『地図が見せる世界』

運動会週間。今日は休み時間を使っての全校応援練習がありました。そして、明日は2,3限に予行演習が予定されています。何か、子供たちの生活は運動会を中心に動いているように思えますが、学習だってちゃんとやっています。

地図が見せる世界

永田 力

 ここに、二まいの世界地図がある。この地図を見て、何か気づくことはないだろうか。
 右の地図は、わたしたちが学校などでよく目にするものである。この地図では、日本が真ん中に、東側に南北アメリカ、西側にアジア、ヨーロッパ、アフリカ、南側にオーストラリアがある。
 左の地図は、ヨーロッパなどでよく見かける世界地図である。この地図では、ヨーロッパとアフリカが真ん中にある。さて、日本はと見ると、東の外れの方に位置している。
 左の世界地図をじっとながめてみよう。すると、ヨーロッパやアフリカと南北アメリカが、意外に近いことや、南アメリカが、アフリカよりずっと南に寄っていることなどが分かる。
 日本が真ん中にある世界地図ばかり見ていると、日本がを中心に世界が動いているように思えてくる。ところが、ヨーロッパが真ん中にある地図では、ヨーロッパが世界の中心のように考えがちである。
 わたしたちは、あるものを見なれると、それが本当のすがただと思うようになる。だが、同じものでも、見方を変えるだけで、別の一面を見せることにもなる。

これは、子供たちが今年度初めて出会う説明文です。3時間を使って学習し、昨日それを終えました。
1時間目はひたすら音読。と言っても、子供たちが飽きないように様々なバリエーションを組み合わせての音読です。
2時間目。次のように指示しました。

この文章を20字以内で要約しなさい。

書き終えた子供から、黒板に書かせていきます。どうしても書けない数名には、黒板に書かれた要約文の中から自分がいいと思うものを選ばせて、視写させました。全員のノートに要約文が書かれたことになります。

これから黒板の要約文を私が10点満点で、採点していきます。

子供たちの間に緊張が走ります。私は子供たちを見回しながらチョークを持ち、採点を書いていきます。例えば、次のようにです。

・日本は世界の中心ではない。(0点)
・見なれると、本当のすがただと思うようになる。(0点)
・別の一面を見せることになる。(3点)
・見方を変えるだけで、別の一面を見せる。(7点)

子供たちの得点は7点が最高。大方は散々な結果に終わりました。しかし、だからこそ、この時間に学ぶ価値があるのです。
私はデタラメに採点したのではありません。採点基準を子供たちに伝えます。

この文章を要約するときに、絶対に抜かすことのできないキーワードは三つあります。キーワードが一つ入っていれば3点です。つまり三つで9点ということになります。残り1点は、要約文がきちんとした日本語の文になっているかどうかです。
4年生の時、『桃太郎』の要約をしました。桃太郎でも抜かすことのできないキーワードが三つありました。何でしたか。そう、「桃太郎」「猿、キジ、犬」「鬼退治」でしたね。これが一つでも欠けていたら、桃太郎を要約したことにはなりません。
と言っても、長い文章の中からデタラメに探していたのではキーワードは見つかりません。やり方があります。

このように言った後、さらに三つの問いを出しました。

1 この文章は、頭括型・尾括型・双括型のうち、何型の文章ですか。

ほぼ全員が尾括型と答えます。文章の最後に筆者の主張がある文章です。したがって、中心段落は6段落目になります。

2 6段落目にある二つの文のうち、大切なのはどちらですか。

これも全員一致。二文目です。これが中心文です。

3 中心文の中からキーワードを三つ抜き出しなさい。

「同じもの」「見方を変える」「別の一面」の三つが挙げられました。

最後にもう一度、指示します。

三つのキーワードをすべて入れて、要約文を作りなさい。

同じものも見方を変えると別の面を見せる。

全員がほぼ同じ要約文を書きました。正しい手順で正しく要約すれば、同じ要約文にならざるを得ないのです。

紙幅が尽きました。3時間目の学習は次号にて。