読書感想文(その3)

『タイガーとスポット、私とクー』
夏美

私が六才の時だ。歩いていると、道のわきからヘビが出てきた。かなり大きなやつだ。私はびっくりして、二、三歩下がった。へびは、私をじっとにらみつけ、ニョロニョロとしっぽを動かしていた。私の方も、じっとヘビを見てつっ立っていた。勇気をふりしぼって四、五歩前に出た。そのまま目をそらさず、足下にあった木を取って頭の上にふり上げた。ヘビは私から目をそらして、草むらの中に逃げていった。私はホッとして、家に走って帰った。
「そいつは坂になった道で、どさりと横になっていた。大型の犬で、頭からしっぽまで白地に黒のぶちがちらばっている。タイガーはいくらか強気になって、もう少し首をのばし、葉のあいだからのぞいた。犬は大きな白い頭をそらし、明るい色の目をほそめて、木の枝ごしにタイガーを見つめた。二ひきはそうして、しばらくにらみあっていた。」
ねこのタイガーと犬のスポットが出会った場面だ。タイガーは、きっとヘビと出会ってしまったときの私と同じ思いだったのだと思う。でも、どうにかしなきゃいけない。タイガーはこの後、少しだいたんになった。木の枝からスポットを見ていたタイガーは、枝の先に行ったのだ。私は、
「危なくないのかな。大丈夫なのかな。落ちないのかな。」
と心配だった。タイガーが無事に木から下りたとき、ヘビから逃げることができたときの気持ちを思い出して、私はホッとした。
これは、私が四年生の時のことだ。学校が休みの日だった。そのころ、私の家では犬を飼っていた。私は犬と家の前でボール遊びをしていた。そこへ、突然、見知らぬ犬が来たのだ。しかも、私に近づきながらほえたててきた。すると、うちの犬はゆっくりと私の前に出て、一回大きくほえた。見知らぬ犬はだまり、そのままにげていった。
「そのとき、耳ざわりでぶきみな音が、ばか笑いを引きさいた。笑い声がぴたりと止まった。帽子はアスファルトにぽとりと落ち、ターニャの足もとにころがった。」
スポットが勇ましさを見せた場面だ。うちの犬が私を助けてくれたときのようだ。スポットは、この後、クリスチャンにいっぱいほめられた。私もうちの犬をほめてやると、いつものようにあまえてきた。ほえたときには、私もびっくりして後ずさりしてしまったけれど。
クーが家に来たのは、私が三年生の時だった。初めは犬を飼うことに反対だった父が、「飼う」と言ってくれたときは、本当にうれしかった。私はクーを抱いて外をはしゃぎ回り、クーは私の顔をいっぱいなめた。
クーは、もういない。家に来てから一年後、けがが原因で天国へ行ってしまったのだ。『すてねこタイガーと家出犬スポット』。この本を読んだことで、私はもう一度クーに会えたような気がする。

『すてねこタイガーと家出犬スポット』。読書感想文の題材として、この本を選んだ子供は他にもいました。人気のある本なのでしょうか。
夏美さんは三つではなく、二つの場面で3枚の感想文を書き上げました。夏美さんと愛犬クーとの関係が、この物語のタイガーとスポットの関係と重なったのでしょう。夏美さんとクーがじゃれ合っている様子が映像として浮かび上がってきます。