『説明書を作ろう』(その2)

「達意の文」を書く。これが最大のねらいです。
では、子供たちの現状はどうか。子供たちの書く文の最も大きな欠点は何か。

一文が長い。

これです。一文を短くすること。素人が達意の文を書こうとするときの最低条件です。プロの作家の中には一文が長いことで有名な人もいます。(例えば谷崎潤一郎)しかし、これは卓越した技術があってのことです。素人が真似をするととんでもないことになります。ましてや3年生の子供です。文字を覚えてわずか3,4年、作文ビギナーです。「一文は短く」という鉄則は必ず教える必要があります。
そこでです。モデル文を使って学習しました。
まず、子供たちに次の二つのモデル文を示します。

【モデルA】
まず、最初にチームを作って、それからジャンプボールかジャンケンをして、どちらがはじめにボールを投げるかを決めたらゲームを始めて、当てられた人は外野に出て、最後に内野に残った人数が多い方が勝ちで、内野が全滅してもゲームは終わります。

【モデルB】
まず、最初にチームを作ります。それからジャンプボールかジャンケンをします。勝ったチームがはじめにボールを投げます。これでゲームがはじまります。
ボールを当てられた人は外野に出ます。ただし、顔や頭に当たった場合はセーフになります。
決められた時間が経ったら、ゲーム終了です。生き残った内野の数が多い方が勝ちです。決められた時間にならなくても、内野が全滅したらゲーム終了になります。

尋ねます。

AとB、どちらの文章が分かりやすいですか。そして、それはなぜですか。

全員がBだと言います。子供たちがそう判断した理由は次の二つでした。
@ 一つの文が長く続きすぎている。
A Bの方が詳しく書いてある。
B Bには段落がある。

当然のことながら、AよりBが分かりやすい最大の理由は「一文が短いこと」です。Aのようにダラダラと続いていたのでは、一読しても何を言おうとしているのかさっぱり分かりません。しかし、実はAのような文を書く子どもが相当数いるのが現実です。
ここで、鉄則1,2を黒板に書きます。

鉄則1 一文は短くする。(どんなに長くとも40字以内)
※ 一つの文には一つのことしか書かない。
鉄則2 まとまりごとに段落をつくる。

ここまで学習したところで、次の文章を配りました。

【モデルC】
ドッジボールは,次の順序で行います。
@ チームを作る。
※ 両方のチームが同じくらいの強さになるようにする。
※ チームごとに内野と外野の人数を決めておく。
A ジャンプボールをする。
※ ジャンプボールのかわりにジャンケンをしてもよい。
B 勝ったチームからボールを投げる。
※ ジャンプボールをした人に当ててはいけない。
C ゲームが始まる。
D 決められた時間が経ったら,ゲーム終了。
※ 生き残った内野の人数が多い方が勝ち。
※ 時間にならないうちに,どちらかの内野が全滅してもゲーム終了。

BとC、どちらが分かりやすいですか。

今度は全員がCだと言います。「箇条書きになっているから」という理由です(『箇条書き』については普段のノート指導の中でしょっちゅう言っていることですので子供たちは知っています)。

ここでまた黒板に書きます。

鉄則3 箇条書きにした方がわかりやすいところは箇条書きにする。

この後、教科書に載せられている例文を示しながら、次の鉄則も付け加えました。

鉄則4 目次をつくる
鉄則5 小見出しをつける
鉄則6 文だけでは分かりにくいところには、絵や図を入れる。

6つを示しましたが、何といっても大切なのは、やはり鉄則1。さて、子供たちはどんな「説明書」を書いてくるでしょうか。