教育実践INDEXへ

第3学年 国語科学習指導案

平成18年6月6日(火)5校時
授業者 渋谷 徹

<問題の所在>
 光村三年上に「分かりやすく書こう」という単元がある。「自分が見つけたものを作文に書いて友達に知らせる」という学習である。教科書では14時間の指導計画を設定しているが,この指導計画には,次の三つの点で問題がある。
 一つ目は,一つの作文にかける配当時数が多すぎるという点である。教科書には400字程度の作品例が紹介されている。3年生が「見つけたものを友達に伝える」というテーマで書く分量としては妥当である。しかし,問題は配当時数である。400字程度の作文を書かせるために,題材選定→取材→選材・構成→記述→推敲という過程を経ながら14時間を配当している。一つの作文にこれだけの時間をかけていては,子供たちの書く意欲は減退してしまい,多くの子供は「作文は大変」と思ってしまう。
 二つ目は,段落構成の例示が分かりにくいという点である。教科書に次の文がある。
 

 高野さんは「おもしろいと思ったところ」「マンホールのふたの様子」「場所」という三つの事がらを伝えることにしました。

 このような事がらの分け方では,段落指導はできない。なぜなら前者の二つは,分けて書くことはできない事柄だからである。高野さんは「マンホールのふたの様子」を「おもしろいと思った」のである。それにもかかわらず,この二つを分けてしまったら,それぞれの段落に書くべき内容が重複してしまう。二つの段落に書くべき内容を分離することができないからである。事柄ごとに段落を分けて書くことが主たる指導内容であるのに,これでは子供たちの思考は混乱するだけである。
 三つ目は,構成が終わった段階で,一度に記述させているという点である。取材や構成については具体的に指導しているのに,記述については具体的な指導が見えないのである。

 以上の問題を改善するため,本単元では次の指導を提案する。
1 1単元2作品
 「共通題材(練習)」「選択題材(本番)」の二つを設定し,400字程度の文章を二つ書かせる。
2 文章構成の明示
 各段落に書くべき内容と分量とを明示し,4段落構成で書かせる。
3 書く過程のスモールステップ化
 400字の紹介文を一度に書かせず,はじめ」「なか1」「なか2」「まとめ」の段落ごとに書かせ,その都度評価と指導を加える。

1 単元名

分かりやすく書こう(光村3年上) 題材名 「校区ガイド」

2 単元の目標

^ 「校区で見つけたもの」について,読み手に分かりやすい紹介文を書こうとすることができる。
_ 「校区で見つけたもの」について,自分が紹介したい内容を考えたり選択したりできる。
` 「はじめ(紹介するもの)」「なか1(特徴)」「なか2(場所)」「まとめ(呼びかけ)」等,事柄ごとに段落を分けて書くことができる。

3 児童と単元

(1) 児童の実態(男子16名 女子14名 計30名)

 本単元が,今年度初めての「書くこと」単元の学習である。しかし,これまでもいくつかの場面で,子供たちに文章を書かせてきた。
 例えば,「学習作文」である。学習作文とは,その日の授業で分かったことや思ったこと等を書いた作文のことである。授業の終末や家庭学習の課題として課してきた。子供の思考力や表現力の向上を図るためである。
 これまでに子供たちが書いた「学習作文」から言える実態は,次の通りである。

 本単元の指導を通して,文や段落に対する意識を高め,読み手に分かりやすい文章表現ができるようにしていきたい。

(2) 単元について

第3学年及び第4学年の「書くこと」に関する目標は,次の通りである。

 相手や目的に応じ,調べた事などが伝わるように,段落相互の関係などを工夫して文章を書くことができるようにするとともに, 適切に表現しようとする態度を育てる。

 本単元の中心的な指導事項は「段落」である。これまでに子供たちが身に付けている文章構成は,「時間の順序」だけである。時間順にしたがって,無段落で文章を書いてしまっている子供たちに対し,本単元では「事柄の順序」に目を向けさせ,事柄ごとに段落を分けて書くという力を身に付けさせたい。
 本単元にかかわる指導事項は,次の5点である。

ア 相手や目的に応じて,適切に書くこと。
イ 書く必要のある事柄を収集したり選択したりすること。
ウ 自分の考えが明確になるように,段落相互の関係を考えること。
エ 書こうとする事の中心を明確にしながら,段落と段落との続き方に注意して書くこと。
オ 文章のよいところを見付けたり間違いなどを正したりすること。

 題材は「校区ガイド」とする。「自分が見つけたものをみんなに知らせたい」という,相手意識・目的意識をもたせやすいからである。子供たちは,社会科の学習で「校区探検」を行った。その活動の中で,校区で見つけたもの等を探検カードに記入している。本単元では,校区探検で探検カードに記入したものの中から,自分がみんなに知らせたいものを選択し,ガイド(見つけたものの紹介文)を書かせたい。

4 指導の構想

(1) 1単元2作品

 教科書に示されているモデル作文はおよそ400字である。教科書の指導計画では,本単元に14時間を配当している。400字程度の作文を一つ書くために,この時間配当は多すぎる。これだけの時間,子供たちの書く意欲を持続させることは難しい。また,これだけの時間をかけるのであれば,多作をさせた方が書く力は伸びる。
 そこで,本単元では「共通題材(練習)」「選択題材(本番)」の二つを設定し,400字程度の文章を二つ書かせることにしたい。共通題材の書き方を全員で検討しながら書き方を学ばせ,選択題材で学んだ方法を適用させるのである。この方が,子供たちの書く意欲を持続させることができ,また,「書く力」の向上を図ることもできるからである。

(2) 文章構成の明示

 教科書のモデル文では段落構成が,次のようになっている。

「はじめ」・・・何を見つけたのか
「なか1」・・・おもしろいと思ったところ
「なか2」・・・そのものの様子
「なか3」・・・そのものがある場所
「まとめ」・ ・・呼びかけ

 この文章構成には,次の点で問題がある。
 それは,「なか1」と「なか2」の区別がつかないということである。「おもしろいと思ったところ」と「そのものの様子」という分け方では,書く内容が重複してしまい,段落指導がしづらい。これでは,子供たちが混乱してしまう。また,初めて段落構成を学ぶ子供たちにとって,5段落構成は多すぎる。
 そこで,本単元では二つの作品を通して,下に示す4段落の型を与え,それに沿って,紹介文を書かせていく。

「はじめ」・・・何を紹介するのか
「なか1」・・・そのものの特徴
「なか2」・・・そのものの場所
「まとめ」・ ・・呼びかけ

(3) 書く過程のスモールステップ化

 これまでの「書くこと」の学習では,取材・選材・構成の指導過程を経た後,原稿用紙に向かわせ,最後まで書かせることが多かった。しかし,本単元では,400字の紹介文を一度に書かせることはしない。「はじめ」「なか1」「なか2」「まとめ」の段落ごとに書かせ,その都度確認と指導を行っていく。
 文章構成(どの段落に何を書くか)は教師から型を与え,段落ごとに書かせていく。そうすることにより,「何を書いたらよいのか分からない子供」や「どのように書いたらよいのか分からない子供」に対応することができ,多くの子供を目標に到達させることができるからである。

5 単元の指導計画(本時3/10)※ 教科書指導書の配当は14時間

学習活動
評価基準
○校区ガイドを作るという目的を知り,何について紹介するのかを決める。(1) ・紹介文を書こうという意欲をもつことができる。
○「ドン山」の紹介文(共通題材)を書く。(4)
・構成メモと「はじめ」を書く。
・「なか1(特徴)」を書く。(本時)
・「なか2(場所)」を書く。
・「まとめ(呼びかけ)」を書き,お互いの文章を読み合う。
・「何を紹介するのか」が記述されている。
・色,形,大きさ,感じ,用途等の観点を使いながら,そのものの「特徴」が記述されている。
・「およその位置」が記述されている。
・「呼びかけ」が記述されている。
○「自分が見つけたもの」の紹介文(選択題材)を書く。`
・構成メモを書く。
・「はじめ」と「なか1」を書く。
・「なか2」と「まとめ」を書く。
・「何を紹介するのか」が記述されている。
・色,形,大きさ,感じ,用途等の観点を使いながら,そのものの「特徴」が記述されている。
・「およその位置」が記述されている。
・「呼びかけ」が記述されている。
○互いの書いた紹介文を読み合う。_
・互いの紹介文を読み合いながら,自分が行きたいと思ったところを選択する。
・友達の紹介文を読み,いちばん行きたいと思ったところを選択することができる。

6 本時の指導計画

(1) 本時のねらい
  色,形,大きさ,感じ等の描写の観点を使いながら,ドン山の特徴を5〜7行程度で記述することができる。

(2) 展開の構想

1 モデル文の提示(クリックするとモデル文が別ウインドウで開きます)
 前時までに,子供は四つの段落の構成メモを書いている。しかし,「なか1」「なか2」はそれぞれ7行ずつが割り当てられている。一文程度は書けたとしても,紹介したいものの特徴について7行を書くことは困難な子供が多いことが予想される。描写の観点をもっていないからである。
 そこで,本時では,次の二つのモデル文を提示し,「なか1」の書き方(描写の観点)に気付かせる。
モデル文A・・・紹介したいものの特徴が一文しか記述されていないもの
モデル文B・・・色,形,大きさ,感じ等の描写の観点を使いながら,7行の描写が記述された 烽フ
 二つのモデル文を比較・検討させることにより,モデル文Bの「なか1」は色,形,大きさ,感じが記述されていることに気付かせる。これは,描写文を書くときの観点である。この観点に気付いた子供たちは,二次で自分が選択したものの紹介文を書くときにも適用しようとするはずである。

2 書く過程のスモールステップ化
 本時で子供たちが書くのは「なか1」である。これを一度に書かせるのではなく,2文程度書けたら持ってこさせ,評価と指導を行う。書く過程をスモールステップ化することにより,小刻みな評価・指導が可能となる。小刻みな評価・指導により,書けない子供たちに「書くこと」の学習を保障することができる。

(3) 本時の展開

学習活動 教師の働きかけと児童の反応 留意点
二つのモデル文の比較・検討を行う。(20分)
■この時間は「なか1」を書くことを告げる。
■2種類のギターの実物とそれぞれのギターについて書いた二つのモデル文を提示する。
二つの紹介文を読みます。どちらがよく分かる紹介文ですか。

・ Aの方がよく分かる。

 二つの紹介文は何が違うのですか。

・ Bは説明が短いけれど,Aの方が長く書いてある。
・Aの方が文の数が多い。
・Aは,色,形,大きさ,使い方などについて詳しく書いてある。
■Aのモデル文から抽出された「色」「形」「大きさ」「使い方」といった観点を板書する。
■Bのギターについて,色,形,大きさ,使い方等を確認する。

Bの紹介文に,文を一つ足してごらんなさい。

・数名に発表させ,教師が掲示されたモデル文に書き加える。

・拡大したモデル文を黒板に提示すると共に,プリントとしても配布する。
・文の数に着目させることにより,一文を長くするのではなく,文の数を増やそうという意識を高める。
・子供から観点が出てこない場合には,一文ずつ,何について書かれているのかを確認する。
構成メモを書き足す。(10分)
■モデル文の検討により気付いた観点にしたがって,構成メモを追加させる。
ドン山の「なか1」のメモを増やしてごらんなさい。

■構成メモを増やすことのできた子供に発表させ,板書する。

・自力で書けなかった子供には黒板のメモを写させる。
「なか1」を記述する。
(14分)

「なか1」だけを書きます。文が二つ書けたら見せに来なさい。

・獲得した観点を使って増やした構成メモにしたがって,描写文を書く。

・「なか1」だけに限定して記述させ,評価と指導を行う。
・「書き出しが一字分空いているか」「学んだ観点を使っているか」だけに焦点を絞って評価と指導を行う。
・早く終わった子供には,自分が書いた「なか1」を模造紙に書かせ,書けない子供へモデルとして提示する。
次時予告をする。(1分)

 次の時間は,「なか2」を書きます。
 

a 評価規準
 色,形,大きさ,感じ等の描写の観点を使って描写文を5〜7行程度書いている。

授業記録へ