デパートの謎(その2)

三つのデパートの売場が印刷されています。この三つを比べて気付いたことをノートに書きなさい。

子供たちから次のような「気づき」が発表されました。

・どこも地下に食料品がある。
・どこも7Fにレストランがある。
・女性用の服が多い。
・三越には屋上がない。
・男物だけ、小さいサイズがない。
・子供服が少ない。
・トイレはどこにあるの?

どれも、十分に学習に値するすばらしい問いです。
こんなふうに日常何気なく見過ごしている点に目を向けて問題意識をもつ。これが懇談会でもお話しした「見る目」ということなのです。
まずは、地下の食品売場に焦点を当てることにしました。
問います。

なぜ、どのデパートも地下に食品売場があるのでしょう。自分の予想をノートに書きなさい。

子供たちは困っていましたが、その中で、和平君が急に後ろを振り向き、参観されていたお母さん方に問いかけました。
「ねえ、お母さんたちは知ってる?」
私も和平君に便乗してお母さん方に尋ねました。

地下に食品売場がある理由を知っていらっしゃる方、挙手をお願いします。

十数名いらっしゃるお母さん方の中で、挙手されたのは智美さんのお母さんただ一人だけでした。
そこで、子供たちにも言います。

ほら、お母さんたちだって分からないんだ。みんなが分からないのは当たり前。どんなことでもいいから、こうじゃないかなと思うことを予想して書いてごらん。

私はここで正解を求めているのではありません。子供たちが自分の頭で必死で理由を考えることを要求しているのです。「なぜ」に強くなるということが学習のポイントだからです。
5分ほど時間をとったあと、子供たちに発表してもらいました。次です。

@ 地下は食料品しか置いてはいけないというきまりがある。
A 地下にあると買いやすい(デパートに来てすぐにいける)
B 三つのデパートが相談して決めた。
C 全部地下にあれば、お客さんが覚えやすい。
D すぐに帰れる。
E 店長がみんな友達。
F 食料品を買いに来る人が多いから近い地下にある。
G 火事になったときに逃げやすい。

3年生の子供たちが一生懸命に考えた「なぜ」に対する答えです。後ろにいらしたお家のみなさんも時には笑いながら、時には「なるほど」と頷きながら聞いていらっしゃいました。
さらに、話し合いが広がっていきます。
ADFGに対する意見です。
「それなら、地下じゃなくて1階の方がいいんじゃないの。」
「そうだよね。」
言われてみれば確かにそうです。地下である理由はありません。
「1階だと腐りやすいんじゃないの。」
「1階はさ、お客さんがいっぱい出たり入ったりするでしょう。だから、ばい菌がついちゃうよ。だから地下なんだよ。」
「食料品売場は人がいっぱいいるでしょう。そこが出入り口だと困るんだよ。」
一つ一つにうんうんと頷きたくなるようなすばらしい考えです。
残念ながら、ここで時間。

正解は・・・。言わない。

私がこう告げると、「エー!」という声が子供たちから挙がりましたが、ここで私が言ってしまっては意味がありません。ここからが本当の学習だからです。
誰かに聞いてみるもよし。デパートに出かけていってインタビューしてみるのもよし。本で調べてみるのもよし。解決の方法は様々です。
懇談会の時に「新学習指導要領」についてお話ししましたが、そこで言っている「問題解決能力」とはそういうことなのです。

さて、次の社会までにどんな調べ方をしてくるかな。楽しみにしています。