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(中学年部) 「総合的な学習の時間」学習指導案

  1. 単元名
  2. 単元の目標
  3. 単元と児童
  4. 指導の構想
  5. 単元の指導計画
  6. 本時の指導計画


1 単元名 共に生きよう

2 単元の目標
(1) 「アイマスク体験」や「目の不自由な方から話を聞く体験」を通して、視覚障害について自分なりの課題をもち、調べ方などを工夫しながら、意欲的に追求活動を行うことができる。
(2) (1)でもった課題を解決するための追求活動を通して、障害者と共に生きることの大切さを知り、自分にできることを考えることができる。

3 単元と児童
(1) 単元設定の理由

教育課程審議会答申では、「各学校段階・各教科等を通じる主な課題に関する基本的考え方」の中で、『少子高齢化社会への対応』という項を設け、次のように述べている。
今後は、各教科、道徳、特別活動及び「総合的な学習の時間」において、それぞれの教科等の特質に応じ、少子高齢社会に関する基礎的理解、家族関係や子育ての意義、介護・福祉など少子高齢社会の課題に関する理解を深めるとともに、実際に幼児、高齢者や障害のある人と交流し、触れ合う活動や、介護・福祉に関するボランティア活動を体験することを重視する必要がある。
この答申を受けた学習指導要領においても、「総合的な学習の時間」で扱う課題の例示として福祉・健康という視点が挙げられている。このことは、これからの社会を生きる子供たちにとって「福祉」が避けて通るわけにはいかない今日的な重要課題であることを示している。
本校では、合唱部による特別養護老人ホームの慰問が数年間にわたって続けられている。また、昨年度は6年生がPTA行事の中で、道徳の発展学習として「車椅子体験」の学習も行った。
しかしながら、このような活動は、3,4年生の子供たちにとって直接体験したことのない未知の領域である。自分たちの先輩が行ってきた価値ある活動の意義を考えながら、自分たち自身も福祉活動へ参画していくきっかけとなっていくことを期待して本単元を設定した。
10月、4年生は国語で『手と心で読む』という説明文の学習を行った。筆者は視覚障害者である。この説明文の学習を通して、子供たちは点字の存在を知り、関心をもち始めている。この関心は本単元の学習への大きな動機付けとなるものである。そこで本単元では視覚障害に焦点を当て、学年部共同での体験活動及び追求活動を組織していくこととする。
本校は、今年度から5年間の新潟市社会福祉協議会の協力校に指定されている。本単元をきっかけとして「福祉」に対する子供たちの視野が広がり、主体的、創造的な活動へと発展してくれることを願っている。
(2) 児童の実態
9月、4年A男が足を骨折し、1か月余りにわたる松葉杖生活を送った。松葉杖での生活は不自由である。友達の助けを必要とすることが多い。そんなとき、頼んでも嫌な顔をして何とか逃げようとする子供、頼まなくても進んで手伝いをしてくれる子供。周りの子供たちの姿は様々であった。
そのような時期、前項で述べた『手と心で読む』の学習を行った。そこでは、例えば次のような課題について考えた。
・点字を手で読むということはわかるが、心で読むとはどういうことなのか。
・人々の心を結ぶとはどういうことなのか。
しかし、上の課題は国語の時間だけで十分に解決することはできなかった。体験や情報が不足していたからである。
学習後「この文章を読んで初めて知ったこと」「この文章を読んでもっと知りたいと思ったこと」を書かせた。子供たちは、
・点字について初めて知った。もっと調べてみたい。
・点字ワープロを使ってみたい。
・他にどんな道具があるのだろう。
・点字を作ったルイ=ブライユについて知りたい。
というようなことを書いてきた。その後も自学帳に点字一覧表や点字の問題をつくってきた子供もいる。しかし、一方では「もっと知りたいことはない」という無関心な子供も5名いた。
本単元の学習を通して、「福祉」について真剣に考え、これまでの自分について振り返りながら、共に生きることの大切さに気づいて欲しいと願っている。

4 指導の構想
(1) 没頭・追求・自己表出のモデルに沿った単元構成

没頭・追求・自己表出。これは、上越市立大手町小学校が提案している学習モデルである。小林毅夫校長は言う。
さっき「没頭、追求、自己表出」という、子どもの三つの学びのヤマ場を作りましたが、没頭は体験です。そこから課題が生み出されてくるわけですし、そこから出てきたものをインターネットで調べたりという追求がある。普通だとそれで終わりなのだけれども、それを必ず何らかのかたちで発表する、自己表出する場をつくる。

『対談「総合的な学習」をどう創るか』(山極隆・小林毅夫 明治図書)
このモデルに沿った単元構成は、子供の意識・思考を自然なかたちでサポートする。
「総合的な学習の時間」では、そのねらいを見ても分かるとおり、「自ら課題を見付け」ることを重視している。ある体験に没頭することは、子供たちが自ら課題を見付けるための前提条件である。「気付き」のないところからは「課題」は生まれず、体験のないところから「気付き」は生まれないからである。
子供たち自身が課題を見付けることができれば、その後の追求活動は意欲的なものとなるであろう。外から与えられた課題ではなく、自らの体験から生まれた課題だからである。
また、自分たちの追求活動を自己表出することによって、子供たちは自らの学び(内容知)や学び方(方法知)を自己評価・相互評価することができる。追求と自己表出の往復運動によって、子供たちの活動はスパイラルに進展していくはずである。
(2) 子供の気付きを生かした複数のアイマスク体験(没頭)
福祉、ボランティア教育の重要性が唱われるようになって以来、車椅子体験やアイマスク体験は全国でも広く行われるようになってきた。また、その実践例も数多く報告されている。
しかしながら、それらの実践報告を読むと、その多くが講師を招いて体験活動を行い、その後に感想を書かせる程度にとどまっており、体験から生まれた子供たちの気付きが十分に生かされているとは言えない。体験が体験だけで終わってしまっているのである。「総合的な学習の時間」における体験は、そこから生まれた気付きが課題へと発展し、その後の追求活動へとつながっていくものでなければならないであろう。
そこで、本単元では子供たちの気付きを生かした、複数のアイマスク体験を組織する。
A アイマスクをつけての行動体験
多くの子供たちにとって、アイマスクをつけての行動体験は初めてのことである。教室周辺での狭い範囲であっても、不自由さを実感し、目の見えないことによる恐怖や、ガイドヘルパー・補助具等の必要性を感じることができるであろう。
B ガイドヘルパーや補助具つきでの歩行体験
Aでの気付きを生かし、第二に行うのはガイドヘルパー体験、白杖を使用した歩行体験である。この段階では、ガイドヘルパーのよりよい在り方や白杖の使い方等について、まず子供たち自身に考えさせたい。アイマスクをつけた子供はガイドヘルパーや白杖があることへの感謝や、ガイドヘルパーの未熟さへの苛立ち等を感じるであろうし、ガイドヘルパーを体験する子供たちは、介助の難しさ等を実感することができるであろう。
C 講師の指導を受けながらの歩行体験・ガイドヘルパー体験
白杖の使い方やガイドヘルプのやり方については、放っておいて身に付くものではない。指導を受けながら正しい方法を知り、実際に体験してみる必要がある。そこで、福祉協議会から講師を招き、指導をいただきながら廊下や階段等を使っての歩行体験・ガイドヘルパー体験を行う。
D 物の識別体験
国語での学習によって、点字について多少の知識を持っている4年生の子供たちだが、どんな物に点字がついているのまでは十分に知っていないだろうし、まして3年生はほとんど知らないであろう。そのような子供たちに、例えばシャンプーとリンス、ビールとジュースについている点字に触れさせ、それを識別する体験を組む。子供たちは、点字の必要性や、点字によって物を識別することの難しさを感じることができるであろう。
E 校舎内を使っての簡易オリエンテーリング体験
AからDまでの体験を生かしながら、アイマスク着用校舎内オリエンテーリングを実施する。その際、ガイドヘルパー・白杖・点字の必要性、そしてその在り方等を総合的に体験できるようなコース・ルールの設定を工夫する。
(3) 目の不自由な方から話を聞く体験(没頭マ追求)
アイマスク体験を通し、子供たちは目の不自由な人の生活を擬似的に体験することとなる。しかし、その体験は、本当に目の不自由な人の生活とは比較にならないほどの小さな小さなものでもある。
そこで、実際に目の不自由な人から来校いただき話を聞く。話を聞くことによって、アイマスク体験からは分からなかった新たな気付きが生まれたり、自分が追求したい課題がより明確になったりするだろうと考えている。
(4) 追求活動の複線化(追求)
「複数のアイマスク体験」「目の不自由な人から話を聞く体験」によって、子供たちには気付きが生まれる。そしてその気付きは多様なものとなると考えられる。多様な気付きを生かしながら追求課題を複数設定し、子供たちが自分の興味や関心に基づいて課題を選択できるようにしたい。選択した課題ごとにグループを作ることによって、個だけではなく小集団内で互いの学びや学び方を交流しながら追求活動を展開していくことができると考えている。
(5) 学校図書館との連携(追求)
子供たちは様々な方法で追求活動を進めていくであろうが、最も身近な方法は図書資料で調べるということである。しかし、本校図書館には関連図書資料が不足している。そこで、図書館司書との連携を図りながら、関連図書資料を充実させ、子供たちの追求活動を支援していきたい。
(6) ホールの有効利用(追求マ自己表出)
3,4年教室の中間に位置したホールは、様々な活動に利用できる多目的スペースである。この多目的スペースを追求活動の基地として設定する。具体的には次のような方法をとる。
A 資料コーナーの設置
図書資料を始め、新聞雑誌の切り抜きやパンフレット等、子供たちが集めてきた資料、教師が提供する資料等を自由に閲覧できるコーナーを設置する。
B カードの設置
子供たちが各自の(あるいは各グループの)追求活動を記録していくためにカードを活用する。カードはホールに多量に置いておき、子供たちがいつでも自由にそこからカードを取り出して記入できるようにしておく。
C ホール全体を巨大イメージマップとする
子供たちが追求活動に使用したカードはその場でホールに貼り付けていく。ホールの掲示板全体を巨大なイメージマップに見立てるのである。イメージマップに次々と各自の追求が掲示されていくことで、情報の交流、意見の交流が自然なかたちで行われていくであろう。また、このことによって、子供たちが自分たちの追求活動を自己評価、相互評価できることにもつながるものと考えている。
「総合的な学習の時間」のねらいの一つに、学び方(方法知)を身に付けることがある。カードを使用してイメージマップをつくっていくという手法は、本単元だけでなく、別な場面の学習にも適用できる学び方である。
イメージマップづくりの過程で、子供たちが他の教科の学習で身に付けてきた力を存分に発揮し、知の総合化を具現してくれるものと期待している。
(7) 行動を伴う発展学習(自己表出)
子供たちは自分の課題追求をイメージマップというかたちで自己表出する。しかし、それはホールという空間に限定されたものである。「福祉」というテーマで追求学習を進めていく以上、是非とも具体的な行動というかたちでも自己表出させたい。例えば、次のような行動である。
・ 学校内に点字表示をつけよう。
・ 盲学校の子供たちと交流しよう。
本単元での学習を、発展的に上のような自己表出につなげていきたいと考えている。

5 単元の指導計画(単元のチャート図が表示されます)

6 本時の指導計画(2/10)
(1) 本時のねらい
A アイマスクを着用しての折り紙体験や歩行体験を通して、目が見えないことによる不自由さや恐怖感を体感する。
B 不自由さを克服するための方法を考えることを通して、ガイドヘルプの必要性に気付き、そのよりよい在り方について自分なりに考える。
(2) 展開の構想
前時で、子供たちは「目の不自由な人が困ると思うこと」を予想した。そこで発表されたのは、例えば次のような事柄である。
・ 買い物をするときに商品が分からない。
・ 家事
・ お金を出すときに、いくらか分からない。
・ 車の運転ができない。
・ 前に何があるか分からない。
・ 交通事故に遭いやすい。
・ 盲導犬禁止の店がある。
・ 道に迷う。等々
これらは、あくまでも子供たちが頭の中だけで行った予想である。したがって、実際に視覚障害者がどのようなことに不自由を感じているのかを知ったわけではない。
そこで、本時ではアイマスク体験を行い、実際に目の不自由な人の立場になってその不自由さについて考えさせてみたい。
アイマスクを着用しての折り紙や歩行を実際に体験することにより、子供たち自身に不自由さを体感することができるであろう。そして、目が見えないことによる困難さや恐怖を覚えた子供たちは、ガイドヘルプの必要性にも気付いてくるであろう。
こうした気付きを生かし、ガイドヘルプのやり方や白杖の使い方をまず、子供たち自身に考えさせる。そして、そこで生まれた新たな気付きや疑問を次時の活動(福祉協議会の講師によるアイマスク歩行及びガイドヘルプ講習)へとつなげていきたい。

(3) 展開(本時のチャート図が表示されます)