クライマックスから書く

運動会翌日の1時間目。おもむろに黒板に向かい、次の二つの文章を書きました。

1 六月十日は、私が、とても楽しみにしていた運動会でした。晴れ渡った空にぼくたちが作った旗がきれいに張られました。

2 朝、まどを開けると、真っ青な空が広がっています。台所に行くと、母の作ったお弁当が置いてあります。

これは、運動会作文の書き出しです。どちらの書き出しがいいと思いますか。どちらかを選びなさい。

全員が2を選びました。理由を尋ねると、
「2の方が様子がよく分かる」
と言います。
さらにもう一つ文章を書き加えました。

3 ぼくは、スタートラインに立った。目の前には、真っ直ぐ白線が伸びている。次は、ぼくの番だ。

2と3では、どちらがいいですか。

これもまたほとんど全員が3を選びます。
「3の方が『運動会!』という感じがする」
「3は自分の出た種目のことを書いている」
「3の方が続きが読みたくなる」
といった理由が出されました。

実は、3の書き出しがいちばん優れているいちばんの理由は、クライマックスの場面から書いているということです。いちばん盛り上がった場面から書くというのは大切な書き出しの工夫ですね。読者を一気にひきこむからです。沙紀さんが言ってくれたように、続きが読みたくなります。
では、みんなに原稿用紙を配ります。「はじめ」の段落が書けたらもっていらっしゃい。

一人一人の書き出しを確認し、合格できた子供から、続きを書かせていきました。
こうしてできたのが次の文章です。

初優勝の運動会
まゆこ
私ははちまきを頭にきつくしばり、かけ足でグラウンドへ走った。きんちょうしながらも私の番を待つ。
「よーい、ドンッ!」
ピストルの音が耳にひびいた。
一位、赤チームのまきさん、二位、白チームの天音さん、三位、黄色チームのことみさん、四位、青チームのさきさん。
私のチーム赤は一位。四年の女子から四年の男子へバトンがわたった。まだ、赤チームは一位だ。そして、次は、私の番。
「GO!ハイッ!」
私にバトンがわたった。走る前は、かなりきんちょうしていたけど、走ればホッとした。あとは、練習通り、だれにも負けずに本気で走ることだ。私はそのまま一位で同じ学年の加治さんにバトンをわたした。加治さんも一位で小松さんにバトンパス。小松さんもアンカーの真島くんにバトンパス。後から白チームもせまってきたけど、私のチームの赤が一位でゴール。
きんちょうはしたけれど、一位になれてよかった。
赤組は完全優勝!今年の運動会は楽しかったなと思った。

応援優勝
郁哉
「いくぞー」
で始まった応援。ぼくはきんちょうして旗がうまくふれなかった。
だが、気力をふりしぼってバシバシ空気にぶつけた。
やっとのことで、二回目の応援が終わった。
休み時間にごはんを食べてトイレへ行くと、応援が始まりそうになっていた。ぼくは急いで旗を持ってグラウンドに出た。
なんとか間に合った。「ふうっ」と落ち着いたのもつかの間、すぐに応援が始まり、旗をふった。
手がつかれて、だんだんふるのが遅くなっていく。四回終わったときには、もうくたくただった。
そして、結果発表。応援優勝だ。
応援団に入ってよかった。