NO.71 [2002/2/25]

小学校英語活動研修講座(その1)

文部科学省主催の小学校英語活動研修講座が始まった。今日から5日間、国立オリンピック記念青少年総合センターで研修である。この時期に教室を一週間空けるのは痛いが、それもやむを得ない。
7:53新潟発の新幹線で東京へ向かう。12:30受付開始だから、かなり余裕を持っての出発だ。会場に着いたのは11:10過ぎ。会場内のレストランでランチとドリンクバーを注文し、ゆったりと時を過ごす。

研修講座のスタートである。以下、私のできる範囲内でレポートしていく。5日間の講師は多数いるが、このレポートは、私のノート記録がもとになっているので、文責はすべて渋谷にある。

【開講式 13:00】
文科省の田中氏による挨拶がいきなり英語で始まった。ヤバイ。
「これから5日間の研修はすべて英語で行われることになります・・・。などということはありませんが・・・。」
悪い冗談はやめてくれ。胸をなで下ろす。
田中氏は挨拶の中でおよそ次のようなことを述べた。

まずは英語に対するモチベーションをあげることが第一。そのためにはまず英語を好きにさせることだ。
英語はコミュニケーションの道具である。ソルトレイクのオリンピックが終わるが、日本の選手はインタビューされても英語で答えることができない。通訳を通している。通訳はフィルターである。フィルターなしでコミュニケーションをすると世界が広がる。
ただし、いくら英語が話せても、内容がなければ尊敬されない。しっかりした内容をJapanese Englishでもよいから伝えられることが重要である。


【行政説明 13:25〜】
田中氏の挨拶の後、簡単なオリエンテーションが行われた。続いて、文科省の新山氏による行政説明である。
文科省の作成した「手引」は版を重ね、現在第5版。73,000冊が売れたという。文科省作成の冊子としては大ベストセラーとか。
現在、懇談会が開かれているが、そこで現在の問題点を検討している(英語を教科にするべきかどうかも含めて)。6月以降に方向を示すことができるだろうという話である。
新山氏の示した資料及び氏の話の中で、次のようなことが紹介された。便宜上符号を付けて紹介する。

A 小学校英語のねらいの一つは、中学校以後の外国語教育の効果を高めることである。
B 中学校の英語教育の前倒しにはしない。
C 文法や単語の知識を教え込まない。
D 英語はおもしろいという動機付けをする。

分かるようで分からない。
AとBとはどのような関係にあるのか。中学校の英語教育の前倒しではなく、しかも中学校以後の外国語教育の効果を高める授業とは具体的にどのような授業のことなのか。イメージが分からない。それ以前に、中学校の英語教育とは具体的にどのような授業を指しているのかも分からない。
Cも分からない。「文法を教え込まない」ことは理解できる。しかし、「単語を教え込まない」とはどのようなことか。単語を教えてはいけないということか。そうではないだろう。そのような授業は想像できない。教えてもよいが、教え込んではいけないということか。だとするならば、「文法」と「単語」はこの文の中で並列では使えないはずだ。次のようになる。

C1 文法は教えない。
C2 単語は教え込まない。

この理解でよいのか。
Dも分からない。子供が「英語はおもしろい」と言う状態とは一体どのような状態か。歌やゲームを使って楽しく導入するということはできる。しかし、それは歌やゲームがおもしろいのであって、英語がおもしろいというのとは違う。「英語はおもしろいという動機付け」とは具体的にどのような動機付けなのだろうか。分からない。

【小学校英語活動の現状と展望 15:15】
宮崎大学の影浦攻氏の講義である。以下、箇条書きで、講義の概要を述べる。

・「正しくなければ英語でない」これを変えようというのがこの10年間の方向である。「通じなければ英語でない」という考え方に変えていかなければならない。
・小学校英語の背景には「英語に対する国民のニーズ」「従来の英語教育への批判」「急速な国際化の進展」「諸外国(特にアジア)の英語教育の推進」がある。
・研究開発校では「総合」ではなく「英語科」として週2時間の授業を行っている。これは「英語科」創設のために外堀を埋めていることになる。「英語科」になるまでに10年はかからないであろう。
・学習指導要領総則5(3)は、これまでとはちがう異常な取り上げ方である。これまで例示がさらに取り立てられて解説されるようなことはなかった。つまり、これは「是非やれ!」ととらえてよい。
・国際理解は「交流活動」「英語活動」「調べ活動」に分けて考えられているが、メインは英語活動である。


【英語活動の基本的な理論 15:40】
前コマに続いて影浦氏の講義である。

・「英語活動」という名称は私(影浦氏)の命名である。従来の教え込み授業のイメージを払拭したいという願いをこめて、敢えてこの名称を考えた。
・「英語活動」のねらいは二つである。
 1 国際感覚を磨くこと
 2 コミュニケーション能力を付けること
・小学校で英語を始めるメリットはいくつかある。
 1 恥ずかしがらない
 2 繰り返しに耐えられる
 3 喜んで活動する
・英語嫌いを作らないことが何よりも大切である。
・現在、中1の6月で40%、10月には60%の子供が英語嫌いになっている。
・音声、文字、文法等を4月から一度に与えてしまっていることが大きな原因である。
・「話す」「聞く」「読む」「書く」の4つのスキルは最終的に身に付けばよい。最初から同時にやる必要はない。
・極論すれば、「総合」で行う小学校の「英語活動」では音声だけでよい。
・「覚えろ」と言わなくとも子供たちが自然に「覚える」しかけを作る。それがプロである。
・「評価はどうするのだ」という声がある。やりもしない前から評価のことを考えるな。まずはやってみることだ。また、中学校の4観点を小学校にそのまま持ち込むべきではない。

初日(といっても今日は半日だが)が終わった。詳細までお伝えすることはできなかったが、およその様子は伝わっただろうか?