スピーチ『来年の抱負』

某缶コーヒーのCMが話題になっています。仲間の前で一説ぶっているサラリーマンが突然、米大統領の前に瞬間移動し、大統領から「君のガツンを聞かせてくれ」と言われるあれです(ご存知ですか?)。日本人は自分の思いや考えを表現することが下手だと言われていますが、そのことに対する風刺でしょう。
今月の学年懇談会の折にも、新学習指導要領では「話すこと・聞くこと」が重視されていることをお話ししました。自分の思いや考えをきちんと表現する力、そして人とコミュニケートする力がそれだけ求められているということです。
幸い、今学期学習した『対話・会話』の学習は、子供たちからなかなか好評でした。

さて、1月8日の始業式、3年生と5年生の代表が『新年の抱負』を述べることになっています。壇上で全校を前に話すのです。独話です。スピーチです。
これを機会に、昨日スピーチについて学習を行いました。
子供たちは「書いた作文を暗唱すること」をスピーチだと思っています。こう誤解していると、必然的にその発表は次のようになります。
「『三学期にがんばること』。3年、渋谷徹。ぼくが三学期にがんばりたいことは三つあります。一つ目は・・・」

題を言い、名前を言い、そして本文へ。これは作文を読んでいるのであって、話し言葉にはなっていません。
話し言葉であれば、
「3年の渋谷徹です。これから、ぼくが三学期にがんばろうと思っていることを三つ話します。一つ目は・・・」

となるはずです。
こんなことを子供たちにも話した上で、次の原稿を配布して読みます。

 三年の渋谷徹です。
 ぼくが今年がんばろうと思っていることを発表します。
 一つ目は、読書です。ぼくは二学期まであまり本を読みませんでした。読書カードもやっと、一枚目の裏に入ったところです。今年はたくさん本を読みたいです。
 二つ目は、漢字です。ぼくは漢字が苦手でした。練習したすぐ後は分かるんだけれど、しばらくたつと忘れてしまいます。今年は、たくさん練習して、テストでもいい点が取りたいです。
 三つ目は、計算です。ぼくは、漢字だけではなくて、計算も苦手です。いちいち筆算をするのがめんどうくさいからです。でも、めんどうくさがってばかりいると、なかなか、できるようにはなりません。今年はめんどうくさがらずにがんばりたいです。
 この三つが今年がんばりたいことです。これでぼくの発表を終わります。

そして、子供たちに言いました。
このスピーチの原稿をABCで評価しなさい。

ほとんどの子供がAをつけました。B,Cをつけた子供も若干いましたが、理由は言えません。確かに原稿としては整っており、Aと評価する子供が多いのは当然でしょう。

先生なら、Bをつけます。

ただ一言こう言って、今度は下の方の原稿を配布して読みました。子供たちはゲラゲラ笑いながら聞いています。

 あけましておめでとうございます。三年生の渋谷徹です。
 みなさんは、そうじが好きですか。学校のそうじを一生懸命やっていますか。お家でもそうじをしていますか。
 きっと、そうじはあまり好きではないという人が多いのではないでしょうか。
 実は、ぼくが今年がんばりたいと思っていることは、そうじなのです。特に家の風呂そうじです。
 ぼくは、家の風呂そうじがやりたくてたまりませんでした。でも、それはお兄ちゃんの仕事なので、三年生のぼくはやることができませんでした。
 今は、風呂そうじの洗剤もいいものが出ています。「ああ、こすらない。こすらない。後は流すだけ〜♪」という宣伝、みなさんも見たことがあるでしょう。
 ぼくも、この歌を歌いながら、今年は風呂そうじに挑戦したいと思っています。

最初に読んだ方と後に読んだ方のどちらがいいスピーチだと思いますか。

全員が「後の方だ」と言います。理由を尋ねました。
「後の方は、『みなさんは〜ですか』と、聞いている人に話しかけている。」

そうですね。後の方がいい理由は三つあります。
一つ目は、今言ってくれたように「聞いている人に話しかけるようにスピーチしている」ということです。
二つ目は、「欲張らずに、一つのことについて詳しく話している」ということです。
三つ目は、「聞き手を引き付けるように、CMの歌などを入れながら話している」ということです。
三つ全部クリアするというのは無理だろうけれど、できる限り三つのことを考えながら、スピーチの原稿を書いてごらん。

こんなふうに言って、スピーチ原稿を書かせました。もちろん、スピーチですので、原稿を一字一句違えずに話すのではありません。とりあえず、話す内容を整理するために原稿を書いたのです。

今日、教室でスピーチ大会を行いました。