『やまなし』(その5)

「やまなし」と対比されているのは、「かわせみ」なのですか「かばの花」なのですか。戦いなさい。

まずは「かばの花」を主張する子供が話し始めます。
「『やまなし』も『かばの花も』も天井を流れています。だけど、『かわせみ』は飛び込んできただけだから、違うと思います。」
「『五月』の中で、『かばの花』が流れてきた場面がクライマックスだから、『かばの花』だと思います。」
「かわせみ」派の反論です。
「『かばの花』と『やまなし』は両方流れているというけれど、対比っていうのは「違い」のことだから、それでは理由にならないと思います。」
「『やまなし』と『かわせみ』は、谷川に落ちてきたのをかにの子供たちが見ているけれど、『かばの花』は見ていないから違うと思います。」
「『かばの花』がクライマックスだと言うけれど、『五月』のクライマックスは『かわせみ』が飛び込んできた場面だと思います。」
「私もそう思います。『五月』で物語が変化しているのは、『かわせみ』の場面です。『かばの花』では物語は変化していません。」
「『十二月』のクライマックスは『やまなし』で、『五月』のクライマックスは『かわせみ』です。『やまなし』と対比されているのは『かわせみ』の方だと思います。」

討論の前は「かばの花」22名、「かわせみ」8名と圧倒的に「かばの花」派が優勢だったのですが、討論では「かわせみ」派が押しています。再度考えを確認してみることにします。

「やまなし」と対比されているのは、「かわせみ」ですか、「かばの花」ですか。

形勢逆転。「かわせみ」を支持する子供が圧倒的多数となりました。

それでは、お尋ねします。「かわせみ」と「やまなし」は具体的にどのように対比されているのですか。

次のような考えが発表されました。
・「かわせみ」は動物だけど、「やまなし」は植物。
・「かわせみ」は怖がられているけれど、「やまなし」は食べたがられている。
・「かわせみ」は飛び込んできたけれど、「やまなし」は落ちてきた。
・「かわせみ」はいなくなったけれど、「やまなし」は木の枝に引っかかった。

君たちが見つけた対比は全部で18あったけれど、「五月」と「十二月」でいちばん重要な対比は「かわせみ」と「やまなし」であることが分かりました。それでは、二枚の幻灯をそれぞれ一言でまとめてごらんなさい。二枚の幻灯は、それぞれどんな世界を描いたものなのですか。

火曜日の学習はここで終了。昨日、その続きを行いました。子供たちに考えを発表していってもらいます。
・「怖い世界」と「安全な世界」
・「危ない世界」と「安心な世界」
・「不安な世界」と「安心な世界」
・「ドキドキの世界」と「安心な世界」
・「黄金の世界」と「月光」の世界
・「恐ろしい世界」と「平和」な世界
・「びっくりの世界」と「安心な世界」
・「怖い世界」と「楽しい世界」
・「緊張感のある世界」と「豊かで安心な世界」
・「ハラハラの世界」と「のんびりの世界」
・「仲良しの世界」と「反発の世界」
・「怖い世界」と「穏やかな世界」

それぞれの幻灯をまとめる言葉として、自分がいちばんいいなあと思う考えを一つ選んでごらんなさい。

みなさんならどれを選びますか。昨日の時点で、多くの子供たちが選んだのは次でした。
「怖い世界」と「安心な世界」
丈祥くんは、「五月」の中心である「かわせみ」は「恐怖」の象徴、「十二月」の「やまなし」は「安心」の象徴ということまで発言していました。
もちろん、今後の学習で変わっていく可能性もあります。さあ、宮沢賢治は二枚の幻灯で何を描こうとしたのでしょうか。カギは次の一文にあります。

私の幻灯は、これでおしまいであります。