カブトガニがめずらしいのはなぜか

筆者が、カブトガニをめずらしいと言っているのはなぜか。

上の問いに対する子供たちの考えは、次の二つに絞られていました。

A アメリカの東海岸とアジアの一部にしか住んでいないから。
B 二億年もの昔から、形を変えることもなく生き続けてきたから。

実は、この問題は本文からだけでは判断することが困難です。筆者の書き方が曖昧だからです。
『カブトガニを守る』は次の一文で始まっています。

カブトガニは、北アメリカの東海岸と、アジアの一部にしか住んでいない、めずらしい動物です。

この文を分けて考えてみましょう。

カブトガニは、
ア 北アメリカの東海岸と、アジアの一部にしか住んでいない、
イ めずらしい動物です。

アがイの理由となっているのか、そうではないのか。これが不明なのです。
例えば、次の二つの文を比べてみます。

・ソラシド集会は、
ア わたしたちの小学校にしかない、
イ 特色ある集会です。

・ソラシド集会は、
ア わたしたちの小学校にしかない、
イ 楽しい集会です。

前者はアがイの理由となっていますが、後者はそうではありません。どちらの文も成り立ち得るわけです。では、『カブトガニを守る』の第一文はどちらなのか。実に曖昧です。

そこで、図書館に行って他の動物についても調べさせ、子供たち自身に判断させることにしました。図書館での調査後、子供たちが書いたのが次の文章です。

K子
Aはまちがいだ。
なぜか。他の動物について考えてみよう。
例えば、タヌキだ。タヌキは東アジアにしか住んでいない動物だ。しかし、タヌキはめずらしい動物ではない。
だから、Aはカブトガニがめずらしい理由にはならない。

N男
Aはまちがっている。
なぜか。他の動物について考えてみよう。
例えば、ライオンだ。ライオンはアジアとアフリカにしか住んでいない。しかし、ライオンはめずらしい動物ではない。
例えば、オランウータンだ。オランウータンはボルネオ島にしか住んでいない。しかし、オランウータンはめずらしい動物ではない。
だから、Aはカブトガニがめずらしい理由にはならない。

S子
Bはまちがいだ。
なぜか。他の動物について考えてみよう。
ゴキブリは四億一千万年も昔から形を変えることなく生き続けてきた動物だ。しかしゴキブリはめずらしい動物ではない。
だから、Bはカブトガニがめずらしい理由にはならない。

情報社会です。インターネット上には、星の数ほどの情報があふれています。しかし、それらの情報は玉石混淆。信用に値する情報か否かの判断は受け手に委ねられているのです。すべての情報を鵜呑みにしていては危険です。情報の真偽を判断する力。これからを生きていく子供たちにとって必須です。