NO.99

行って参りました

帰って参りました。五日間、ありがとうございました。これを書いている時点では、まだ子供たちの顔を見ていませんが、きっと元気にがんばってくれたのでしょう。

さて、私が青森まで行ったのは「これからの教育でコンピュータがどのように使われていくのか」を学ぶためです。本校には既に22台のコンピュータが入っていますが、今後コンピュータを中心とした情報教育が重要になってくることは間違いありません。それをどのように行っていくべきなのかを研修してきたわけです。主にインターネットに関する内容でした。それだけインターネットが重要と考えてられているということです。
ただ、文部省調査官は次のように言いました。

情報教育の影の部分に目を向けよ

情報教育の影の部分って何でしょう。
最近、インターネット、そしてコンピュータ社会に警鐘を鳴らしている2冊の本を読みました。

『インターネットはからっぽの洞窟』(クリフォード・ストール著 草思社)
『コンピュータが子どもの心を変える』(ジェーン・ハーリー著 大修館書店)

この2冊の本が、調査官の言う「情報教育の影の部分」を的確に示していると思いますので、紹介します。
前者の著者クリフォード・ストールという人は天文学者。コンピュータネットワークに精通しており、その良さも悪さも熟知している人物です。彼は言います。

僕が一番指摘したいのは、情報と知識は違うということだ。
(中略)
データと情報、知識、理解、そして知恵。これらのあいだには、複雑な関係があって、単純に一直線でつながるようなものではない。
その意味では、僕らのネットワークはデータで満ちあふれてはいるが、情報と呼べるようなものはほんの一部しかない。しかも知識となるのは、情報と呼べるもののシュミッジェン(ごくわずかな量)にすぎない。いいアイデアと組み合わされれば、そういった知識のいくつかも、実際に使い道がある。しかし知識を知恵にかえるには、経験と状況、思いやり、鍛錬、ユーモア、寛容、そして謙遜といったものを自分のなかですべて組み合わせなければならない。
(中略)
僕らは、コンピュータとコミュニケーション理論の華々しさに目を奪われてしまい、ビットやバイトで人の経験が表現でき、情報をもっとも多く持っている者がもっともパワフルだ、と思いこまされてしまっている。

後者の著者ジェーン・ハーリーは言います。

創造的な人材を探しているハイテク企業でも、ただのコンピュータ専門家であるような人はほとんど雇わない。むしろ、斬新さ、協調性、柔軟性など、コンピュータマニアの多くに欠けている資質が求められている。
(中略)
ある有名は建築会社は、立体模型を組み立てた経験から得られた「手で覚えた知識」をもった大学院生を求めている。コンピュータ設計に必要な技術は、二週間の研修で習得できてしまうからである。

さらに子供たちがコンピュータ漬けになると正常な発達を阻害する場合もあると言い、次のようなアドバイスを書いています。

1 特に小さな子どもに対しては、大きな動きや激しい動き、派手な色使いで過度に感覚を刺激するソフトやマルチメディアに注意する。
2 子どもに十分な運動をさせる。学校で長時間コンピュータを使う場合には、休憩時間をもうけて運動させるようにする。
3 就寝時間は必ず守らせる。睡眠不足は注意欠陥障害に似た症状を引き起こすことがある。
4 不安や憂鬱も注意力に影響するから、年齢に適した内容のものを厳選する。
5 コンピュータを使っている子どもをよく観察し、どちらが主導権をもっているのかをみる。子どもが主体となっていないと判断したときは、そのソフトはやめる。
6 ソフトを最初に使うときは、いきなり始めずに、子どもの計画性を聞き、どうしたらよいかという方略について話し合う。

「これはゲームにも同じことが言えるなぁ」と思って読みました。
今、紹介したのは2冊ともアメリカの本ですが、本の帯にはこうあります。『アメリカの今 日本の明日』。

さて、文部省調査官は最後にこう締めくくりました。

これからの情報教育で大切にしたいことは次の4点です。
1 感動・疑問・推論
2 「考えること」「理解すること」
3 人間らしく考え、判断できること
4 知的創造力

一言で言えば「人間らしくあれ!」ということですね。

2001年。おそらく全国の小学校がインターネットに接続されます。