『一秒が一年をこわす』(その3)

さて、寒いグラウンドから教室に戻っての学習です。

これだけ、短い間に人類は地球環境をこわしてきてしまったのですね。
ところで、今の地球を人間にたとえると、どのような状態なのでしょう。
A 医者に行って薬をもらう必要がある。
B 今すぐ大手術が必要である。
C すでに手遅れである。

挙手させたところ、次のような結果でした。
A・・・0名
B・・・16名
C・・・14名

では、自分が地球の健康状態をそのように診断した根拠を教科書から探して、赤鉛筆で線を引いてごらんなさい。

子供たちが線を引いてきたのは、次のような箇所です。

ア 世界の各地で森林がどんどん切り開かれている。
イ 地球の環境に大きな影響をおよぼしつつある。
ウ 地球に対して取り返しのつかないことをしようとしている。
エ 人類が永久に生きていけるかどうかさえあやぶまれている。
オ 野生の生物たちは、次々とほろびようとしている。
カ 大気の汚れは、健康をそこなう原因となっている。
キ このままの活動を人類が続けていれば、
ク もし、これ以上おごりたかぶるなら

上の根拠をもとに、Bと診断した子供たちが、Cと診断した子供たちに反論を始めました。
「『森林が切り開かれている』と言っても、どのくらい切られているのかわかりません。また、植えれば手遅れではないと思います。」
「『影響をおよぼしつつある』だから、完全に影響を及ぼしたわけではないと思います(「つつ」の意味を辞書で確認しました)。
「『取り返しのつかないことをしようとしている』だから、まだ、してしまったわけではないと思います。」
さらに、反論は続きます。
「『あやぶまれている』というのは心配されているということだから、まだ決まったわけではありません。」
「『ほろびようとしている』と書いてあるから、まだほろびてしまったわけではないと思います。」
「『続けていれば』だから、これから人類が活動を変えれば大丈夫だと思います。」
「『もし、これ以上おごりたかぶるなら』だから、おごりたかぶるのをやめればいいと思います。」

これらの反論が出尽くした後、再度、子供たちの診断を問いました。
A・・・1名
B・・・26名
C・・・3名

ア〜クの中で、環境問題の具体的な事実について述べているのはどれですか。そう、アオカですね。後は、筆者の伊藤和明さんの意見です。教科書には、環境問題の具体的な例が四つ書かれていましたね。何ですか。

子供たちが答えてきた例を短い言葉で次のようにまとめました。
・森林破壊
・野生生物の絶滅
・水や空気の汚染
・地球温暖化

「どのくらい森林が破壊されているのか」
「どのくらいの野生生物が絶滅しているのか」
「水や空気はどのくらい汚染されているのか」
「地球はどの程度温暖化しているのか」
教科書には、これらについての情報が書いてありますか。書いていないですね。みんなは今、伊藤和明さんの文章をもとに診断をしてくれましたが、これらについての情報がないと、本当はABCのどれなのかがわかりませんね。次の時間は、具体的な情報をもとに、もう一度診断してみましょう。

このように言って、学習を終えました。
子供たちには、具体的な情報をもとに、地球の健康診断書を書いてもらう予定です。もちろん、子供たちが厳密な診断など下せるはずもありません。根拠をもって自分の意見を述べる力を育てるための学習です。子供たちにとって難しい内容ですが、どの程度書けるのか楽しみです。