NO.57[2001/8/26]

松沢先生への質問

本号と次号に分けて、

・松沢先生に対する渋谷の質問
・渋谷の質問に対する松沢先生のご返答

を公開する。
予めお断りしておくが、これらはあくまでも私と松沢先生との間でやりとりされた私信である。したがって、本来は公開すべきものではない。
しかし、多くの学校で小学校英語教育が行われようとしている中、積極的に実践しようとしている私と、それをネガティブな面からとらえられている研究者の松沢先生との間の意見交換を公開することは価値あるものであると思う。
そこで、松沢先生の了承を得てここに公開することにした。


【渋谷の質問】

松沢伸二 様

栄小学校の渋谷徹でございます。昨日は、大変お世話になりました。

言うまでもないことですが、私は研究者ではなく、実践者です。ですから、理論的な裏付けよりも先に、試行錯誤しながら実践することが性のようになっております。そんな試行錯誤的な実践を先生のような研究者に斬っていただき、ご指導いただく機会を得られたことを大変ありがたく、幸せなことだと思っております。

試行錯誤しながら実践を続けている私にとって(そしておそらくは参加者の多くにとって)、先生のご講義やご紹介くださった白畑先生の論文はショッキングなものでありました。
勝手な捉え方になっているかもしれませんが、先生のご主張をネガティブに考えると、

「英語について素人である小学校教師が年間35時間程度の実践をしてもネイティブに通じる英会話能力を育てることは期待できない」

ということになりましょうか。
これには、納得できる部分もあります。自身の実践を深く反省させられる強烈な批判でありました。
しかしです。そこに、いくつかの疑問も生じてまいりました。先生のご迷惑も省みず、三つほど質問させていただきます。

1 英語の専門教育を受けた玄人(例えば中学校英語教師)であれば、ネイティブに通じる英会話能力を育てることができるのでしょうか。

2 もし、できるのだとしたら年間何時間あればできるのでしょうか。

3 専門教育を受けていない教師による指導は本当にやらない方がよいのでしょうか(先生のご発言の中にこのような言葉があったと記憶しております)。

三つの質問をする理由を補足させていただきます。
まず、1,2の質問についてです。中・高の教師は生徒にネイティブに通じる英会話能力を育てているのでしょうか。私はこの点について懐疑的なのです。
次に3についてです。もし、「専門教育を受けていない教師による指導はやらない方がよい」としたならば、小学校で行っている指導はそのほとんどがやらない方がいいという結論になってしまいます。なぜなら、私たち小学校教師は全ての教科について専門教育を受けているわけではないからです。
ご承知のように、小学校は教科担任制ではありません。あらゆる教科を指導しなければなりません。しかし、全ての教科について専門教育を受けてはいないのです(特に私は教育心理学科の卒業ですから、なおさらです)。
私の有している教員免許は小学校及び中・高の社会科です。しかし、現在、研究教科としておりますのは国語科です。担任している子供たちには国語も算数も音楽も家庭科も指導しております。
渋谷が指導する国語や音楽は「やらない方がよい」のでしょうか。効果は期待できないのでしょうか。教科の専門教育を受けた中学校の先生にとって迷惑な指導なのでしょうか。
私はそうは思わないのです。

お忙しい身でいらっしゃる先生に、このような不躾な質問をする失礼は重々承知しております。しかし、どうしてもお尋ねしないではおれなくなり、お礼かたがた長文メールを出してしまいました。お許しください。

(以下、次号へ)