敬 語

昨日の放課後のことだ。ぼくが部活に行くために1階の廊下を歩いていると、玄関から男が入ってきた。見ると校長先生と同じくらいの年寄りだ。その男の人は校長先生に用があるらしく、校長先生がいるかどうかをぼくに聞いてきた。
「うん、いると思うけど、あんた、だれ?」
とぼくは言った。どうやら、となりの学校の校長先生らしい。
「ちょっと、見てくるから、そこで待ってなさい。」
ぼくはそう言って、校長室に入っていった。

上の文章をプリントして子供たちに配ります。プリントが全員にわたったところで、音読させます。
読み終わった子供たちは、口々に
「先生、変だよ」
と言います。

そうか、変かぁ。では、変だと思う場所に線を引いてごらんなさい。

子供たちが線を引いた場所は、次の二箇所です。

「うん、いると思うけど、あんた、だれ?」
「ちょっと、見てくるから、そこで待ってなさい。」

なぜ変なのですか。

「お客さんに失礼だ。」
「年上の人なのに、敬語を使っていない。」
どうやら「敬語」という言葉は知っているようです。

正しい言い方に直して、ノートに書いてごらんなさい。

まずは前者の文についてです。3名を指名して黒板に書いてもらいます。3名が書いたのは、それぞれ次です。

A「うん、いると思いますけど、どちらさまですか?」
B「はい、いると思いますが、どちらさまですか?」
C「うん、いると思うけど、あんただれですか?」

いちばんいいのはどれですか。

もちろん、全員がBに挙手。Bが正しいことを告げて、二つ目の文に移ります。
同じようにノートに書かせました。今度は二通りの答えが出されました。

A「ちょっと、見てくるから、そこで待っててください。」
B「ちょっと、見てきますから、そこで待っていてください。」

どちらがいいですか。

全員がBに挙手。二つを比べればBの方がよいのですが、まだ不十分です。もっと、いい言い方はないかを尋ねました。ちょっと、難しいかなとも思ったのですが、3名が手を挙げてくれました。
「お待ちください」

そうですね。では、先生が正しい言い方を書きます。ノートに写しなさい。

『ちょっと、見てまいりますので、こちらでお待ちください。』

ここで、敬語には3種類あることを説明します。

丁寧語 丁寧な言い方
謙譲語 自分をへりくだる言い方
尊敬語 相手を敬う言い方

『ちょっと、見てまいりますので、こちらでお待ちください。』
この文の中で、謙譲語はどれですか。○で囲みなさい。自分の行動に対して使うのが謙譲語ですよ。

『見てまいります』が正解。

では、尊敬語はどれですか。○で囲みなさい。相手の行動に対して使うのが尊敬語です。

『お待ちください』が正解となります。

このあと、練習課題も準備してあったのですが、時間切れ。続きは次の時間にすることにしました。

日本語を学ぶ外国人が最も難しいと言うのが「敬語」だそうです。それはそうですよね。なにしろ、私も含め、日本人でさえ正しく使える人は少ないのですから。しかし、子供たちももう高学年。最低限の敬語は使えるようになってほしいものです。