NO.35 [2000/11/28]

小学校での英語教育

本サイトの掲示板に、次のご質問があった。

小学校での英語教育は必要だとお感じですか?
先生としては、どこまで何を教えようとしているのか

また、私が購読しているメールマガジンでも、次の話題が数回にわたってとりあげられた。

小学校から英語教育を始めることに賛成ですか、反対ですか。またその理由は何ですか。

私の結論は次である。

もはや、小学校英語教育の賛否を論じているときではない。どのように英語教育を行っていくのかが論じられるべきときだ。

文部省のサイトに『〜よりよい教育を目指して〜』と題した文部大臣の文章がある。

(教育の目的)
 教育は、@基礎的な学力(読み・書き・計算、世界の中で生きるための外国語や情報活用能力)の向上、A社会性や倫理観、正義感などの共同体のルールの体得、B歴史、文化の伝承、C知的、人的リーダーの発見と育成などの役割を担っており、これにより個人に、社会で生きていくための「術(すべ)と価値観」を組織的に身に付させると同時に、社会や国家など共同体を維持していくという社会システムとしての機能を持つものである。

文部大臣は、教育の目的の第一として「基礎的な学力の向上」を挙げている(当然のことだ)。ここで注目すべきは、括弧内で基礎的な学力を規定していることである。

「読み・書き・計算」は、従来も基礎学力として広く認知されてきたたものであるから驚くに値しない。問題は次に続く部分である。

・世界の中で生きるための外国語
・情報活用能力

前者は「英語」を、そして後者は「コンピュータ」を指し示すものと考えてよいであろう(外国語は英語だけではないし、情報活用能力はコンピュータだけで身に付くものでもないという反論はあるだろうが、現状では英語とコンピュータと考えるのが妥当である)。

更に引用を続けよう。
現在ベストセラーになった『読んで身につけた40歳からの英語独学法』という本がある。その中で著者、笹野洋子氏は次のように述べている。

ある外資系企業では、昇進のためには、TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)で730点以上とることが必要条件であると決まったとか。その結果、仕事はできるのに、英語ができないばかりにはねられた人が数人いたそうです。この条件を満たして昇進するとしないとでは、年収で100万円から200万円の差がつくこともあるといいます。
また、外資系でもない別の大企業では、課長相当職以上の管理職になるには、TOEICで500点以上が必要とされることになったそうです。この企業では、外国企業との合弁事業がはじまり、多くの管理職は「業務月報」を英語で書かなければならなくなりました。以上は、2000年3月23日付の「日本経済新聞」夕刊に載っていた情報です。
それから、その是非はひとまずおくとして、「英語を第二公用語に」という話まで飛びだす昨今です。しかも、一部の物好きが思いつきで口走ったのではなく、内閣総理大臣のもとに設けられた「21世紀日本の構想」懇談会がだした、れっきとした報告書に書いてあったのですから、騒ぎがいっそう大きくなりました。
まさか・・・と、いまは思っていても、そのうち、そんなことが実現しないともかぎりません。もしそうなったら、中央官庁はもとより、地方の役所の窓口にいる職員だって、英語がかなりできなくては務まらなくなるかもしれません。
要するに、エリートだけが英語をやっていればいい、という時代ではなくなってきているということです。だから、強い目的意識をもった人、というよりも、もたざるをえない人が、これからどんどん増えていくにちがいありません。
(p26,27 原文は縦書き、漢数字)

これが現状なのである。にもかかわらず、依然として「小学校で英語をやる必要はない」と主張している教師がいると聞く。信じられないことだ。現状を知らないのである。
再び繰り返す。
もはや、賛否を議論しているべきときではない。指導内容、指導方法が問われるべきときなのだ。

※ 本日(11月28日)、私の勤務校では3年生で英語の研究授業が行われた。私も来月、授業公開予定である。
※ 私が担任しているクラスの保護者に小学校での英語教育についてアンケートを採った。近日中に学級通信にて結果を公開予定である。