キョウリュウをさぐる

キョウリュウをさぐる
小畠郁生

@わたしたちは、図鑑や博物館で、キョウリュウを見ることができます。しかし、実際に生きているすがたを見た人は、だれもいません。では、いったい何を手がかりにして、キョウリュウの生きていたときのすがたを知ることができるのでしょうか。
A第一の手がかりは、キョウリュウのほねの化石です。一等文の化石がまとまって発見されたとすると、それらを順々に組み立てていけば、そのキョウリュウがどのくらいの大きさで、どういうかっこうをしていたかが分かります。
Bところが、一頭分の化石が発見されたとしても、ばらばらになっていて、つながり方が分からない場合もあります。例えば、同じトリケラトプスの化石をもとに、二人の学者が、そのほね組みを考えたことがあります。この二人の考えたほね組みは、前あしの開き方が全くちがっていました。発見された胴体とあしの化石がはなれていたからです。その後、足あとの化石が発見されて、下の図の左の方が正しいと分かりました。
Cまた、化石が一頭分そろって見つからず、わずかな化石から想像しなければならないこともあります。例えば、マンテルという人は、わずかな化石から、イグアノドンのすがたを、体長二十一メートル、鼻の上に角があったと想像しました。しかし、イグアノドンの完全な化石が発見されると、体長は五メートルから九メートルで、マンテルが角だと思ったのは、実は、親指の化石だということが分かりました。このように、化石の数が少ないと、正確にキョウリュウの大きさやかっこう推定することはできないのです。
Dキョウリュウの大きさやかっこうは、ほねの化石を手がかりにすれば分かります。しかし、皮ふの色や生活の様子をさぐるには、別の手がかりが必要です。
Eそこで、第二の手がかりになるが、キョウリュウの化石が発見された場所です。その土地の地質やいっしょに出てきたほかの化石などから、皮ふの色や生活の様子を想像するのです。例えば、プロトケラトプスの化石は、さばくのすながかたまってできた岩の中から、かわいた場所にしか生えない植物の化石といっしょに発見されました。すると、プロトケラトプスは、さばくのような所でくらしていたことが分かります。そのため、皮ふは、太陽の光をはんしゃするように白っぽい色をしていて、水分がにげにくいように分あつくなっていたと想像できるのです。
Fまた、いっしょに出てきた化石を調べると、そのキョウリュウが食べていた物や、同じ時代に生息していた動物なども分かります。しかし、生きていたときすがたをさぐるための手がかりは、これだけではありません。
G第三の手がかりは、今生きている動物です。例えば、ダチョウの体つきと、ストルティオミムスのほね組みをくらべると、とてもよくにています。すると、ストルティオミムスも、ダチョウのように、何かにおどろいたときには、時速六十キロメートルほどで走ったのではないかと考えられるのです。
Hキョウリュウのすがたは、これらの手がかりをうまく組み合わせてさぐっていくのです。今後も、昔の生き物の化石が発見されたり、今まで知られていなかった種類のキョウリュウの化石が、新たに発見されたりするでしょう。そのような発見があるたびに、少しずつ、キョウリュウのすがたが明らかになっていくのです。

昨日、説明文『キョウリュウをさぐる』の学習を終えました。左に示した文章です。
この説明文の学習で、私は次の三つを課題としました。

1 この文章には絶対に抜かすことのできない文が五つある。その五文をノートに書き出せ。
2 三つの手がかりから分かることはそれぞれ何か。箇条書きにせよ。
3 P.35の挿し絵は、どの手がかりからかかれたものか。また、その根拠は何か。

みなさんなら、どうお答えになりますか。上の文章を読んで是非やってみてください。
解答はここに示しませんので、みなさんの解答を子供たちに採点してもらってみてください。それも楽しいコミュニケーションになると思うのですがいかがでしょう(ただ、子供たちの解答があやふやでも、決して「あんた、なに勉強してたの!」などと叱らないように・・・)。

因みに、最初の課題は次のように学習しました。
これは五文を抜き出す問題です。五つありますから一文につき20点としました。子供たちにノートを持ってこさせ、私が採点していきます。
これだけの文章の中から五文を抜き出すとなると、結構難しそうですが、実は文章構成が把握できていれば、易しい問題です(かなりの子供が正答しました)。
ただし「書き出せ」と指示されているわけですから、本文にある通り書き出さなくてはなりません。句読点一つ抜けていても減点です(句読点を含め、写し間違いがあった場合には半分の10点としました)。このまちがいが結構あるのです。中には一つの文を三度も写しまちがい、書き直した子供もいます。
「たかが写すこと」とバカにしてはいけません。文章を正確に抜き出すという力は大切なのです。かつて、有名私立中学の入試にこんな出題がありました。

次の文章を視写しなさい。

ところで、みなさんは何点とれましたか?