主語と述語の距離

国語で『ニュースを伝える』という説明文の学習を終えようとしています。文章は、「新聞、テレビ、ラジオと、ニュースを伝えるにはさまざまな手段がある。それぞれ、どんな工夫をしているのだろうか。」という問いかけで始まっています。

1 新聞の工夫はいくつ書かれていますか。
2 放送(テレビ、ラジオ)の工夫はいくつ書かれていますか。

授業では、上の二つの問題を考えさせることで、文章の内容を読んでいきました。それぞれの工夫は次のように整理されます。

<新聞の工夫>
1 見出し(ニュースの中心を簡潔に)
2 前文(およそのあらすじ)
3 逆三角型の本文(結論を先に)

<放送の工夫>
1 二段構えの書き方(事柄全体を先に述べる)
2 文を短くする(主語と述語の間を短くする)
3 同音異義語を言い換える

さて、昨日の授業で<放送の工夫2>を扱いました。教科書には、次のようにだけ書かれています。

文を短くするのは分かりやすい文章の条件だが、放送では特にそれが当てはまる。日本語の場合、述語を聞かないと文の意味が分からない。「何が」の主語と、「どうした」の述語の間が短ければ、それだけ聞く方は理解しやすいのである。

教科書には例がありません。おそらく、子供たちは筆者が何を言わんとしているのか理解できていないでしょう。そこで、「主語と述語の間を短くする」とは、どうすることなのかを例文を使って具体的に考えさせてみました。
黒板に次のように書きます。

私は小林が中村が鈴木が死んだ現場にいたと言ったのかと思った。

ノートに写させ、音読させます。子供たちは笑っています。何を言おうとしている文なのかがさっぱり分からないからです。「変な文だ」と思っているのでしょう。

意味が分からないでしょう。でも、この文は間違ってはいないのです。分かりにくい文ですけどね。この文の意味を考えてみます。

このように言って、次の問題を矢継ぎ早に出していきました。

1 死んだのは誰ですか。
2 現場にいたのは誰ですか。
3 言ったのは誰ですか。
4 思ったのは誰ですか。

先の文は、一つの文の中に主語と述語が複数含まれ、その二つの距離が離れているから分かりづらいのです。対応する主語と述語を次のように整理します。

1 私は思った。
2 小林が言った。
3 中村が現場にいた。
4 鈴木が死んだ。

このように分けて書くと、主述の対応がはっきりします。

主語と述語の間を短くして、この文を書き直しなさい。

子供たちが書き直した文が次です。

鈴木が死んだ現場に中村がいたと小林が言ったのかと私は思った。

悪文であることには変わりありませんが、主語と述語の間を短くするだけで、ずいぶんと分かりやすくはなっていますよね。