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4年3組 国語科学習指導案

平成19年6月1日(金)5校時
指導者 教諭 渋谷 徹

1 単元名

比べて読もう 主教材「白いぼうし」(光村4年上) 副教材『車のいろは空のいろ』

2 単元の目標

(1) 『車のいろは空のいろ』に収められている複数の作品を読み比べることにより,松井さんの人柄について読み取ったり,物語の設定や情景描写を楽しんだりする。
(2) 複数の作品を読んで,自分が読み取った内容を観点毎に文章に書く。
(3) 他の作品も読んでみたいという読書への意欲をもつ。

3 指導の構想

(1) 児童の実態
 本単元は,4年生になって出会う2つ目の物語文教材である。4月に学習した「三つのお願い」では,三つのお願いの後に出てくる共通の言葉「どんぴしゃり。お願いがかなった。」の音読の仕方の違いを検討することを主な学習活動として設定した。子供たちは,三つの場面を読み比べ,その共通点や相違点を話し合うことによって,場面毎の登場人物の心情を考えることができた。
 本単元では,複数の作品を読み比べる学習活動を設定する。同じ登場人物が出てくる複数の作品を読み比べさせることにより,一作品だけでは読み取りにくい登場人物の人柄や物語の設定を読み取れるようにしていきたい。
 子供たちの読書生活を見ると,選んでいる本が図鑑やマニュアル本等に偏っている傾向がある。特に男子は,物語を楽しんでいる子供が少ない。本単元で,読み比べることの楽しさを体感させながら,子供たちの読書生活を広げていきたい。
(2) 指導計画(全10時間 本時4/10)
第1次 「白いぼうし」を読む。(4時間)
・「白いぼうし」を読み,感想を話し合ったり設定をまとめたりする。(2)
・松井さんの人柄について話し合う。(1)
・女の子とちょうの関係について話し合う。(1)・・・本時
第2次 複数の作品を読み比べ,自分が読み取った内容を文章に書く。(3時間)
・「小さなお客さん」「山ねこ,おことわり」を読む。(1)
・「白いぼうし」「小さなお客さん」「山ねこ,おことわり」を読み比べ,三つの作品に共通している点を話し合う。(1)
・三つの作品を読み比べて,松井さんの人柄や物語の設定,情景描写等について自分が読み取った内容を文章に書く。(1)
第3次 自分が選んだ作品を読み,図書紹介をする。(3時間)
・『車のいろは空のいろ』『続 車のいろは空のいろ』,その他あまんきみこの作品の中から自分が選んだ作品を読む。(2)
・自分が読んだ作品の紹介カードを書く。(1)
(3) 指導の構想
 教科書では,「本と友達になろう」という単元を設定し,「白いぼうし」を読んだ後,自分が読んだ本のおもしろさを紹介し合うという2つの学習活動を組んでいる。しかし,この単元構成では,主教材「白いぼうし」を読む前半の学習活動と図書紹介をする後半の学習活動との間につながりが生まれにくい。
 そこで,本単元では,『車のいろは空のいろ』(主教材「白いぼうし」を含め,8編の作品が所収されている)に収められている3つの作品を読み比べる学習活動を設定する。その後,同書の他の作品や同じ作者の作品を読んで紹介し合う活動を行う。このような単元構成をすることにより,次の利点が生まれるからである。
・複数作品の共通点を話し合わせることにより,主教材と副教材との関連を図ることができる。
・「同じシリーズの本を読む」「同じ作者の本を読む」という読書生活の広げ方を学ばせることができる。

4 本時

(1) ねらい
・女の子がちょうであることを暗示している伏線表現について話し合ったり「小さなお客さん」の読み聞かせを聞き,「白いぼうし」との共通点を話し合ったりすることにより,ファンタジー作品の物語設定のおもしろさに気付く。
(2) 展開

学習活動 教師の働きかけと児童の反応 留意点
音読
(5分)
全員起立。3分間で読めるところまで音読します。

・起立して音読する。読み終わった子供は,2回目を読む。

・速く,そして,淀みなく音読できることをねらう。
「女の子はちょうか」という課題で討論をする。
(25分)
昨日,「女の子はちょうなのだろうか」ということが問題となっていました。考えを確認します(挙手させる)。

・「ちょうだ」という子供が多数派を占めるだろう。 

なぜですか。「ちょうではない」という人から意見をどうぞ。

●どこにも女の子がちょうだとは書いていないから。
○松井さんがちょうを逃がした直後に,女の子が現れている。
●それはただの偶然だと思う。
○ちょうが「やさしい松井さんなら逃がしてくれる」と思って松井さんの車に乗ったのだと思う。
●ちょうは,もうぼうしの中から逃げられたのだから,松井さんの車に乗る必要はない。
○女の子は道に迷っているし,家やビルのことを「四角い建物」と言っている。町に住んでいる女の子ならこんなことは言わない。
○女の子は「つかれたような声」を出している。これは,ぼうしの中で逃げようと動き回ったせいだと思う。
○女の子は「菜の花横町」と言っている。これは,仲間がいる菜の花畑に行きたかったのだと思う。
○男の子の声が聞こえてきたときに,女の子は「早く行ってちょうだい。」と松井さんに頼んでいる。また男の子に捕まえられると思って慌てたのだと思う。
○女の子はいつの間にか消えている。ちょうだから窓から外に出たのだと思う。人だったらドアを開けなければならない。
○松井さんが「なにしろ,ちょうが化けたんだから」といった直後に女の子は消えている。
○女の子が消えた場所は仲間のたくさんいる野原だ。
○「よかったね。」「よかったよ。」というのは,逃げたちょうと仲間のちょうの声だと思う。
●これだけ理由があると,もしかしたら女の子はちょうかもしれない。

・「女の子はちょうか」という問いに対する自分の考えは前時のうちにノートに書かせておく。

・「ちょうである」「ちょうでない」という2派に分かれた場合は,討論形態で話し合いを進める。分かれなかった場合は,教師が「ちょうではない」派の立場に立つ。

・「ちょうではない」という少数派の意見を先に述べさせ,それに反論するかたちで「ちょうである」派の意見を述べさせていく。

・根拠となる叙述を挙げさせるだけでなく,なぜ,そのことによって「ちょうだ」と言えるのか,その理由付けまで述べさせるようにする。

・大方の子供が「ちょうだ」と考えるようになるだろうが,「ちょうではない」と考える子供がいてもよい。結論は出さない。

「白いぼうし」と「小さなお客さん」の共通点を考える。
(5分)
「白いぼうし」は,『車のいろは空のいろ』という本の中に入っているお話です。この本の中には,松井さんの出てくるたくさんのお話が入っています。これから,「小さなお客さん」というお話を読みます。「白いぼうし」と似ているところを考えながら聞きましょう。

・「小さなお客さん」と「白いぼうし」の共通点を考えながら読み聞かせを聞く。

どんなところが似ていましたか。

・「白いぼうし」では女の子がちょうみたいだけれど,「小さなお客さん」では,男の子がきつねみたいだ。
・どちらのお話も松井さんはとてもやさしい。

 次の時間は「小さなお客さん」の他の作品も読んで,「白いぼうし」と読み比べてみましょう。
・「似ているところ」という観点を与えた上で,読み聞かせを行う。

・次時では「小さなお客さん」「山ねこ,おことわり」の2作品をプリントしたものを配布し,より詳細に読ませながら比較する。

(3) 評価
・女の子がちょうであることを暗示している伏線表現を複数挙げながら,自分の考えを述べることができたか。
・「小さなお客さん」の読み聞かせを聞き,「白いぼうし」との共通点を挙げることができたか。

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