な学習の工夫
・ 追求方法や表現方法を学ぶことができる手だての工夫
を研究内容として設定し,研究を進めてきた。
その結果,授業研究を通して,次のような提案がなされた。

【体験的な学習】
・ 学級の友達や上級生と一緒に「昔の遊び」を楽しむ(1年 生活科)
・ グループ毎に「地域の町探検」をする(2年 生活科)
・ 友達,担任,ALTと英語活動を楽しむ(3,4年)
・ 韓国や中国の人と交流活動をする(5年)
・ 大豆の栽培活動をする(6年)

【追求方法】
・ 家族など身の回りの人に聞く
・ 探検先の店の人,ALT,国際交流員,農業普及員等,専門家に質問する
・ 図書館の資料で調べる
・ エンカルタ等の電子百科事典で調べる
・ 電話やFAXを利用して調べる
・ インターネットを活用し,Webやメールで調べる

【表現方法】
・ 学習カードを活用する
・ 学習内容を手紙で知らせる
・ ニュース番組を制作する
・ 新聞を作る
・ 紙芝居を作る
・ クイズを作る
・ 劇化する
・ 実演する
・ デジタルカメラやコンピュータソフトウエアを活用し,電子データベースを作成する
・ 実物投影機を使ってプレゼンテーションする
・ 友達とコミュニケーション活動をする

このような提案により,研究内容について一定の成果(平成12年度『校内研究のまとめ』参照)が得られた。しかし,その一方で,子供たちの「追求活動」や「表現活動」について,新たに次のような課題も明らかになった。

A 調べ方が十分に身に付いていないために,課題追求活動が行き詰まってしまう。
B 恥ずかしさや自信のなさから,なかなか進んで表現できない。
C 自分の考えをうまくまとめることができず,表現方法が稚拙である。

Aは図書室やWebを使っての情報検索等,追求方法が十分に身に付いていないことによる課題であり,B,Cは表現意欲や表現方法の不十分さによる課題である。
昨年度実践で見られた上記の課題や「総合的な学習の時間」の二つのねらいを踏まえ,今年度も引き続き,
「自分で考え,進んで表現できる子供を育てる」
ことを主題に掲げて研究を進めていくこととする。この子供像は,今年度の重点目標の一つである「自分の考えを発表し さらに考えを深め合う子供」に直接的につながるものでもある。

3 研究内容

(1) 単元の見直し・開発と指導計画の作成

今年度,何よりもまずやらなければならないことが指導計画の作成である。下に示した表を参考例とし,各学年の指導計画を完成させる(形式は別紙参照)。その際,3年生以上のすべての学年に「英語活動」「情報教育」そして「福祉」を位置付けることとする。「英語」「情報」は21世紀の基礎学力と考えられており,系統的な指導が必要だからである。また,「福祉」を入れるのは活動の重複等を避けるためである。

  3年 時数 4年 時数 5年 時数 6年 時数
国際理解 英語活動
30
英語活動
30
英語活動
30
英語活動
30
国際交流
20
    国際交流
20
   
情報 情報教育
20
情報教育
20
情報教育
20
情報教育
20
環境     ごみ問題
20
    環境問題
20
福祉・健康 施設訪問
20
視覚障害
20
車椅子
20
ボランティア
20
15
15
20
20
その他                
合計時数
105
105
110
110
今年度時数
70
70
70
70

  は今年度の必須実践単元

(2) 子供たちの「気付き」や「疑問」を促す体験的な学習の工夫

学習指導要領では,「総合的な学習の時間」の学習活動の展開に当たって,三つの配慮事項を示しているが,その筆頭が次である。

^ 事前体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。

これは,「総合的な学習の時間」において,それだけ体験的な学習が重視されているということである。ただ,その体験的な学習は「気付き」や「疑問」を促すようなものでなければならない。「気付き」や「疑問」がなければ,子供たちは「自ら考え」るようにはならないからである。単なる体験的な活動ではなく,体験的な学習なのである。

(3) 子供たちが追求方法や表現方法を学ぶことができる手だての工夫

「総合的な学習の時間」が目指すのは,方法知であって内容知ではない。「総合的な学習の時間」で問われるのは「子供がどのような問題解決方法を学んだか」である。したがって,単元を通して,子供たちが課題の追求方法を学ぶことができるような手だてを工夫していかなければならない。
また,それと共に大切なのは表現方法を学ぶことである。思考は直接目で見ることができない。どのような追求をし,どのような考えをもったのかを見えるかたちで表現し,他者に伝えることによってはじめて子供たちは互いの追求を自己評価・相互評価することができる。そして,自己評価・相互評価することによって,子供たちは自己を見つめ直し,新たな追求意欲をもつことができるのである。

(4) 子供たちが基礎・基本を身に付けることができる教科指導の工夫

新学習指導要領の柱は「総合的な学習の時間の創設」だけではない。「基礎・基本の確実な定着」も重要な柱の一つである。
今年1月に文部科学省が発表した「21世紀教育新生プラン〜レインボープラン〜」においても,重点戦略の筆頭に挙げられているのが「基礎学力の向上」である。「基礎・基本の確実な定着」は学校に求められている最重要課題なのである。
「基礎・基本」を研究内容に据えることは,「総合的な学習の時間」に焦点を当てた今年度の研究主題からはずれるものではない。各教科で「基礎・基本」を身に付けさせることなしに「総合的な学習の時間」の充実を図ることはできないからである。各教科で身に付けた「基礎・基本」を総合的に生かす場が「総合的な学習の時間」であり,また「総合的な学習の時間」で身に付けた方法知が各教科の学習にも生きることになるのである。

4 研究方法

(1) 昨年度までに開発された単元を踏まえ,年間105時間,110時間の「総合的な学習の時間」指導計画を作成する。

(2) 作成した指導計画に沿って,70時間程度の授業実践を行う。

(3) 3年生以上の担任は,70時間程度の授業実践のうち,1時間以上を公開する。

(4) 1,2年生担任は,国語(話すこと・聞くこと)の授業実践を公開する。

(5) 公開授業の指導案検討は,学年部及び研究推進委員会で行う(ただし,主事訪問時の指導案検討は全体で行う)。

(6) 公開授業後は全員による研究協議会を行い,実践を検討する。

(7) 授業者は研究協議会を受けて,実践を評価・反省し,その成果と課題を明文化する。

(8) 「総合的な学習の時間」指導計画,学習指導案,成果と課題は年度末に印刷製本し,次年度研究へ生かす。

5 その他

(1) 学習指導案及び指導計画の形式は,別紙1,2の通りとする。
(2) 今年度中に「総合的な学習の時間」をどのような名称にするかを検討,決定する。
(3) 平成14年度へ向け,各教科・領域の年間指導計画を作成する。
(4) 月に一回程度,全体研修会を位置付け,指導案検討・教育課程等伝達講習・情報教育研修等を実施する。

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