一つの花

先週の木曜日、教育実習生の江田さんが行った授業です。1週間ほど前のことになりますが、書いておきたい学習です。NO.49で「対比的思考」について書きました。それがこのように生きるのだという一例です。

この物語を大きく二つに分けます。どこで分けられますか。ノートに線を引いてください。

大方の子が一致しました。第三場面と第四場面の間です。
第四場面の最初に『それから、十年の年月がすぎました。』とあります。第一場面から第三場面までは「戦中の出来事」、第四場面は「戦後の出来事」だからというのが大きな理由でした。

そうだね。ここで分けられますね。では、「一から三場面」と「四場面」とで対比されて書かれていることをできるだけたくさんノートに書いてみましょう。

NO.49でお伝えした学習の翌日ですから、「対比」という概念についてもほとんどの子供が覚えています。早速ノート作業が始まりました。

【一から三場面】
A 戦争中
B かぼちゃ、豆、いも
C ゆみ子が小さい
D お父さんがいる
E 一輪のコスモス
F ミシンがない
【四場面】
A 戦争後
B 肉や魚
C ゆみ子が成長した
D お父さんがいない
E コスモスの花でいっぱい
F ミシンがある

子供たちから上のような「対比」が次々と発表されました。

A〜Dの中で、もっとも大切な対比はどれだと思いますか。ノートに書いてみましょう。

これはAとEの二つに意見が割れました。
まずはA派から。
「ぼくはAだと思います。この物語は戦争のことを書いているからです。」
続いてB派の反論です。
「私はEだと思います。この物語の題は『一つの花』です。この花というのはコスモスのことだからです。」
このB派の反論で、動きが出ました。Aだと言っていた子供たちが次々とBに考えを変えたのです。

ここで、江田さんの担当した授業は終了。翌日、続きの授業を渋谷が行いました。

昨日、多くの人が「いちばん大切な対比はEだ」と言いましたね。なぜなら、題が『一つの花』だからと。今日は題について考えてみましょう。実は、物語の題には次の三種類があります。
1 登場人物が題になっている
2 クライマックスが題になっている
3 題が何かを象徴している
みんながよく知っている「ドラえもん」「ウルトラマン」などは、登場人物が題になっているものです。
クライマックスというのは物語の中でいちばん盛り上がる場面のことです。「水戸黄門」で言えば、印籠が出される場面ですね。これまで悪者だった奴らが急にハッハーと平伏します。
最後の「何かを象徴している」というのはちょっと難しい。簡単に言うと、裏に別の意味がもう一つ隠されているということです。難しい言葉だけれど、「鳩は平和の象徴」いうように使います。
では、ここからが問題だ。『一つの花』という題はこの三つのうちのどれだろう。ノートに書いてごらんなさい。

子供たちの考えは2(クライマックス)と3(象徴)で半々ほどに分かれました。ここで話し合いはせず、あっさり正解を告げました。
「正解は3です。『一つの花』という題は何かを象徴しているのです。裏にもう一つ別な意味が隠されているということですね。」

では、『一つの花』は何を象徴しているのでしょうね。それをこれから考えてみましょう。キーワードはコスモスです。昨日、みんながいちばん大切な対比だと言った言葉ですね。物語の中でコスモスが出てくる部分を全て探してごらんなさい。

子供たちが見つけてきた部分を私が黒板に整理していきました。(続く)