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【授業記録】(学級通信CHANCEより)

※子供の氏名は仮名です

《第1時》

昨日、こんな学習をしてみました。
右の絵(略)をご覧ください。楽しそうに対話している人々が大勢描かれています。この中から好きなペアを選んで、「より長く・より楽しく」対話を続けるゲームを行いました。
ゲームは3人1組で行います。対話する2人は先攻と後攻を決めて対話ゲームを開始します。残る一人は審判となって、対話を評価するのです。対話を途切れさせた方が負けです。これを順番に行っていきます。
今回は対話の内容は問題としませんでした。より長く・より楽しく。それだけがポイントです。何よりも「対話を楽しむ」ことを味わってほしかったからです。

2時間を使いました。それでも子供たちは飽きることなくゲームを楽しんでいました。
審判となった子供たちの記録表には、次のような言葉が書かれていました。


・よくつづいてなかなかおもしろい話が出てきました。
・二人のことばがおもしろかった。
・長くつづいて楽しかった。
・よしえちゃんは、おもしろい声だったし、さとしくんは、なんかこわそうなおじさんみたいだった。
・話のなかみがけっこうおもしろかった。
・えがおでやっていて楽しそうだった。
・びっくりすることをたくさん話していた。

今度はきちんとテーマを決めて対話をし、よりよい対話についてさらに考えさせていきたいと思っています。

キャッチボールって知っているよね。お互いにボールを投げ合う遊びです。相手のボールを捕らなかったらキャッチボールは続きません。捕ったままボールを投げなくても、キャッチボールは続きません。何回も何回も、できるだけ長く続くのが上手なキャッチボールです。
対話は言葉のキャッチボールです。相手の言葉をしっかり受け取り、自分の言葉をしっかりと投げてキャッチボールを長く続けましょう。

昨日の自学帳から、「対話ゲーム」の感想をいくつか紹介します。子供たちは言葉のキャッチボールを楽しんでくれたようです。


きょう対話で、わたしはあきらくんとまさちゃんとグループでした。
さいしょにあきらくんがしんぱんになりました。それで、まさちゃんとわたしで対話をしました。「ないている女の子と小学生の女の子」にしました。「ないている女の子」がわたし、「小学生の女の子」がまさちゃんでした。プリントをはみだすくらいいっぱい対話をしました。同点でした。
次は、わたしがしんぱんの番です。「工事のおじさん」をやりました。まさちゃんが女の子なのにおじさんやくをやったのはビックリしました。わたしが「よお〜いドン!!」と言って、あきらくんがせんこうで始めました。魚のことを話していたり、魚屋さんに行って、魚を買っているところがありました。「魚」がテーマみたいでした。とても楽しい対話でした。「また、こんどやってみたいなぁ〜。」


2,3時間目、教室で三年生23人が対話ゲームをしました。1チームが3人です。少ししかつづかないとつまらないです。ほかのチームはにぎやかでした。
ぼくは、はじめて対話ゲームをして、
「対話ゲームってこんなに楽しいんだなあ」
と思いました。


きょう、2,3時間目にことばのキャッチボールをやりました。
わたしのグループはたえこちゃんとひろきくんでした。いちばんおもしろかったのは、ひろきくんとわたしでやった「犬をつれたおじちゃんとぼく」でした。
絵の中のしゅじんこうになるのは、せいゆうさんみたいで楽しかったです。またやってみたいと思います。

今回の学習はあくまでもゲームです。「絵の中の主人公」となって好きなことを話すことができるのです。内容は問われません。

《第2時》

昨日、続編とも言える学習を行いました。「長く楽しく」に加え、もう一つ条件を設けました。次です。

『一つのテーマで』

つまり、「テーマを設け、話題からそれずに対話ができる」ことをねらったわけです。
設けたテーマは子供たちが楽しみにしている『祭りの出店』です。班のメンバーを2人組、あるいは3人組に分け、『祭りの出店』に関するアイディアをどんどん出し合っていったのです。5分程度で、メンバーをチェンジし、同じように対話を続けます。
対話を始める前に、次の2点について指示しました。

対話を始める前に2つお話をします。
1つ目です。どんなつまらないと思うことでも、まず言ってみることが大事です。こんなこと言ったら笑われないかななどと思わずに思いついたアイディアはどんどん話してみましょう。
2つ目です。友達が言ったアイディアについて悪いことは絶対に言わないことです。「そんなのつまらないよ」とか「なんだ、そんなの」などとは絶対に言ってはいけません。

子供たちは私が指示もしていないのに、メモ用紙を取り出し、そこに自分のアイディアを図示して説明したり、友達のアイディアをメモしたりしていました。対話を楽しみながら、たくさんのアイディアが生まれたようです。
明日は、対話の中から得たアイディアをもとに、一人一人が簡単な企画案をつくる予定です。

《第3時》


対話は3人組で行います。3人がそれぞれ「話し手」「聞き手」「記録者」の役割をもち、5分ごとに交代しながら対話をするのです。
実際の授業の様子です。

対話を始める前に「より長く、より楽しく対話する」ためには、どんなことに気をつければよいのかを考えてもらいます。これから2つの対話をビデオで見せます。2つの対話でどこが違うのかに気をつけてみていてください。

このビデオ、6年生にお願いして演技してもらったものです。名演技でした。ところがです。VTR不調のためか画像が映りません。何度かチャレンジしたのですがやっぱりダメです。(こんな時に限ってトラブルって起こるんですよねぇ・・・。)
残念ですが、あきらめました。子供たちもどんなビデオなのか楽しみにしていたのでしょう。やはり残念そうな表情をしていました。
そこで、急遽プリントだけを使って2つの対話モデルの違いを考えてもらうことにしました。次の2つです。

【対話A】

〈話し手〉 私の考えた出店は「ゲームセンター『チャンス』」。
〈聞き手〉 なんだそれ。つまらなそうだな。
〈話し手〉 そんなこと言わないでよ。まずね、ここで受付をしてから中に入るでしょ。そこでね、お客さんが5つのゲームから自分のやりたいゲームを3つ選ぶの。
〈聞き手〉 ・・・。
〈話し手〉 じゃあ、5つのゲームを説明するね。1つ目は「PKゲーム」。サッカーのPKと同じなんだけど、ここにゴールを作っておいて、お客さんがシュートするの。どう、このゲーム。
〈聞き手〉 別に・・・。

【対話B】

〈話し手〉 私の考えた出店は「ゲームセンター『チャンス』」。
〈聞き手〉 いいじゃんそれ。なんかおもしろそうだな。
〈話し手〉 そうでしょう。まずね、ここで受付をしてから中に入るでしょ。そこでね、お客さんが5つのゲームから自分のやりたいゲームを3つ選ぶの。
〈聞き手〉 ふうん、それでどんなゲームがあるの。
〈話し手〉 うん、じゃあ5つのゲームを説明するね。1つ目は「PKゲーム」。サッカーのPKと同じなんだけど、ここにゴールを作っておいて、お客さんがシュートするの。どう、このゲーム。
〈聞き手〉 おれもやってみたいな。ところで、ゴールキーパーはいるの。
〈話し手〉 うん、いるよ。
〈聞き手〉 何回シュートできるの?
〈話し手〉 まだ、そこまで考えていないんだけど、5回くらいかな。
〈聞き手〉 ちょうどいいんじゃない。それと、柔らかいボールを使うといいね。
〈話し手〉 そうだね。

どちらが上手な対話でしょうか。

当然のことながら、全員がBだと言います。

では、AとBは何が違っているのでしょう。

・Aは対話が短いけれど、Bは長い。
・Aはつまらなそうだけれど、Bは楽しそう。
・Aの「聞き手」は冷たい言葉を言っているけれど、Bは優しい言葉を言っている。
・Aの「聞き手」は黙っているところがある。
・Bの「聞き手」は聞いているだけじゃなくて、自分のアイディアも言っている。

AとBの大きな違いがもう一つあるんだけれど、気付かないかなぁ。

ちょっと難しかったようです。子供たちは見付けられませんでした。そこで、私の方から話しました。

Bの聞き手は「何回シュートできるの?」「ゴールキーパーはいるの?」と聞いているよね。こういうのを質問って言います。
今日これから君たちにしてもらう対話で気をつけてほしいことは2つあります。
1つは「なんだそれ」なんて冷たい言葉を返すんじゃなくて「おお、いいねそれ」というように優しい温かい言葉を返しましょうということです。
もう1つは、聞いていて分からないことはどんどん質問するということです。
この2つができると、前よりもっと長く楽しく対話できるようになります。では、机を動かして対話を始めましょう。

子供たちはグループに分かれて対話を始めました。
Aさん「話し手」、Bさん「聞き手」の対話を再録してみます。

A:私は魚釣りをしようと思うんだけど、どんな魚を作ったらいいかな?
B:うーんとね。大物。
A:鮫とか、鯨とか?
B:でも、小魚でいいんじゃないの。
A:そう。それからね。おみくじもあるの。
B:そう。そこはどういう感じに作るの?
A:休憩場所があって、周りにビニールを貼って、商品や椅子とかも置いておくの。
B:的あてはどうするの?
A:的あてはね。厚紙に的を作って、空気でっぽうみたいなやつで撃つの。
B:理科の時間に作ったようなやつ?
A:うん、あれみたいなやつ。
B:楽しそうだね。バスケットは?
A:バスケットは厚紙を使ってゴールを作って、ボールはね、紙をクシャクシャにして作るの。
B:ここらへんは何になるの?
A:そこは出入り口だよ。
B:ああ、そうだね。
A:じゃあ、ここはあまり見られないようにした方がいいね。
B:そうだね。缶積みもいいかもね。
A:うん、渋谷先生にストップウォッチ持ってもらってね。
B:ボーリングもいいんじゃない。
A:そうだよね。でもボールはどうすればいいかな。
B:体育館の柔らかいボールを使えばいいんじゃない。
A:それはいいね。
(後略)

どのグループも本当に楽しそうに対話をしていました。1つの対話は5分間としたのですが、時間になっても「もっと話したかったよ」という声が聞かれたほどです。
子供たちが書いた感想をいくつか紹介します。
・聞いていて、魚つりのアイディアがすごいなと私は思いました。
・しつもんはすこししかできなかったけど、楽しくてよかった。
・おもしろい話をしていた。ついわらってしまったよ〜。
・もうちょっと時間があるとよかった!いろいろアイディアを聞いてよかった。
・わたしは長く対話ができてよかったです。
・紙コップゲームはおもしろそう。聞いているだけでやってみたい。
・とても楽しかったです。でも、もう少し長く話したかったです。
・いっぱい質問できたし、さきちゃんといっぱい話ができてよかった。

身振り手振りを交えながら、ダイナミックな対話をするペアもあり、見ている私も楽しくなる学習でした。