春のうた

春のうた
草野心平

かえるは冬のあいだは土の中にいて春になると地上に出てきます。
そのはじめての日のうた。

ほっ まぶしいな。
ほっ うれしいな。

みずは つるつる。
かぜは そよそよ。
ケルルン クック。
ああいいにおいだ。
ケルルン クック。

ほっ いぬのふぐりがさいている。
ほっ おおきなくもがうごいてくる。

ケルルン クック。
ケルルン クック。

上は、先日学習し終えたばかりの詩です。
最初の1時間は徹底して音読と暗唱を行いました。
2時間目の問いです。

話者は誰ですか。ノートに書きなさい。

子供たちの意見は二つに割れます。
・草野心平
・かえる
前に学習した『ガオーッ』でも、「話者」については学んでいます。しかし、ここで意見が割れるということは「話者」という概念について十分に身に付いていないということでしょう。「話者」とは詩や物語の中で読者に語りかけている人物のことですから、当然「かえる」が正解です。作者は草野心平、話者はかえるです。区別して考えなくてはなりません。
「草野さんが地上に出てきたわけではない」
「草野さんがケルルン クックなんて鳴くわけがない」
このような意見で、全員が納得しました。

話者であるかえるが見たものをすべてノートに書きなさい。

子供たちからは次の四つが出されました。
・みず
・いぬのふぐり
・おおきなくも
・太陽の光

黒板に次の図をかいて言います。

これは地面と穴です。ここに「かえる」「みず」「いぬのふぐり」「おおきなくも」「太陽」をかき加えなさい。絵はへたで結構です。素早くかきます。

見て回ると、子供たちが描いた絵は随分と多様です。検討のし甲斐があります。全員がかき終えたところで尋ねました。

今、かえるはどこにいますか。

子供たちの絵を見ると三通りあったのです。
A 完全に穴の中
B 半分ほど穴から出ている
C 完全に穴から出ている

「穴の中にいたら、まぶしいとは感じない」
「穴の中にいたら、かぜやにおいは感じない」
「半分くらいしか出ていなかったら、みずとかいぬのふぐりとかおおきなくもとか、いろいろなものは見えないと思う」

このような意見が出され、大方の子供がCが正しいと考えました。
続いて、「みず」と「いぬのふぐり」です。

「かえる」「みず」「いぬのふぐり」、それぞれの位置関係が問題となります。
「詩を読むと、みずの方が先に書いてあって、いぬのふぐりはその5行後です。だから、みずよりもいぬのふぐりがかえるのそばにあるのは変だと思います。」
この意見に対し、反論も出されたのですが、いずれもみんなを納得させるだけの根拠をもつことはできませんでした。

最後に尋ねたのは次です。

「おおきなくも」はどこにあるのでしょう。

紙幅が尽きました。次号でお伝えします。