『カブトガニを守る』

『カブトガニを守る』という説明文の学習を始めています。
その1時間目、教科書は開かせず、次のプリントを配りました。

@カブトガニは、北アメリカの東海岸と、アジアの一部にしか住んでいない、めずらしい動物です。日本では、瀬戸内海の一部や九州北部などに見られます。全長およそ六十センチメートル、するどいつるぎのようなしっぽをもち、いかめしいかぶとのような頭をしています。
Aこのようなとくちょうをもつカブトガニも、今では、ずいぶん少なくなりました。海がよごれ、海岸がうめ立てられ、カブトガニのすみかがうばわれてきたからです。
B第二の理由は、食べ物が少なくてすむということです。何も食べなくても、半年以上もどろの中で生きていられるのです。
Cカブトガニは、実は、二億年もの昔から、ほとんど形を変えることもなく生き続けてきた動物です。なぜ、そんなにも長い間生き続けることができたのでしょうか。
D第一の理由は、海の底のどろの中でひっそりと生活してきたことです。そのため、てきにおそわれることが少なく、気候の大きな変化にも、えいきょうを受けなくてすんだのです。
Eそこで、カブトガニを守る運動が、岡山県笠岡市など、各地で進められるようになりました。カブトガニを守ることは、自然を守り、わたしたちのくらしを守ることにつながるのです。
F第三の理由は、たまごを数百こずつ分散して産むことです。そのため、たまごがぜんめつする心配がありません。

全員が黙読し終えたところで、言います。

気付いたことを一行でノートに書きなさい。

列ごとに起立させ、全員に言わせていきます。
「カブトガニは珍しい動物なんだなぁと思った」
「カブトガニは食べ物が少なくてすむ」
等々、文章の内容に関わることがほとんどでした。ただ一人、Nくんだけが次のように言いました。
「順序が変です」

その通り。みなさんはお気づきのことと思いますが、上の文章は段落をバラバラに並べ替えてあるのです。当然、筋の通らない文章になっています。しかし、それを指摘できたのはただ一人・・・。

実は、Nくんの言うとおり、この文章は段落をバラバラに並べ替えてあるのです。ですから、「この文章変だな」と思わない方が変なのですよ。
@だけは合っています。A〜Fを正しい順に並べ替えなさい。

全部で8通りの考えが発表されました。次です。
A @ACDBFE(4名)
B @CDBFAE(15名)
C @AECDBF(7名)
D @DBFCEA(1名)
E @DABCFE(1名)
F @EBDAFC(1名)
G @ACEDBF(1名)
H @DEBAFC(1名)

8つの考えを同時に扱うと話し合いは混乱します。絞り込みが必要です。次のように指示しました。

これは絶対に違うというものを指摘しなさい。

「Fは絶対に違うと思います。Dに『第一の理由は』、Bに『第二の理由は』、Fに『第三の理由は』と書いてあるから、DBFの順になるはずなのに、Fだけはその順番になっていないからです」
これでFは消えました。
「Cは問いかけになっています。DBFはそれに対する答えだから、CDBFの順になるはずです」
これも全員に受け入れられ、D,E,Hも消えました。また、
「問いかけの後にEが来るのも変だ」
という意見によってGもなくなります。
残りはA,B,Cの三つです。
「AとCは@の後にすぐAが来ているけど、Aの最初には『このようなとくちょうをもつカブトガニも』と書いてあります。それではどのようなとくちょうかが分からないからAとCも違うと思います」
「Cは最後にFが来ているけれど、これは最後の段落らしくないから違うと思います」

以上のような検討を経て子供たちが出した結論は「Bが正しい」というものでした。

教科書を開いて確認しなさい。

教科書に、Bと同じ文章を見付けた子供たちは大喜び。ちょうど1時間の学習でした。