NO.91[2003/11/2]

転換・困惑・挑戦・魅力(NHK「スーパーえいごリアン」HPのために書いたコラム)

■転換

・子供たちに発話させたい言語材料がある。
・様々なアクティビティを使い、変化をもたせながら、発話させたい言語材料を繰り返す。
・子供たちが発話できる言語材料を蓄積する。

 これまで3年間、上のような英語活動に取り組んできました。このような授業が、子供たちのコミュニケーション能力を育てるのだと信じてのことです。
 しかし、この考えは「スーパーえいごリアン」によって、ひっくり返されました。なぜなら、「スーパーえいごリアン」は、次のように組み立てられていたからです。

・子供たちの発話を期待しない。
・子供たちからのOUTPUTではなく、子供たちへのINPUTをねらう。
・言語材料を中心に組み立てない。活動を中心に組み立てる。

 戸惑いました。そのような英語活動の授業をしたことがないからです。これまでやってきた授業とは180度違う授業を作らねばなりません。英語活動の授業に対する考え方の転換を求められました。

■困惑
 さあ、どんな授業をつくろうか。いざ、指導案を考えようとすると、次々と疑問と不安が生じてきます。
「INPUTをねらう?誰がINPUTするの?」
「活動を中心?それで授業になるの?」
「本当に発話は求めなくていいの?」
 45分の授業の中で、番組視聴は15分。すると、残りは30分。この30分の中で、子供たちに英語をINPUTするのは誰?私・・・。ターゲットとなる言語材料が決まっているならまだしも、子供たちに活動をさせながら、場面に応じた意味あるINPUTが私にできるの?
 番組のテーマは太極拳。太極拳という活動で英語活動の授業になるの?「活動あれども学びなし」という状態にはならない?
 発話なしで、子供たちは「英語活動をやった」という満足感が得られるの?やっぱりねらいとする言語材料は必要なんじゃない?
 次々と生じる疑問と不安の中で私は困惑・・・。

■挑戦
 とにかく、もう一度番組を見てみよう。困惑から抜け出すため、VTRをセットし、再度番組を視聴しました。
 う〜ん、太極拳だけで活動を組むのはやはり難しい。30分間、ずっと太極拳だけでは、活動自体が冗長になってしまうからです。それにその間、子供たちにINPUTし続けることなど私にはできそうにありません。
 「これだ!」
浮かんだアイディアが「漢字」をテーマとした授業パーツを組み入れることでした。漢字と英語。とても結びつかないように思える二つの言語を結びつけることによって、ようやく45分の授業が組みあがりました。
 私が発する拙い英語を必死に聴き取りながら、太極拳に挑戦したり、漢字クイズに挑戦したりする子供たち。そんな姿を目の当たりにし、INPUTの重要性を再認識することができました。
 子供たちに発話を求めない英語活動。OUTPUTではなく、INPUTをねらった英語活動。私にとっては初めての挑戦でした。どのような授業になったのか。ホームページの「先生のページ」に掲載された「こんな授業ができました」(第10回「太極拳をマスターしよう!」)を参照いただければ幸いです。

■魅力
 「スーパーえいごリアン」は不思議な番組です。あっという間に、子供たちを虜にしてしまうのです。
 今回の授業は「スーパーえいごリアン」を使った初めての授業でした。子供たちは、昨年度までほとんど英語活動に取り組んでいません。そんな子供たちが、たった1回の番組視聴と授業で「スーパーえいごリアン」の虜になってしまったのです。
 番組を視聴しながら、自然とほころぶ子供たちの顔。中には、3人の出演者と一緒に太極拳の動きを真似ようとしている子供もいます。サイモンの話す英語を一生懸命に聴き取ろうとしながら、自分も出演者の一人になっているのでしょう。
 授業後も、テーマソングを口ずさみながら、教室に1冊おいてあったテキストは奪い合う子供たち。昼休みにはコンピュータ室で「スーパーえいごリアン」のホームページに釘付けです。
 子供たちと一緒に「スーパーえいごリアン」の魅力にひきつけられながら、これからも英語活動への挑戦は続いていきます。