ヤゴが羽化した!

「先生、ヤゴが羽化した!」
教室に入った私をやんちゃ坊主たちが取り囲みます。
「おぉ!そうか、どれどれ?」
教室後方の水槽を見ると、まだ羽が折れ曲がっているトンボが、立てられた割り箸の先にしがみついています。水面には浮いた抜け殻。まだ羽化して間もないに違いありません。
私は、子供たちがヤゴを採ってきたとき、まさか羽化するまで飼えるとは思っていませんでした・・・。

子供たちが体育館裏の池からヤゴを捕まえてきたのは、先週の火曜日でした。男子数人が水槽をもって裏玄関に走っていきます。
最初は、どうもザリガニを捕ろうとしていたらしいのです。しかし、2年生が放したザリガニであることを知るとあきらめ、彼らのターゲットはヤゴになりました。
やがって、教室に戻ってきた水槽には十数匹のヤゴが。それを見た我がクラスのトンボ博士、栗田くん。
「一つの水槽にこんなたくさんいれたらダメだ。人間で言ったらラッシュの電車だよ。それに、洗い砂を入れなきゃダメだし、割り箸も必要だ。エサはイトミミズ。」
翌日、彼は「ヤゴとトンボの飼い方」を解説した本とエサのイトミミズをもってきてくれました。

「先生、割り箸。」
「先生、エアポンプがないとダメみたい。」
私は、子供たちの指示通り校舎を走り回るのみ。
連休前の金曜日。部活を終えた青山くんと朝妻くんが、私のところへ来て言います。
「先生、昨日エアポンプのコンセントが抜かれていたけど、休み中エアポンプが止まっていたら、ヤゴが死んじゃうよ。」
「うーん、見回りをしてくれている管理員さんが、危ないから抜いてくれるんだよ。」
と私。
それを聞いた彼らは、真っ暗になった教室に飛んでいき、コンセントの上の壁に張り紙をしてきました。
『ぬかないでください。やごがぜんめつします。』
イラスト入りの張り紙でした。

こんな子供たちの苦労の末、めでたく迎えた昨日の羽化。残りのヤゴも羽化してくれるかな?