NO.36 [2001/1/9]
一体どっちなんだ!?

1月5日付、読売新聞の記事である。

「ゆとり教育」抜本見直し

 文部省は四日、二〇〇二年度から導入する新学習指導要領で実現を目指す小、中学校などの「ゆとり教育」のあり方を抜本的に見直す方針を決めた。

 基礎学力の向上が狙いで、具体的には、〈1〉教科ごとの二十人学級でレベルの高い授業を行う〈2〉小学校の「総合的な学習の時間」で英語などを教える〈3〉私立中学入試の「難問」も容認する――などが柱となり、今月から都道府県教委や学校現場への指導を徹底する。

 今回の見直し方針は、授業時間削減による「ゆとり教育」が学力低下につながらないよう、臨時教育審議会(一九八四〜八七年)以来の「児童・生徒の学習面の負担軽減」という教育行政の流れを大きく転換するものと位置づけられる。

 九八年に改訂し、二〇〇二年度から導入される小、中学校の新学習指導要領は、学校週五日制の完全実施に伴い、授業時間と内容を三割程度減らし、学習内容を厳選した「ゆとり教育」の実現を求めている。

 しかし、最近、学力低下問題がクローズアップされており、「ゆとり教育」がこうした傾向に拍車を掛けかねないと懸念する声が高まっていた。

 このため、文部省は、「ゆとり教育」の指針となる「基礎学力向上への戦略」をまとめ、具体的な指導方法や授業内容について学校現場に例示することにした。まず、新学習指導要領はあくまで学習内容の最低基準を示すものである点を強調。「ゆとり教育」とは「心のゆとり」を求めるものと定義し、新学習指導要領の範囲を超える内容の授業も積極的に行い、学力を向上させるよう求めている。

 具体的には、既に前倒し実施されている「総合的な学習の時間」について、遊びや体験学習の時間ではなく、教科教育の一環と明確に位置づけ、「小学校での英語」「教科をまたがる学習」「国際化への対応」などに割くべきだと例示している。

 また、政府が次期通常国会で成立を目指している「教育改革関連法案」に盛り込まれる「二十人学級」や「習熟度別授業」などを活用し、新学習指導要領の範囲を超えた高度な授業を容認する。先の教育改革国民会議の最終報告にも盛り込まれた「悪平等をなくし、できる子は伸ばす」との観点を反映するものだ。

 私立中学の入試に関しても、今まで学習指導要領の範囲を超えた問題は「難問」と断じ、出題を自粛するよう指導してきたのを改め、ある程度は学習指導要領の範囲外からの出題も認める方向で検討中だ。

 【学習指導要領】小、中、高校のカリキュラムの基準として、学校教育法に基づいて国が定める教育内容。約十年ごとに改訂されている。〈1〉教育課程全般にわたる配慮事項などの総則と、各教科の授業内容、時間数などを規定〈2〉教科書を編集する際の内容――の二つの基準を持ち、国、公、私立のすべての学校に一定の拘束力を持つ。文相の諮問機関「教育課程審議会」の答申をもとに改訂し、文相が決定する。
(1月5日03:01)

上の記事は、私の参加しているいくつかのメーリングリスト内でも話題となり、私自身は「やっぱりかぁ」という感想をもった。
ところがである。翌日の朝日新聞に次の記事が出た。

「ゆとり教育」の見直しはせず、充実を
文相が年頭会見

 知識を教え込むことを減らし、子どもが自分で学び考える力を伸ばそうと文部省が進める教育改革について、町村信孝文相は5日、年初の記者会見で、「さらにしっかり進めていく」と路線転換の考えがないことを明言した。「学力低下」論など向かい風が強まっているが、基礎の大切さを強調しつつ「ゆとり教育」を堅持する方針を示した。
 文部省はかつての「知識詰め込み」を反省し、ここ20年ほど、子どもにゆとりを与える方向で改革を進めてきた。2002年度からの新しい学習指導要領で小中学校は、教育内容を基礎基本に厳選して3割減らし、完全週休2日にかえる。だが、一方で最近、大学生らの「学力低下」や小学校の学級崩壊などは、こうした「ゆとり教育」が原因という指摘も出始めた。
 これに対して、町村文相は「内容は減らすが、基礎基本は徹底する。それはいわずもがな。ゆとりと言うと何でもありというのは誤解だ」と反論。文部省は習熟度別授業や少人数授業を提唱しているが、これも分かりやすい授業のためだと説明した。
 また、新指導要領の目玉である「総合的学習」について「先生たちが考えて、子どもが考える力を身につける時間にしてもらいたい。科目として何かを暗記するのでは本来の趣旨に反する。体験学習こそ採り入れて欲しい方法の一つ」と強調した。
(1月6日20:55)

各紙、論調が違うのは当然なのであろうが、あまりに極端である。
もう一度、見出しを比べてみよう。

「ゆとり教育」抜本見直し (読売)
「ゆとり教育」の見直しはせず、充実を(朝日)

読売、朝日の各紙がどのような情報をもとに上の記事を書いたのかは分からないが、まるっきり正反対の見出しである。
因みに文部省のサイトで関連情報を当たってみたが、明確なところは示されていない。
う〜ん、どっちなんだ?